約400gのダウンに宿る平野歩夢のスタイル ── UNIQLO ライトダウンボリュームジャケット | Interviews

「アウターを着ていない感覚で着られるダウン」。世界の舞台で戦う平野歩夢が求めた“軽さ”を、街の日常へ

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プロスノーボーダーとして世界のトップを走り続けながら、ファッションにおいても独自のスタイルを貫いてきた平野歩夢。そんな彼が〈UNIQLO(ユニクロ)〉と長年にわたって取り組んできたウェア開発から、新たなアイデアを受け継いだ1着が誕生した。2026年秋冬シーズンに登場するライトダウンボリュームジャケットだ。その背景にあるのが、平野自身が競技や練習で着用するために開発されたスペシャルモデル。2018年のアンバサダー就任以降、〈UNIQLO〉は平野とともに競技用ウェアの開発を継続してきた。パーツによって羽毛と中綿を使い分けることで暖かさも動きやすさも兼ね備えたハイブリッドダウン、より軽く身体の動きを妨げないシェルジャケット。それらを経て、次に平野が求めたのが“ダウン”。ただし、その“ダウン”への条件は明快だった。

暖かいこと。そして、とにかく軽いこと。

「厚手のものって結構重たかったり、かさばってしまう」。平野がそう語るように、数十グラム、数百グラムの違いが身体の感覚を左右する競技の世界では、防寒性だけを追求すればいいわけではない。さらに彼が求めたのは、典型的なスノーボードウェアではなく、自身が普段着ている服の延長線上にあるシルエットだった。そこで生まれた選手提供モデルの思想を、より多くの人の日常へと落とし込んだのが、今回紹介するライトダウンボリュームジャケットである。レッド、ブラック、オリーブ、パープル、ネイビーの全5色をラインアップし、価格は9,990円(税込)。

ボリュームのあるルックスとは裏腹に、重量は約400g(※Lサイズでの測定値)。〈UNIQLO〉が展開する他のダウンと比べても、およそ半分という軽さを実現している。その秘密は、後身頃や袖からダウンパックを取り除いた独自の構造にある。余分な重量を抑えることで、軽やかで快適な着心地を実現しながら、750フィルパワーのダウンを採用することで、高い保温性もしっかりと確保している。平野の言葉を借りれば、それは「アウターを着ていない感覚で着られるダウン」1着だ。さらに、オーバーサイズでありながら丈を短めに設定したシルエットにも、彼のスタイルとの共通項が見える。

『Hypebeast Japan』では、ライトダウンボリュームジャケットを纏った平野を撮り下ろすとともに、本人へのインタビューを実施。開発の背景から、ウェアとパフォーマンスの関係、そして彼自身のファッション観まで、平野歩夢の言葉を通して、この1着に宿る思想を紐解いていく。


スノーボードの歴史を見ても、最初の頃は私服を格好よく着こなして滑っている人たちがいた。

Hypebeast:今回のダウン開発で、最初に平野さんから伝えた要望はどんなものだったのでしょうか?

平野歩夢:これまでは、シェルジャケットを中心にUNIQLOさんと作らせてもらっていたんですけど、冬は場所によって温度差もありますし、ダウンジャケットも必要だなと思っていました。でも、通常のダウンジャケットは結構重かったり、かさばってしまったりして、競技や普段の練習では使いづらい。だから僕の方からなるべく軽くて、動きやすいダウンを提案させてもらいました。それと僕はファッションにもすごく興味があるので、普段の私服に近いシルエットでウェアを作れたらいいなというのが最初のきっかけでした。サイズはオーバーサイズなんですけど丈は短めで、身軽に着られる。そのあたりはかなり意識しましたね。

実際、競技でもUNIQLOが作ったスペシャルモデルを着用しているのですか?

はい。去年は大会でも着ていました。

今日、撮影で着こなしていただいたライトダウンボリュームジャケットは、平野さんの思想から生まれた市販モデルです。実際に着てみてどうですか?

自分が提案して、その延長で作られたものなので、やっぱり安心感というか、「自分が納得できるものだな」というのは改めて感じています。結構自分も「ここがちょっと」という細かいところまでこだわって、毎回ウェアの開発に携わっているので。無駄なものをそぎ落としたダウンジャケットというか。着やすさや軽さは、実際に着た人にも感じてもらえると思います。

平野さんの考える、ダウンジャケットにおいての「無駄をそぎ落とす」を具体的に言うと?

ポケットがいっぱい付いているわけでもないし、1着に色は多く使わない。見え方としてはすごくシンプル。合わせやすくて、軽くて、動きやすくて、持ち運びもしやすい。それでいてミニマルシルエットで、ファッション性もある。僕はスノーボードをするときも、いわゆるスノーボードジャケットを羽織るというより、普段の自分の私服に近いシルエットのウェアを着ていきたいと思っていて。街でも着られるし、そのままスノーボードに行って練習や競技もできる。そういうダウンにできないかな、というのが最初からありました。

機能を詰め込んだ“オーバースペック”なウェアより、必要なものだけを残した服で滑る方が格好いい?

それは思いますね。スノーボードの歴史を見ても、最初の頃は私服を格好よく着こなして滑っている人たちがいた。でも機能性が進化していくにつれて、ファッション性は削られていっているのかなって、客観的にウェアを見ていて思うことがあります。「物としてはいいけど、格好いいものが少ないな」とか。そういう部分は結構感じていました。

普段、ダウンジャケットを選ぶ際に重視していることはあります?

サイズ感と色味ですね。同じ色でもいろいろなトーンがあるじゃないですか。形が良くても、この色味だと格好悪いということもある。そのバランスはすごく大事だと思っていて、必ず試着して、鏡の前で確かめます。サイズも、大きければいいわけじゃない。自分はタイトなものは小さい頃からあまり好きじゃないんですけど、それは横乗りをやってきたことも影響しているのかもしれないですね。

普段はどんなシルエットが多いですか?

やはり基本的にはオーバーサイズです。ボトムスは太めで、上から下までストレートに落ちるものが多いですね。トップスは単純に大きいというより、自分の身体に合うもの。身幅があって、丈が短くて、パンツとのバランスがいい。後ろから見たときのシルエットも重要だと思っています。ファッションって、自分の身体のサイズ感を分かっていることがすごく大事だと思うんです。

ちなみにウェアは競技のパフォーマンスにもやっぱり影響します?

かなりあると思います。僕は自分に合っていないもので滑ると、本当に滑りたくないぐらい影響しちゃうんです。逆に「これだ」と思ったものを着て滑ると、気持ちも入るし、「これで自分を表現できる」という楽しみに切り替わる。飛んでいるところを写真に撮られたときも、自分が格好いいと思うものを着ているので、気分は良いです。大会でも自分がいいと思っているウェアを見てもらえることにテンションが上がりますし、気持ちが切り替わることで、結果にも多少影響する可能性はあると思います。

そんな平野さんのファッションスタイルに大きな影響を与えた人物はいますか?

小さい頃はトップのスノーボーダーに憧れたり、真似したりすることもありました。でも、それがどんどん薄れて、自分にフォーカスするようになった。人というより、自分対自分になってきたのかなと思います。誰かの真似をしたくないという気持ちもどんどん強くなったし、同じことをずっと続けてきた延長線上で、「誰かと同じじゃない方が格好いいんじゃないか」と思うようになっていったのかもしれません。

2018年から〈UNIQLO〉のアンバサダーを務めています。この8年間で関係はどう変わりましたか?

最初にアンバサダーに選ばれたときは、自分にとって新しいチャレンジで、違和感もありました。でも、自分にしかできないことを突き詰めながら、新しいことにも挑戦していきたいという気持ちがあった。長年一緒にやってきたからこそ、自分の意見を取り入れてもらいながら、こういうデザインやウェアを開発できるようになったと思います。〈UNIQLO〉さんじゃないとできないことをやらせてもらっているという実感もありますし、そこへの感謝は年々深まっていますね。

ありがとうございました!

平野歩夢(Ayumu Hirano)
1998年11月29日、新潟県生まれ。4歳でスノーボードとスケートボードを始め、幼少期からその才能を発揮。2014年のソチ冬季オリンピックでは、15歳で男子ハーフパイプ銀メダルを獲得し、2018年の平昌大会でも銀メダルに輝いた。東京2020オリンピックではスケートボード男子パークに出場し、夏冬両方のオリンピック出場を果たす。2022年の北京冬季オリンピックでは、男子ハーフパイプでトリプルコーク1440を成功させ、悲願の金メダルを獲得。2026年ミラノ・コルティナ冬季オリンピックにも出場し、同種目で7位入賞を果たした。競技の枠を越え、ファッションやカルチャーの領域でも独自のスタイルで存在感を放つ、日本を代表するアスリートのひとり。


約400gのダウンに宿る平野歩夢のスタイル ── UNIQLO ライトダウンボリュームジャケット | Interviews 

平野歩夢着用:パープルダウンのルック
ライトダウンボリュームジャケット、スウェットフルジップパーカ、エアリズムコットンボーダーTシャツ、バギージーンズ<すべてUNIQLO>

平野歩夢着用:オリーブダウンのルック
ライトダウンボリュームジャケット、オーバーサイズスウェットシャツ、エアリズムコットンボーダーTシャツ、フリースジョガーパンツ<すべてUNIQLO>

平野歩夢着用:赤ダウンのルック
ライトダウンボリュームジャケット、スフレヤーンポロセーター、イージーケアソフトシャツ、ストレートジーンズ<すべてUNIQLO>

〈UNIQLO〉のライトダウンボリュームジャケット(9,990円・税込・5色展開)は、全国のユニクロ店舗およびオンラインストアにて、販売中。
UNIQLO ONLINE

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