『プラダを着た悪魔 2』は、今作られるべき続編だった
前作へのノスタルジーに頼ることなく、変わりゆく時代の中で生き残ろうとする人々を描き、新たな物語として成立させている
公開前には「本当に続編は必要なのか」という声も少なくなかった『プラダを着た悪魔 2』。2006年の前作は完璧な形で物語を終えていただけに、その続編には大きなハードルがあった。しかし、本作は単なるノスタルジーに頼ることなく、現代のメディア業界を舞台に新たな物語を描き出している。
物語は、メディアを取り巻く環境が大きく変化した20年後が舞台。アン・ハサウェイ(Anne Hathaway)演じるアンディ・サックスは、受賞歴を持つ調査報道記者となったものの、突然の解雇をテキストメッセージ一通で告げられる。一方、メリル・ストリープ (Meryl Streep)演じるミランダ・プリーストリーは、デジタルシフトが進む出版業界の中で、自身のキャリア最大の危機に直面する。そして、かつての第一アシスタントだったエミリー・ブラント(Emily Blunt)演じるエミリー・チャールトンは、〈Dior(ディオール)〉の幹部として成功を収め、今やミランダが頼らざるを得ない存在へと成長している。
本作が描くのは、衰退するメディア業界の中で、それぞれの立場から生き残ろうとする人々の姿だ。レイオフや紙媒体の縮小といった現実だけではなく、かつて業界を築き上げた人々が、新たな時代にどう向き合うのかというテーマが物語の軸となっている。
続編の見どころのひとつは、ミランダの描き方だろう。ストリープは、20年の歳月を経たミランダを、かつての威圧的な人物像を残しつつも、より成熟した人物として演じている。単なる“丸くなった”キャラクターではなく、信念をさらに強く持つ存在へと変化した姿が印象的だ。
また、ファッションも本作の大きな魅力となっている。衣装デザインは『セックス・アンド・ザ・シティ』新章の『And Just Like That…』でも知られるモリー・ロジャース(Molly Rogers)が担当。前作で衣装を手掛けたパトリシア・フィールド(Patricia Field)からバトンを受け継ぎ、ブランドロゴを前面に押し出すスタイルではなく、着る人の個性を映し出すようなスタイリングを構築している。ミランダが着用する〈Dries Van Noten(ドリス ヴァン ノッテン)〉のジャケットなど、細部まで計算されたルックも見逃せない。
そして何より、本作最大の魅力は、メオリジナルキャストの再集結にある。過去作へのオマージュに終始することなく、それぞれのキャラクターが現在の立場から物語を動かしていく。特にミランダとエミリーの緊張感あるやり取りは、本作でも屈指の見どころとなっている。
20年ぶりの続編となる『プラダを着た悪魔 2』は、単なる懐古的なファンムービーではない。前作がファッションを通してカルチャーの力学を描いたように、本作では変わりゆくメディア業界を背景に、時代の変化とキャリアの在り方を問いかける作品へと進化を遂げている。



















