Jordan Design Studio TOKYO ── 6人の気鋭クリエイターによって再解釈された Air Jordan 1
東京で選出された6名が自身の表現と〈Jordan Brand〉への想いを語る
東京を含む世界8都市で展開される、次世代のクリエイティブな先駆者たちを世に送り出す〈Jordan Brand(ジョーダン ブランド)〉のグローバル インキュベーター “Jordan Design Studio”。これは、世界各地から選ばれたクリエイターたちが、それぞれのバックグラウンドや価値観を持ち寄り、Air Jordan 1というアイコンを独自の視点で再解釈するプロジェクトだ。このワークショップを経て、各都市で1名のみファイナリストが選出される。
去る7月6日(月)に行われたDay 1ではプログラムの全貌が明らかとなり、東京で選出された6名のクリエイターが自身のルーツや着想を落とし込んだムードボードを制作。続く7月8日(水)のDay 2では、東京のメンターを務める〈KOWGA(コウガ)〉のデザイナー 甲賀加純のアドバイスのもと、実物大モックアップや3Dモデリングを用いたデザインワークが本格的にスタートした。
『Hypebeast Japan』では制作が佳境を迎えるDay2にて、束の間の時間をもらい6名へインタビューを実施。普段の活動やクリエイティブのルーツ、今回のデザインアプローチ、そして〈Jordan Brand〉やAir Jordan 1 High OG “Love Letter”から受けたインスピレーションまで、それぞれの言葉で語ってもらった。
Yuji Wada
グラフィックデザイナー/アートディレクター
Hypebeast:日頃の活動について教えてください。
Yuji Wada:新宿のjackpotで働きながら、個人ではグラフィックデザインやロゴ制作を中心に活動しています。ロゴやデザインを制作したブランドのブランディングまで携わることも多いですね。
ご自身のルーツやスタイルを、今回のデザインにはどのように反映させましたか?
普段はロゴやグラフィックをデザインすることが多いのですが、今回はグラフィックをそのままスニーカーへ落とし込むことはあえて避けました。ロゴを主役にするのではなく、スニーカー全体で表現したかったんです。そこで、普段グラフィックデザインで用いている考え方や手法を応用し、Air Jordan 1 High OGのフォルムや構造、比率を分析しながらデザインへ反映しました。グラフィックを載せるのではなく、グラフィックデザインのアプローチそのものでAir Jordan 1を再解釈することを意識しています。
“Jordan Design Studio”で印象に残っていることを教えてください。
スニーカーをデザインするのは初めてだったので、細かなディテールひとつひとつに意味が込められていることを実感しました。普段何気なく履いているシューズにも「この仕様にはこんな理由があったのか」という発見がたくさんあり、とても面白かったです。
この経験を通して、自分の表現の幅をさらに広げていきたいと感じました。また、ほかのクリエイターからも多くの刺激を受けたので、このつながりを一度きりで終わらせるのではなく、今後も何か新しいことを一緒に生み出していけたらうれしいですね。
IBUKI SAKAI
コラージュ/ステッカーアーティスト
Hypebeast:日頃の活動について教えてください。
IBUKI SAKAI:普段は作品制作を中心に活動しています。デザインというよりはアートワークを軸に、洋服やインスタレーション、空間演出など、表現する媒体を限定せず制作しています。個人で手掛けたコラージュ作品をInstagramで発信することで仕事につながることも多く、最近ではミュージックビデオのオブジェ制作やアートディレクションにも携わっています。
ご自身のルーツやスタイルを、今回のデザインにはどのように反映させましたか?
参加者の多くはファッションやスニーカーへの造詣が深く、それぞれが明確な視点やこだわりを持っていて大きな刺激を受けました。そんな中で、自分はシューズそのものではなく、ものづくりや表現を軸に活動してきたので「このアプローチでいいのだろうか」と迷う瞬間もありましたが、自分ならではの視点を信じ、その感覚を素直にデザインへ落とし込むことを大切にしましたね。
皆さんが着用しているAir Jordan 1 High OG “Love Letter”のストーリーに触れて、どのようなインスピレーションを受けましたか?
マイケル・ジョーダンがバスケットボールへの想いを綴った“Love Letter”を読んだとき「自分にとってのバスケットボールは何だろう」と考えました。その答えが、自分にとっては“ものづくり”だったんです。
幼い頃は人とコミュニケーションを取ることがあまり得意ではありませんでしたが、作品をつくることで自分の内面と向き合い、それを発表することで少しずつ自分自身を表現できるようになりました。だから今回のデザインでは、ここまで導いてくれた“ものづくり”への感謝を、一通のラブレターとして表現したく、これまで培ってきた表現や技法を落とし込みながら、その想いを1足に込めています。
You2
リメイクアーティスト
Hypebeast:日頃の活動について教えてください。
You2:履き潰されたシューズを素材に、マスクや壁掛けの半立体作品を制作しています。最近は立体音響も取り入れながら、人が思わず足を運びたくなるような体験型のインスタレーションを中心に発表していますね。
ご自身のルーツやスタイルを、今回のデザインにはどのように反映させましたか?
Air Jordan 1はこれまで何度も分解してきたスニーカーなので、その構造やディテールを深く理解していることが自分ならではの強みだと思っています。近年はエイジング加工が注目されていますが、今回はそうした表面的な表現ではなく、Jordan Brandへの理解をベースに、自分だからこそ見える視点で新しいデザインを提案することを意識しました。
マイケル・ジョーダンがバスケットボールへの愛を綴ったAir Jordan 1 High OG “Love Letter”になぞらえると、このデザインを通して誰に、どのような想いを届けたいと考えましたか?
いつも刺激を受けるのは、荒削りなエネルギーや衝動を素直に表現している若い世代です。普段聴く音楽や格好いいと感じる存在も、自分より年下の人が多いですね。だから今回のデザインは、そんな若い世代に履いてほしいという想いを込めました。学校の下駄箱に並んでいても格好いいこと、制服にも自然に馴染むこと、そしてコンクリートやアスファルトの上で日々を過ごすストリートプレーヤーたちが、自然に履きたくなる一足を目指しています。
Sandan
ファッションデザイナー
Hypebeast:日頃の活動について教えてください。
Sandan:原宿のセレクトショップ 00で、バイヤー兼ディレクションを担当しています。商品のセレクトや売り場づくり、スタイリングを手掛ける一方、余った⽣地を使った古着のリメイクやニット制作、シルクスクリーンなど、さまざまなクラフトを実験的に続けていますね。ブランドとして展開しているわけではありませんが、服のリペアを依頼されることも多く、ものを直したり、新たな価値を加えたりすることも含めて、日々ものづくりに向き合っています。
ご自身のルーツやスタイルを、今回のデザインにはどのように反映させましたか?
服やプロダクトを分解したり、異なる素材を組み合わせたりすることが多いので、今回はまずシューズを分解し、自分が魅力を感じるディテールを際立たせることから考えました。また、長く愛用できる素材選びや、生地同士の質感のコントラストも意識しています。普段から好きなテイストやブランドの空気感も取り入れながら、自分らしい1足に仕上げています。
皆さんが着用しているAir Jordan 1 High OG “Love Letter”から受けたインスピレーションは、デザインのどの部分に反映されていますか?
こだわったのは、パーツの切り替えやラインの取り方です。今回はワントーンで構成しているので、カラーで変化をつけるのではなく、シルエットやパーツの見せ方でコンセプトを表現することを意識しました。色数を抑えたぶん、そのバランスを形にするのは難しかったですが、1番自分らしく表現できた部分だと思っています。
JUNYA KITAYAMA
TOKYO 23 ストアマネージャー
Hypebeast:日頃の活動について教えてください。
JUNYA KITAYAMA:普段はデザイナーとして活動しているわけではなく、Jordan Brandを中心に取り扱うショップ TOKYO 23で店長を務めています。日々店頭に立ちながら多くのお客様と接し、スニーカーカルチャーの最前線で様々なことに携わっていますね。
ご自身のルーツやスタイルを、今回のデザインにはどのように反映させましたか?
店頭に立ち続け、スニーカーシーンの移り変わりを見てきたからこそ、Air Jordan 1やカルチャーに対する視点は自然と身についています。ただ、今回はそうした知識や先入観を一度リセットし、自分の感性を100%信じてデザインすることを意識しました。もちろん、スニーカーへの理解があるからこそ、歴代モデルやカルチャーへのリスペクトは要所に織り込んでいます。ただ、“売れるデザイン”を目指すのではなく、自分が本当に作りたいと思えるものを形にすることを大切にしました。
マイケル・ジョーダンがバスケットボールへの愛を綴ったAir Jordan 1 High OG “Love Letter”になぞらえると、このデザインを通して誰に、どのような想いを届けたいと考えましたか?
普段からクラブをはじめとする夜のカルチャーに身を置くことが多く、そこで出会った人や経験を通して学んできたこと、大切にしてきた価値観をデザインへ落とし込みました。テーマは“現代の若者の楽しさと葛藤”です。色使いやディテールで自分が見てきた景色や空気感を表現していて、同世代はもちろん、これからの若い世代にも履いてもらい、それぞれが何かを感じ取ってくれたらうれしいですね。
naruto ando
タトゥーアーティスト
Hypebeast:日頃の活動について教えてください。
naruto ando:普段はエアブラシを使って絵を描いたり、洋服にペイントしたりしています。友人へのタトゥーを手掛けるほか、タトゥーマシンの針をペンに付け替え、そのマシンを使ってドローイングをすることもあります。
ご自身のルーツやスタイルを、今回のデザインにはどのように反映させましたか?
もともとスケートボードをやっていて、当時はキャンバス地のパンツにパッチを付けて滑っていました。そのカルチャーと、自分が普段向き合っているタトゥーの感覚を重ね合わせたのが今回のアイディアです。タトゥーを身体のどこに入れるかを考えるように、パッチを配置する位置にも意味を持たせました。また、スケートで履き込まれたシューズや、パッチの糸がほつれていく経年変化もデザインに取り入れています。履き込むほどに表情が増し、より魅力が深まる1足をイメージしました。
“Jordan Design Studio”で印象に残っていることを教えてください。
これまでは1人で絵を描いたり、タトゥーのデザインを考えたりすることがほとんどだったので、6人のクリエイターが同じ空間でアイデアを出し合いながら手を動かす環境はとても新鮮でした。普段は生活感のあるアトリエで制作しているので、整った環境で作業できたことも印象的でしたね。
また、自分のアイデアや制作意図をプレゼンテーションを通して言語化する機会が多かったことも新鮮でした。これまでは「好きに描いていい」と任せてもらうことが多かったので、自分の考えを人に伝える経験はあまりありませんでした。普段とは異なるプロセスだからこその難しさもありましたが、新しい表現の方法を学べたと感じています。

