AirPods Max 2 を持って F1 観戦に行ってみた|鈴鹿で検証したノイズキャンセリングと音質

爆音、雑踏、長時間移動。オーディオ機器にとって過酷とも言える環境で、AirPods Max 2はどこまで通用するのか。発売前に14日間の試用機を入手した筆者は、先週末に開催されたF1日本グランプリ(鈴鹿)に持ち込み、その実力を検証した

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Apple(アップル)」から発表されたばかりのオーバーイヤー型ヘッドフォン AirPods Max 2を14日間試用できる機会を得た。ちょうどタイミングよく、先週末に三重・鈴鹿でF1グランプリが開催されるということで、移動から現地までフルで使い倒してみた。

今回のアップデートの核となるのは、新たに搭載されたH2チップである。これにより、「アクティブノイズキャンセリング(ANC)」は従来比で最大1.5倍に強化されたほか、環境に応じて音を最適化する「アダプティブオーディオ」、会話時に自動で音量を下げる「会話認識」、リアルタイムで言語を翻訳する「ライブ翻訳」といった新機能が追加されている。

新幹線で実感した「1.5倍」の意味

まず東京から名古屋へ向かう新幹線車内で、ノイズキャンセリング機能を試した。というのも、この時点では自分のiPhoneを最新のOS 26.4にアップデートしておらず、音楽再生など一部機能が制限されていたため、まずは純粋にノイズキャンセリング性能のみを検証。

車内で開封し手に取ると、一般的なハイエンドヘッドフォンが250〜300g台であるのに対し、AirPods Max 2は約386gとやや重量級。わずかに重さを感じるものの、装着してみると印象は変わる。メッシュ構造のヘッドバンドとメモリーフォームが圧力を分散し、非常に安定した装着感を実現している。これなら、長時間でも問題なさそうだ。そして、肝心のノイズキャンセリング性能はというと、“消し方”の質がいい。完全に遮断するのではなく、あくまで自然に、ノイズを遠ざける。なるほど、これが「アクティブノイズキャンセリング」なのね。従来比で最大1.5倍向上したという進化は、決してスペック上の誇張ではない。

AirPods Max 2は8つのマイクと新しいアルゴリズムによって、環境音をリアルタイムで解析し続ける設計になっている。そのため、走行音のような持続的な低周波ノイズだけでなく、人のざわめきといった中高域も自然に抑えられる。実際、ヘッドホンを外した瞬間、「新幹線車内はこんなにうるさかったのか」と思うほど、自然に音を消していた。となると、AirPods Max 2は、集中環境を作るツールとしても成立かもしれない。(かくいう今も、AirPods Max 2のノイズキャンセリングを効かせながら、この原稿を書いている。)

音質は“低音が強い”ではなく“精度が高い”

滞在先のホテルに到着後、iPhoneを最新OSにアップデートし、音楽再生へ。音の第一印象は、「重低音が強い」というよりも「レンジが広い」である。AirPods Max 2は40mmのカスタムドライバーと、新しい高ダイナミックレンジアンプを採用しており、歪みを抑えながら音量と情報量を両立している。

特に低域は量感だけでなく輪郭がはっきりしている感じがある。ベースラインの位置が明確に分かる。一方で高域は刺さらず、ボーカルも前に出すぎない。ジャンルを選ばないバランス型なのかもしれない。普段はワイヤレスイヤホン派なので、よりよく音の良さを感じたのかもしれないが、音楽をしっかり楽しむなら、断然こっちの完成度である。

操作性は「触覚で完結」

実用面で優れていると感じたのが操作性。耳から外すと自動停止、装着&ワンボタンで再開という基本動作に加え、Digital Crownによる物理操作が非常に直感的。ボタン位置を視認せずとも指先で完結するため、移動中や荷物を持っている時にもストレスがない。スマートフォンを取り出さずに完結する設計は、単なる便利機能ではなく、体験の質を一段引き上げている。

鈴鹿&インタビューで試す「ライブ翻訳」

サーキット観戦中に、新機能である「ライブ翻訳」も試してみた。Apple Intelligenceをベースにしたリアルタイム翻訳機能で、AirPods Max 2を装着したまま、相手の言語を理解できるというものだ。正直に言えば、F1会場のような極端な騒音環境では完璧とは言い難い。ただし、ある程度距離が近く、落ち着いたトーンで会話ができれば、十分に実用範囲にある。

今回は、日本語が話せない知人に協力してもらい、「AirPods Max 2の翻訳性能を試す」という前提で検証してみた。基本的な会話は問題なく成立する一方で、なぜか“Fxxk”のようなスラングはうまく拾わない。意図的なのかは不明だが、ある種のフィルターがかかっているような挙動も見受けられた。

また、後日、〈Bode(ボーディ)〉のデザイナーの撮影時にも、このライブ翻訳を試してみたが、こっちがそういう機能を使っている、と説明すれば、相手は合わせて会話してくれるし、耳から聴こえてくる日本語も、十分に理解可能なレベルだった。

なお今回は検証できなかったが、両者がAirPods Max 2、あるいは同様の機能を持つAirPodsを装着していれば、翻訳を介した“会話”としてより自然に成立するはずだ。数年後には、この体験が当たり前になっている可能性が想像できた。

F1の爆音とAirPods Max 2

レース中のエンジン音は、耳栓を使う人もいるレベルの大音量だ。その環境で試したところ、「アクティブノイズキャンセリング」によって音圧は適度に抑えられつつも、エンジン音の質感そのものはしっかりと残る。単に音を遮断するのではなく、音の輪郭を保ったまま整理してくれる印象だ。

さらに、外音を取り込みながら周囲の音を自然に再現するTransparency(外音取り込み)モードでは、場内アナウンスも埋もれずに聞き取りやすい。環境音を保ちながら、情報を把握しやすい設計だ。これは単なる遮音ではなく、「必要な音を残す」設計思想の結果だろう。結果として、観戦体験を損なうどころか、むしろ情報を整理し、F1体験をより快適にするデバイスとして機能していた、と言っていい。耳の疲れが和らぐ気もしたので、次回のF1観戦でも持っていきたいと思わせる完成度である。

帰路の混雑を“無効化”する、そして見えてきた本質

AirPods Max 2 を持って F1 観戦に行ってみた|鈴鹿で検証したノイズキャンセリングと音質

帰りの名古屋駅は、F1に加えコンサートや競馬開催も重なり、極めて混雑していた。いわば、音と人が密集する都市的カオスである。

しかし、AirPods Max 2を装着した瞬間、その環境は一変する。環境音は一気に整理され、周囲の喧騒は“遠くへ引いていく”印象。自分だけのパーソナルな空間が立ち上がる感覚、と言ってもいいかもしれない。必要な音は取り込みつつ、不要なノイズは自動で抑制される。完全に遮断するのではなく、「聞くべき音を選び取る」というアプローチで、都市の雑踏すらコントロール可能なものへと変えてしまう。その上で、ノイズに邪魔されることなく、解像度の高い音楽に深く没入できる。単に“静かになる”のではなく、“音楽を楽しむための環境が整う”という感覚に近い。

鈴鹿への往復を通じて、2日間ほぼ首にかけ続けていたが、不快感はほとんどなかった。むしろ、首にかけたときの佇まいも含めて、「スタイルとして成立している」と感じられるプロダクトである。

ただ、価格は89,800円(税込)と決して安くはない。それでも、移動時間が長い人や、都市のノイズに日常的にさらされている人にとっては、その価値は十分にある。とりわけ、「最高峰のノイズキャンセリング」と「ライブ翻訳」という新しい体験に魅力を感じるなら、選ぶ理由は明確だ。

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