あえてセオリーを外す実験的アプローチ ── 3House と GooDee が最新 EP『GAME』で描いた新たなサウンド像 | Interviews

唯一の客演 Shurkn Papとの共演秘話から全国『Zepp』ツアー「PLAY」に込めた真意まで

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透き通るような歌声と洗練されたサウンドで、日本のR&B/ヒップホップシーンにおいて独自の存在感を放つアーティスト 3House(スリーハウス)。『Hypebeast Japan』は、“新しい自分を探す旅”をテーマに掲げた前作『Terminal 3』リリース時にも、インタビューを実施。挑戦的なサウンドメイキングやアーティストとしての葛藤について深く語ってくれたが、その後行われた『KT Zepp Yokohama』でのワンマンライブは大盛況のうちに幕を下ろした。

着実な飛躍を遂げる彼が、早くも待望のセカンドEP『GAME』を携えてカムバック。サウンドプロデュースは、『SWING A SOUL』『Terminal 3』に引き続き、盟友 GooDeeが全曲を担当した。人との距離感、選択、駆け引きなど、日常に潜むさまざまな構造そのものを“ゲーム”と捉え、あえてエラーや偶然性を楽しむ実験的なアプローチから生まれた意欲作だ。

『Hypebeast Japan』では今回、3HouseとプロデューサーのGooDeeに独占インタビューを実施。アルバム『Terminal 3』を経て新たなサウンド感にトライした本作の制作秘話から、Shurkn Papを客演に迎えた経緯、そして全国3都市を巡るZeppワンマンツアー「PLAY」への率直な思いまで、彼らの現在地を深掘りする。また、今回もEPのジャケットの撮影現場から、楽曲制作時のスタジオでの様子、Shurkn PapとのMVの撮影風景までをキャッチした、『Hypebeast』の恒例企画 “Back To Film”も併せて実施したので、ぜひ最後までお見逃しなく。


Hypebeast:まずは新作EP『GAME』のリリースおめでとうございます。早速ですが、本作に『GAME』というタイトルを冠した経緯と、全体を通したコンセプトについて教えていただけますか?

3House(以下、3):ありがとうございます。一旦『Terminal 3』のフェーズを終えて、自分の中でまた新しいサウンド感にトライしてみたいとGooDeeと話していたんです。日々生活する中で感じる人との距離感や駆け引き、遊び心、何かのための選択、あるいは社会のルールといったものを深く意識する時期があって。そうした日常の中に潜む要素をそのままサウンドや楽曲に落とし込み、“ゲーム”というコンセプトに昇華させました。知らず知らずのうちに、僕たちが生きている日常そのものがゲームの中にあるような感覚ですね。

振り返ってみると、“OVERHEAT”では恋愛の駆け引きを描き、“Play The Game”ではルールに縛られない姿勢を示し、“Runaway”では遊び心を持たせるなど、楽曲ごとに挑戦や駆け引きの要素がしっかりと詰まった作品になったと感じています。

『GAME』のアートワークは、どのような世界観を表現しようと思ったのでしょうか?

ジャケットの写真はスタイリストの石川 淳さんにお願いし、日常使いのアイテムをうまく落とし込んだラフなスタイルを意識しました。“いかにもな衣装”にはしたくなかったんです。背景に配置した『GAME』の立体ロゴは金田遼平さんにデザインしていただき、白ホリの空間に専用のセットを作り込んで撮影しました。

今作で新しくトライしたサウンドデザインや、意識したことはありますか?

3:リリックに関しては自分の内面からの自然な変化ですが、今回はサウンド面で特にこだわり抜きました。ボーカルのエフェクトもいつもとは違うアプローチを試していますし、ミックスはThe Anticipation Illicit Tsuboiさん、マスタリングエンジニアはColin Leonardにお願いしました。今自分が“新鮮”と思える音をGooDeeと話し合いながら取り込んでいったので、前作に比べて音の鳴りや奥行きが格段に増した実感があります。

GooDee(以下、G):僕個人としては、“エラーや偶然性”をテーマのひとつとして意識しました。これまでは狙った方向性から逸れるとボツにしていたんですが、今回は寄り道したときに生まれるエラーや、音楽のセオリーとしては良しとされないような整合性の取れない音をあえて入れて楽しむというアプローチをEP全体で試みたんです。実験的に遊んでみて「これ面白いね」とたどり着いたアプローチをどんどん採用していきました。

3:“同じことをやりたくない”というのは2人の共通認識としてずっとありました。守りに入ってしまうと成長が止まる気がしたんです。だからこそ、誰かにどう聴かれるかではなく、自分たちの直感や感情、遊び心を一番に優先して作りました。EPという6曲のサイズ感だからこそ、気負わずに自由なマインドで挑めたのも良かったですね。

おふたりの普段の制作スタイルや、今回のトラックリストが決まっていった流れを教えてください。

G:基本的に毎週集まって、「今までやったことがないことで、あと何ができるか?」という会話をずっと繰り返していました。

3:週1回スタジオに入り、新しいトラックを作っては持ち帰って聴き込み、また翌週集まるというサイクルですね。全曲が出揃った後、制作合宿の際に全体の曲順を決めました。

キー曲を挙げるなら、前作『Terminal 3』の頃から温めていて今作のムードに合わせて作り直した“Fly Again”と、6分超の尺がある“Runway”です。昔から展開のある長い曲を作ってみたいと思っていたので、サクッと聴けてしまう展開作りに挑戦できたのはすごく面白い体験でした。

G:“Runway”は合宿の後半で半分ほどできた曲でした。持ち帰ってTsuboiさんに聴かせたところ、「もっと長くしても面白いんじゃない?」とアドバイスをいただいて、そこからさらに展開を作り込んでいきましたね。

制作合宿での体験は、作品にどのような影響を与えましたか?

3:人里離れてしっかりと音が出せる環境を選び、初めて1週間ひとつの場所にこもって制作しました。都会の雑音から離れ、自然の音と楽器の音しか聞こえない空間で、自分の内側を開放して伸び伸びと作品に向き合えたと感じています。

G:周りには本当に猿しかいなくて(笑)。集中して曲を作ってはサウナや風呂に入ってリフレッシュし、またスタジオに戻るという時間を繰り返していました。あの開放的な環境だったからこそ破れた殻がたくさんあったと思います。

本作でタッグを結成して3作目となりますが、おふたりの相性の良さはどういった部分にあると感じていますか?

G:一番大きいのは、同い年という関係性ですね(笑)。

3:自分の意見を気兼ねなく言える相手ですし、この4年間で僕が伝えたい抽象的なニュアンスをGooDeeがどんどん深く理解してくれるようになりました。

G:アーティストには“自身のスタイルを保守的に深めるタイプ”と“まだ見ぬものを求めて飛び込む冒険派”がいると僕は思うんですが、彼は完全に後者。突飛なアイデアをぶつけても怖がらずに面白がってくれるので、一切のワンクッションなしで制作に向き合えるのが本当に楽ですね。昔は「音をもっとブワッとさせたい」みたいな感覚的な擬音が多くて翻訳に頭を悩ませましたが(笑)、今はお互いの理解度が上がって意思疎通が非常にスムーズです。

今作のEP内で唯一の客演として、Shurkn Papさんが参加された楽曲 “OVERHEAT”の制作経緯について教えていただけますか。

3:Shurkn Papとは音楽を始めた初期からの知り合いで、最近ライブ現場でよく一緒になる機会が増えて自然と距離が縮まりました。GooDeeのスタジオにも通っていたので、“OVERHEAT”の客演をどうしようか話したときに「彼がいいんじゃないか」と自然に名前が挙がったんです。

G:僕は以前から2人のコラボをずっと見てみたかったんです。2人ともルーツにマイケル・ジャクソンがいて、オタクレベルで深く語り合える仲ですし、車好きといった共通点も多い。「絶対に相性が良いはずだから曲を作ってほしい」とずっと伝えていたので、最高のタイミングで実現しました。お互いにかっこいいと思える共通言語を持っていたので、制作自体も非常にスピーディーでスムーズでした。

この曲はMVも公開していますが、撮影で特にこだわった点は?

3:MVはクリエイティブディレクターのSEIYAとともに、白ホリスタジオで全編モノクロの表現に挑戦しました。対立や距離感をあからさまに出しすぎず、ファッション的な要素を巧みに落とし込んだ世界観に仕上げています。

それでは最後に、現在実施中のZeppワンマンツアー「PLAY」への意気込みと、ファンへのメッセージをお願いします。

3:ツアータイトルの「PLAY」は、EPの『GAME』と対になる言葉として“みんなで遊びながら表現できたら”という思いから名付けました。ジャケットに描かれた赤ちゃんのビジュアルには、社会のルールや固定観念に縛られる前の「純粋な少年心に戻って遊ぼう」というメッセージを込めています。

いつも楽曲を聴いて応援してくれる皆さんには本当に感謝しかありません。僕自身、まだまだスタートラインに立ったばかりだと思っているので、もっと成長した姿を見せていきたいです。ライブではGooDeeの生演奏も含めて、僕たちがのびのびと表現する空間を楽しんでほしいですね。日常のストレスを会場で解放して、皆で一緒に“レッツ・プレイ”しましょう。


3House 2nd EP『GAME』

ダウンロードはこちら
リリース日:9月16日(水)
レーベル:AOTL
トラックリスト:
1. Good Enough
2. OVERHEAT feat. Shurkn Pap
3. Play The Game
4. Fly again
5. Umbrella
6. Runaway

ジャケットアートワーク:
Creative Director : SEIYA
Photographer : Kazuki Murata
Videographer : Rio Tashiro
Stylist : Jun Ishikawa
Hair & Makeup : Arisa Kondo
Set build : Sho Kurita (STUDIO L’OBJET ART)
Logo Designer : Ryohei Kaneda (YES)
Production : ikoi inc.
Producer : Shohei Emi (ikoi)
Executive Producer : Tairiku Kawamura (AOTL)

ミュージック:
Lyrics: 3House
Music: 3House,GooDee
Produced by GooDee
Recorded & Mixed By The Anticipation Illicit Tsuboi (KHORDLINE inc.)
Mastered by Colin Leonard at SING Mastering, Atlanta, GA using SING Technology® (Patented).
A&R: THESIXDAYTONA,Tairiku Kawamura (AOTL)
Label: AOTL

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