エミリー・アダムス・ボーディ・アウジュラが語る Levi’s® と記憶 | Interviews
〈Levi’s®〉と〈Bode〉のコラボレーション発表のため来日していた彼女に、そのルーツとデニム観を聞いた
エミリー・アダムス・ボーディ・アウジュラが語る Levi’s® と記憶 | Interviews
〈Levi’s®〉と〈Bode〉のコラボレーション発表のため来日していた彼女に、そのルーツとデニム観を聞いた
〈Levi’s®(リーバイス)〉とニューヨーク発のブランド〈Bode(ボーディ)〉によるコラボレーションから、“Barrel Racer Jean(バレルレーサー・ジーンズ)”が登場した。本プロジェクトは、デザイナーのエミリー・アダムス・ボーディ・アウジュラ(Emily Adams Bode Aujla)自身の幼少期の記憶、とりわけ「Checkers(チェッカーズ)」と名付けられたポニーとの思い出を起点に構想された、極めてパーソナルなコレクションである。
本作は、ストレートレッグの単一シルエットで展開され、ライトウォッシュとダークウォッシュの2型をラインアップ。価格はそれぞれ72,600円(税込)。14オンスのセルビッジデニムを使用し、レングスは30インチと32インチで展開される。スタッズ装飾やカスタムラベル、さらにはポケット裏に配された幼少期の手書き文字など、随所に彼女の記憶と〈Levi’s®〉のアーカイブが交差するディテールが落とし込まれている。
東京でのローンチに合わせて来日していたエミリーに話を聞くと、彼女のデザインの根底には、幼少期から続く〈Levi’s®〉との関係が色濃く存在していることが見えてきた。ポニーに乗っていた頃の記憶、穿き込まれたデニムに刻まれる“個人の痕跡”、そして時代や文化を超えて受け継がれていくジーンズという存在。
本稿では、そんな彼女の言葉から、〈Levi’s®〉というブランドへの深い愛情と、その価値の本質に迫る。
“個人の歴史が刻まれた痕跡”こそが、デニムの魅力だと感じました
Hypebeast:今回のコレクションは幼少期の記憶をベースにしているとのことですが、当時からLevi’s®は身近な存在だったのでしょうか?
Emily Adams Bode Aujla:間違いなくそうです。私にとってLevi’s®は、アメリカンデニムそのものと切り離せない存在でした。子どもの頃、ワードローブにはいろいろな服がありましたが、その中心にあったのは常にLevi’s®でした。特に印象に残っているのは、ポニーに乗っていたときの記憶です。昔の写真を見返すと、いつもジーンズを穿いて馬に乗っています。ポニー競技にはフォーマルなスタイルのものと、よりカジュアルな“ブルージーンズ&チャップス(カジュアルな乗馬スタイル)”があり、後者では自然とLevi’s®を穿いていました。
エミリーさんにとってLevi’s®は、デザイナーとして、また個人としてどのようなブランドですか?
タイムレスであり、“試され続けてきたもの(tried and true)”という存在です。人生を通して持ち続けることができ、スタイルが変わっても変わらない。良いLevi’s®のアイテムは、ずっと同じ価値を持ち続けると思います。またデザイナーとしては、服や素材、クラフトの歴史と向き合うことが自分の仕事の核にあります。150年以上の歴史を持つLevi’s®と仕事ができることは、まさに夢のような機会でした。
Levi’s®の歴史や普遍性と、Bodeのパーソナルでクラフト的なアプローチはどのように交差しましたか?
まず、自分の中で「デニムがブランドの中でどう位置づけられるか」を考え、その後サンフランシスコの本社を訪れてアーカイブを徹底的に見ました。そこで目にしたのは、ストライプデニムやイラスト入りのデニム、スタッズなど、多様な表現でした。特に印象的だったのは、1940〜50年代の子ども用カウボーイ衣装のような存在です。そうした“エフェメラ(長く保存されることを前提としていないもの)”に強く惹かれました。それらはクラフトというより、むしろ記憶や感情に紐づくものであり、結果としてBodeの視点と自然に接続されたのだと思います。
Levi’s®のアーカイブの中で特に影響を受けたものは?
パーソナライズされたジーンズに強く惹かれました。ある1本は非常に穿き込まれており、ポケット脇が完全に色落ちしていました。その痕跡から、着用者が脚でマッチを擦っていたことまで分かります。そうした“個人の歴史が刻まれた痕跡”こそが、デニムの魅力だと感じました。
今回の“Barrel Racer Jean”において、ポニーとの記憶という個人的なストーリーをどのようにプロダクトに落とし込みましたか?
実際に子どもの頃に穿いていたジーンズのディテールを、具体的に反映しています。例えば、脚のサイドに装飾が入ったジーンズを穿いていた記憶があり、それは当時の写真にもはっきり写っているため、その要素を取り入れました。さらに、刺繍やパーソナルなディテールも重要な要素です。フライの内側には自分のイニシャルを入れ、ポケットの裏地には7歳頃の自分の手書き文字やイラストをプリントしています。また、“Mr. Checker’s favorite pair”というラベルも制作しました。これは自分が所有していたお気に入りのLevi’s®から着想を得たものです。
シルエットをストレートレッグの単一型、レングスも限定した理由は?
最初のコラボレーションにおいては、複雑にしすぎず、プロダクトの意図を明確に伝えることが重要だと考えました。まずは試着して、そのまま持ち帰れるようなシンプルな体験を提供したいと思ったからです。またユニセックスブランドであることもあり、アメリカと日本のチーム双方と議論しながら、最適なインシームを設定しました。今後の展開に向けた“学び”のプロセスでもあると考えています。
エミリーさんはヴィンテージデニムや過去の衣服とどのように向き合い、収集されていますか?
私はコレクターでもあるので、自身のアーカイブを持っています。特に子ども用のデニムが好きで、非常に小さいサイズのLevi’s®を収集しています。自分自身でも100本ほどのジーンズを所有しており、人生の異なる時期に穿いていたデニムが、今回のフィットやウォッシュにも影響を与えています。
アメリカと日本でのデニム文化の違いについてどう感じますか?
両者は互いに影響し合っていると思います。日本のコレクター文化が、アメリカにおけるデニムの捉え方にも影響を与えていると感じています。ワークウェアでありながらコレクターズアイテムでもあるという二面性が、両国の間で共有されているのだと思います。例えば、私の父はこれまで一度もデニムを穿いたことがありませんでしたが、今回の東京でのローンチをきっかけに興味を持ち始めました。そうした変化を見るのも、とても面白いですね。デニムという存在が、人や文化の間を行き来しながら新しい価値を生み続けていることを、改めて実感しています。
エミリー・アダムス・ボーディ・アウジュラ(Emily Adams Bode Aujla)
ニューヨークを拠点とするブランド〈Bode〉の創設者兼デザイナー。ヴィンテージテキスタイルやアンティークの衣服、個人の記憶や物語を起点にしたコレクションで知られる。2016年にブランドを立ち上げ、メンズウェアを中心に、クラフト性とパーソナルなナラティブを融合させた独自のスタイルを確立。2019年には、女性デザイナーとして初めてアメリカ・ファッションデザイナーズ協議会(CFDA)のメンズウェア部門で最優秀新人デザイナー賞を受賞するなど、国際的な評価を獲得している。





















