Apple Music が新たなビジュアル・アイデンティティを発表 ── Fred again.. とのコラボレーションで音を可視化
数カ月にわたる実験を通じて、サウンドを視覚化した新ブランド・アイデンティティが誕生
『Apple Music(アップル ミュージック)』が、2015年のサービス開始以来初となるブランド・リニューアルを実施。英国のトッププロデューサー/アーティスト Fred again..(フレッド・アゲイン)との協働により、新ビジュアル・アイデンティティを制作した。
今回のアイデンティティの核となるコンセプトは「Made by Sound」。同社がクリエイティブ・エージェンシー「TBWA\Media Arts Lab」とともに手がけた新たなビジュアル・アイデンティティは、音によって生み出される波紋をデザインに落とし込んだもの。一般的なブランディングでは、まずビジュアルを制作し、その後にサウンドを組み合わせることが多い。しかし、「Apple」と長年タッグを組んできた「TBWA\Media Arts Lab」は、そのプロセスを逆転させた。
Fred again..は、コラボレーターのNEST Acoustics(ネスト アコースティックス)とともにオリジナル楽曲を制作し、それを一つひとつの音へと分解。音声信号を物理的な振動に変換する装置『トランスデューサー』をオイルの中に設置し、個々の音を再生することで液面に波紋を発生させた。その動きをカメラで直接撮影し、映像そのものを新たなビジュアル・アイデンティティの土台としている。一見シンプルに思える手法だが、完成までの道のりは決して容易ではなかったようだ。制作チームは音と映像のバランスを調整するため、数カ月にわたって実験を重ねたという。音数が多すぎたり、音程が高すぎたりすると、オイルが激しく動きすぎて映像として認識しづらくなる。そのため、音楽と視覚表現を一体のものとして細かくチューニングする必要があった。
こうした試行錯誤の末に完成したのが、実際に撮影された液体の動きを反映した、新たな音符のアイコンだ。躍動感のあるフォルムが特徴でありながら、「Apple」らしさもしっかりと継承し、半透明の質感を特徴とする同社のデザイン言語「Liquid Glass」ともつながりを持たせている。一方、制作チームは完成したロゴについて、音がどのように見えるかを想像して描いたものではなく、音楽が物理的に残した記録であると説明している。
加えて、ワードマークも刷新。「Apple」のシンボルに、同社独自の書体『SF Pro』をベースにカスタマイズした太字の小文字を組み合わせ、ブランドに新たな個性をプラス。それでいて、「Apple」のデザインシステムとの一貫性も保っている。書体デザインに関するコンサルティングと、ベクター形式でのロゴ再構築はPlauが担当した。ロンドンの人々は、すでに新しいアイデンティティを目にしているかもしれない。ワードマークは9月、ロンドンに誕生した新たなライブミュージック・ベニュー『Apple Music Hall(アップル ミュージック ホール)』のプロモーションを通じて初めて披露された。
今回の制作に用いられた楽曲は、「Apple Music」の新たなサウンド・シグネチャーとしても採用されている。つまり、ブランドのビジュアルとサウンドを同じクリエイティブの源泉から生み出すことで、両者を一体化させたのだ。『Apple Music』はXおよび『Instagram』で、このアイデンティティをFred again..とNEST Acousticsによるオリジナル楽曲から「物理的に形づくられたもの」と紹介。ジョー・ジャクソン(Joe Jackson)が監督を務めたメイキング映像も公開されており、制作の全工程を垣間見ることができる。映像制作は「Optical Arts」、VFXは「Time Based Arts」、カラーグレーディングと仕上げは「Trafik」、音楽のミックスは「Model Citizen」がそれぞれ担当した。
この新ビジュアル・アイデンティティは、今週から『Apple Music』の各種コンテンツに順次導入される予定。さらに、近日配信予定のiOS 27.2にあわせてアプリにも反映され、その後、マーケティング施策や各種プロダクトへと展開されていく。