Interviews: ジョナサン・アンダーソンが5年目を迎える UNIQLO and JW ANDERSON の軌跡を振り返る
“結局のところ、今の僕にとって一番大事なのは着心地なんだ”
2017年秋冬シーズンに〈UNIQLO and JW ANDERSON(ユニクロ アンド ジェイ ダブリュー アンダーソン)〉がデビューして以来、このパートナーシップは〈UNIQLO(ユニクロ)〉で最も期待されているコラボレーションとして今日まで続いている。
〈JW Anderson〉のメインラインやクリエイティブ・ディレクターを務める〈LOEWE(ロエベ)〉での仕事とは明らかに異なり、Jonathan Anderson(ジョナサン・アンダーソン)は〈UNIQLO〉とのデザイン作業において、快適さとシンプルさを念頭に置いた実用的なアプローチに加え、着る人のためにのラグジュアリー感を加えている。今年で5年目を迎える両者のコラボレーションは、ヒートテックを使用した秋の色彩、ニット、レイヤリングオプションで構成された2022年秋冬コレクションを発表した。
Jonathanは「長年にわたりコレクションを重ねるごとに、UNIQLOとのコラボレーションが進化しているのを見るのは興味深いことです。良いコラボレーションは、2つの心、2つのブランドが出会い、それぞれのコードが混ざり合い、緊張感をもって行われなければなりません。難しいことですが、チームは協力し合い、JW ANDERSONの要素がUNIQLOのフレームワークに適用されているのがわかります。UNIQLOはグローバルに通用するブランドだと思いますし、柳井さんには、とても刺激を受けています」と共同作業がとてもうまく行っていることを明かしてくれた。
〈UNIQLO〉の柳井正氏のビジョンと、アンダーソン氏のブリティッシュデザインを推し進める姿勢、この両者の名を冠したコレクションは、スフレ糸のフェアアイルセーター、アウターフリース、トートバッグ、防臭ソックスなどがベストセラーになり、ファンは冬の必需品として買い求めるようになっていった。約5年にわたる〈UNIQLO〉とのコラボレーションがどのようなものだったのか、Jonathanに最近のコレクションについて、またユニクロとのデザインパートナーシップを成功させるための初期段階について話を聞きいてみた。
Hypebeast:UNIQLOとのパートナーシップは5年目に突入しましたね。これまでのコレクションから学んだこと、そして今回のコレクションに活かせたことは何でしょうか?
毎シーズン、UNIQLOとJW ANDERSONのワードローブを一緒に作り、さまざまな要素を追加しています。特にシェイプやシルエットは、常に微調整をしながら改良していく作業です。そこから同時に新しさが生まれることもあります。例えば今回のコレクションでは、物事の本質を徹底的に突き詰めました。生産面ではいかに完璧でありながら、それでいて謙虚でいられるか、ということを考えています。最終的には、着心地が一番大事です。
UNIQLOのターゲットとする価格帯を考えると、デザインも変わってくるのでしょうか?また、逆にラグジュアリーで仕事をするよりも制約が少ないのでしょうか?
常に頭の使い方を変えています。UNIQLOの顧客はとてもグローバルで、さまざまな層がアクセスできるという点で素晴らしいと思います。そういう意味で、ライフウェアは両方のブランドの魅力に触れることができるのです。JW ANDERSONのクリエイティビティを、いかにUNIQLOのフレームワークに落とし込むかがポイントです。JW ANDERSONにはテクニカルファブリックを開発する能力とノウハウがありますから、私たちが一緒に仕事をすることで、全体的なプロセスが見えてくるのです。
今回のコレクションの中で、お気に入りのアイテムは何ですか?
このコレクションには、素朴な家庭的要素があります。アーガイルや、対照的な柄のアウターなどです。フェアアイルニットはイギリスらしく、子供の頃を思い出すので是非取り入れたいと思っていました。
今回のコレクションは、メンズとレディースの両方がありますが、アウターウェア、シャツ、アクセサリーなど、カテゴリーごとに分けて、一度に制作したのですか?
コレクションの目的や伝えたいことが決まれば、あとはその都度、メッセージを考えていくだけです。ワードローブに指示を出すというよりは、ワードローブを明確にすることが大切です。トレンドに左右されることなく、シーズンを通してミックスできるようなワードローブを構築することが大切です。
UNIQLOは日本発のグローバルブランドですが、英国らしさを意識したことはありますか?
私たちは言うまでもなくイギリスのブランドです。だからこそ、イギリスのさまざまな家具やミッドセンチュリーのデザイン、ポストモダンの建築物を見てきました。工芸品や歴史を感じさせるものが欲しかったのです。そうすることで、よりパーソナルな要素が加わると思うのです。