新たなカルチャーフェス ROLL & BOUNCE FES のキュレーターを務めた SIRUP に 5 Questions
ブラックミュージックを軸に、多様なカルチャーが交差するROLL & BOUNCE FES。その立ち上げの背景とキュレーションに込めた思いをSIRUPに訊いた
新たなカルチャーフェス ROLL & BOUNCE FES のキュレーターを務めた SIRUP に 5 Questions
ブラックミュージックを軸に、多様なカルチャーが交差するROLL & BOUNCE FES。その立ち上げの背景とキュレーションに込めた思いをSIRUPに訊いた
去る11月3日(火)に開催された、R&Bを軸に活動するアーティスト SIRUP(シラップ)と、カルチャープロデューサー/マーケターの山﨑菜美子が手がける新たなカルチャーフェス ROLL & BOUNCE FES。ブラックミュージックをルーツに、音楽を起点とした多様なカルチャーとの出会いを創出することを目的に開催された同イベントでは、アーティストによるライブパフォーマンスをはじめ、トークセッションやビートメイクワークショップなど、さまざまなコンテンツを展開。音楽を聴いて楽しむだけでなく、その背景にある歴史や文化、クリエイションの過程にまで触れられる場となった。
音楽やファッションをはじめとするカルチャーが、スマートフォンを通じて手軽に消費できるようになった現代。だからこそ、実際にその場へ足を運び、人と出会い、身体を通して体験することにはどのような意味があるのか。今回『Hypebeast Japan』では、キュレーターを務めたSIRUPに“5 Questions”を実施。イベントを立ち上げた背景や独自のキュレーションに込めた思い、さらには日本の音楽シーンが抱える課題と今後への展望について話を訊いた。
Hypebeast:今回、自分たちの手でカルチャーが交差する場所をつくろうと思ったのは、どのような理由からでしょうか?
SIRUP:今はスマートフォンの画面を通して何かを感じたり、それだけで完結したりすることも多いですよね。もちろん、それ自体に良い面もありますが、実際に体験することや、そのためにお金を払うことにハードルを感じる人もいると思います。
ブラックミュージックはすごく大きく、幅広いカルチャーなのに、十分に知らないまま、自分がすでに持っている知識やイメージだけで判断されてしまうこともある。それは誰かが悪いというよりも、そもそも実際に触れられる場所が少なかったからではないかと感じていました。だからこそ、こういう場所をずっとつくりたいと思っていたんです。
このROLL & BOUNCE FESで何より大切にしたいのは、さまざまなカルチャーに共通するものを、来場者が身体を通して体験できること。そうした実体験こそが一番の学びになると思っています。そこからR&Bやジャズ、ヒップホップといった音楽を、もっと好きになってもらえたら嬉しいですね。
今や音楽フェスやイベントが数多く開催されている中で、ROLL & BOUNCE FESだからこそ実現したい体験や、既存のイベントとは異なる価値は何でしょうか?
一番の特徴は、いわゆるライブフェスではないということです。ライブは抽選制のため、どうしても観られる人数に限りがありますが、仮に目当てのステージを観られなかったとしても、別の場所ではジャムセッションが行われ、誰かが歌っている。そうした形で、会場のさまざまな場所で音楽に触れられるようにしています。
また、ライブを観るだけでなく、その背景にある制作過程にも触れてほしいという思いから、トラックメーカーがどのように楽曲をつくっているのかを体験できるビートメイクワークショップも設けました。普段何気なく聴いている音楽も、その成り立ちを知ることで、また違った聴こえ方になると思います。
今、ヒップホップやR&Bをはじめとするブラックミュージックは広く親しまれていますが、その背景にはアフリカ系アメリカ人が築いてきた歴史やストーリーがあります。そこに自分自身と共鳴する部分を見つけることで、音楽と自分とのつながりも、より深まっていくはずです。そうした一連の体験を1日で味わえることが、このフェスならではの価値だと思っています。
音楽に加え、ファッションやビートメイクのワークショップなど、さまざまなカルチャーに触れられる今回のフェスですが、来場者にはどのような気づきや発見を持ち帰ってほしいですか?
一番伝えたいのは、カルチャーは人の営みだということです。単に「かっこいいから」という理由で消費したり、何かを買ったり、身に着けたりするだけではなく、その背景には必ず、ゼロからものをつくっている人がいて、それぞれの考えや思いがあります。そうした背景に自分自身が共鳴できれば、今度は自分が何かをつくる側になるかもしれない。そういう原体験も含めて提供できる場所にしたいんです。
単にお客さんとして訪れる場所というよりも、カルチャーを体験したことで自分の中に何が残り、それが自分自身にどう反映されるのかを感じられる場所になればいいなと思っています。ビートメイクのワークショップも、そのきっかけの一つですね。
ジャンルや世代の異なるアーティストやクリエイターが集まる今回のフェスですが、キュレーションにおいて特に大切にしたことは何でしょうか?
まず、ベテランから活動を始めてまだ4、5年ほどのアーティストまで、幅広い世代の表現者を一度に見てもらえること。そして、ジェンダーバランスについても意識しました。
自分自身がヒップホップやポップ、R&Bといったさまざまなシーンを行き来できる立場にいたからこそ、このイベントをやろうと思った部分もあります。自分だったら、メジャーとアンダーグラウンドをもっと自然につなげられるんじゃないかと。自分だからこそ持っている視点を大切にしながら、今回のラインアップを組み立てていきました。
最後に、今後の音楽シーンやカルチャーに対して、このフェスを通じてどのような変化を生み出していきたいですか?
大きなフェスには、出演できるアーティストの枠やステージの動線など、ある程度決まったフォーマットがあると思います。でも、世の中には必ずしもバズりはしなくとも、素晴らしい音楽をつくり続けているアーティストがたくさんいるんです。そうした人たちが活動を続けられる場所があって、リスナーも知名度や話題性だけに左右されず、その音楽にきちんと目を向けられる。そんな場所やフェスがもっと増えて、シーン全体が大きくなっていってほしいと思っています。
簡単に言うと、日本はアンダーグラウンドとメジャーの間にある、いわゆるミドルの層をもっと大きくしていく必要があると思うんです。ROLL & BOUNCE FESが、その役割を担う場所の一つになれたらいいですね。
ROLL & BOUNCE FES
R&Bを軸に活動するアーティストのSIRUPと、カルチャープロデューサー/マーケターの山﨑菜美子が手がけたカルチャーフェス。ブラックミュージックをルーツに、音楽やファッション、アートなど、ジャンルを越えたカルチャーが交差する場として2026年11月3日(火)に、東京・表参道の『東急プラザ表参道「オモカド」』および『東急プラザ原宿「ハラカド」』にて開催された。ライブパフォーマンスをはじめ、トークセッションやジャムセッション、ビートメイクのワークショップなど、多彩なプログラムを通じて、音楽の背景にある歴史や文化、クリエイションに触れる機会を創出した。
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