地球が観測史上最も短い1日を経験したことが判明
ほんの僅かでも予測不可能で壊滅的な停電につながる可能性がある

ついこの間のことだが、2022年6月29日、我々が住んでいるこの“地球”は、科学者が1960年代に原子時計での記録を始めて以来、観測史上最も短い1日を経験したらしい。一日を秒数で表すと約86,400秒、この現象が起こった日はそれより1.59ミリ秒短かったという。笑い話のように思えるかもしれないが、米「Meta(メタ)」社のエンジニア、Oleg Obleukhov(オレグ・オブレウコフ)とAhmad Byagowi(アフマド・ビャゴウィ)によれば、この僅かな地球の自転速度の早まりが“予測不可能で壊滅的な停電”につながる可能性があるのだという。
なぜならば、この自転の速度は“負のうるう秒”をもたらす可能性がある、というのだ。1972年に「International Earth Rotation Service(国際地球回転事業)」によって初めて導入された“うるう秒”の概念は、地球の自転の“遅れ”を相殺するために初めて導入したものだ。その“遅れ”を調整するために“正”に時間を追加するのとは逆の“負”の自転時間の変化は、国際原子時(TAI)と協定世界時(UTC)に設定されているITシステムに影響を与える可能性がある。
「Meta」社のブログ記事で2人のエンジニアから共有されているように、“正”のうるう秒はデータの破損やサーバーのクラッシュにつながる恐れがあることが分かっているのだが、これまで“負”のうるう秒に関しては大規模なテストが行われたことがなく、どうなるか分からないというのだ。故にこれがタイマーやスケジューラーに依存しているソフトウェアに対して“壊滅的な影響”を与える可能性がある、ということらしい。科学者たちは現在、よりリスクの低い解決策を模索している。
また、投稿されたブログには、彼らから分かり易い例えが添えられている。「地球の自転が不規則になる要因として、世界の高山にある氷冠が常に融解と再氷結を繰り返していることが挙げられます。この現象は、回転するフィギュアスケーターが、腕と手をコントロールすることで角速度を調節していると考えると分かりやすい。フィギュアスケートの回転を思い浮かべてみてください。腕を拡げると角速度が下がり、スケーターの運動量がゆっくりと保たれる。逆に両腕を引っ込めて回転すると、角速度が速くなります。このように、氷冠の融解は回転するフィギュアスケーターが両腕で速度をコントロールするのと同じように、角速度が変化する回転速度と関係するのです」
地球の自転パターンが変化していることが原因とのことなのだが、いずれにせよ、このような現象はハードウェアのインフラを管理する人々にとって大きな悩みの種となっており、大規模な不具合をもたらすことがあり得る、ということを覚えていたほうが良いようだ。