blackmeans x ©SAINT Mxxxxxx ── パンクカルチャーが交差した初共演 | Interviews

互いのカルチャーへの深いリスペクトから実現した〈blackmeans〉と〈©SAINT Mxxxxxx〉初のコラボレーション。制作背景からコレクションに込めた思想、今後の展望までを解き明かす。

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パンクカルチャーをルーツに、卓越したクラフトマンシップと独創的なデザインで国内外から高い評価を受ける〈blackmeans(ブラックミーンズ)〉と、ヴィンテージウェアの風合いを追求した精巧な加工技術と独自のグラフィックで世界的な支持を集める〈©SAINT Mxxxxxx(セントマイケル)〉が、初のコラボレーションコレクションをリリースする。

第1弾は8月8日(土)に発売。ヴィンテージ加工を施したTシャツなどがラインアップし、第2弾は11月に発売予定で、ライダースジャケットをはじめとするレザーアイテムが展開される。

本コレクションは、東京ブランドの中でも無骨な存在感を放つ〈blackmeans〉を、〈©SAINT Mxxxxxx〉ならではのフィルターを通して再構築したもの。唯一無二のヴィンテージ加工を施したTシャツに加え、自転車乗りの視点を取り入れた背面ポケット付きのライダースジャケットなど、パンクやロックのエッセンスを現代のストリートウェアへと昇華したアイテムがそろう。

そこで今回『Hypebeast』では、初のコラボレーションを記念し、〈blackmeans〉を手がける小松雄二郎と村越雄大、〈©SAINT Mxxxxxx〉を手がける細川雄太とカリ・デヴィット(Cali DeWitt)の4名にインタビューを実施。コラボレーション誕生の背景から、制作秘話、コレクションに込めた思想、そして今後の展望まで話を聞いた。


思想が共鳴した4人が語る、初コラボレーションの全貌

Hypebeast:今回が初のコラボレーションとなりますが、実現に至った経緯を教えてください。

カリ・デヴィット(以下C):blackmeansは以前から好きなブランドで、彼らが生み出すアイテムには常にリスペクトを持っていました。以前から「いつか一緒に何かできたら」と思っていたので、今回はこちらから声をかけさせていただいたんです。

細川雄太(以下H):僕らのブランドは2人でデザインしているので、どちらか一方だけが考えているというより、2人でひとつのものを作り上げているような感覚なんですよ。カリさんは音楽が大好きで、レコードもたくさん集めていますし、小松さんをはじめとするblackmeansが持つカルチャーにもすごく詳しい。その背景や魅力を、普段から僕にも教えてくれていました。

小松雄二郎(以下K):そう言っていただけるのは、本当にうれしいですね。ただ、僕自身はブランドを細かく追うタイプではなくて。きっかけは、村越くんから「これは絶対に良いコラボレーションになる」と勧められたことでした。そこから©SAINT Mxxxxxxのことを知ったんです。

ブランドとして大切にしている価値観が、お互いに近かったことも大きかったわけですね。

村越雄大(以下M):僕らは誰とでもコラボレーションをするわけではありません。相手の考え方やものづくりに共感し、仲間として同じ方向を向いて取り組めることが大切だと思っています。だからこそ、本気でものづくりに向き合える相手であることが重要ですし、そこが欠けてしまうと相手にも失礼になってしまう気がするんです。

K:お話をいただいてから©SAINT Mxxxxxxについて改めて調べてみると、カリさんや細川さんがカルチャーを深く理解し、それを表現へと落とし込んでいる方たちなんだと感じました。表面的なデザインを取り入れるのではなく、その背景や価値観まで含めてものづくりをしている。その姿勢には強く共感しましたね。僕らはレザーを自分たちの手で加工し、1着ずつ仕上げています。一方で©SAINT Mxxxxxxも、デニムやTシャツを通して独自の世界観を築いている。扱う素材や表現方法は違っても、ものづくりに向き合う姿勢には通じるものがあると感じました。

制作は、それぞれどのような役割で進めていったのでしょうか?

H:役割分担というほど明確に分かれていたわけではありませんが、最初にカリさんが、小松さんたちが聴いてきたであろう音楽やカルチャーを感じられるレコードジャケットをたくさん送ってくれたんです。そのイメージを共有してもらったところから、お互いにいいと思うものを選び「これはこうしよう」「ああしたほうがいい」とアイデアを出し合いながら形にしていきました。

C:blackmeansのプロダクトや、彼らが歩んできたカルチャーを見ていると、その背景にある音楽やバンドが自然と見えてくるんです。そういう世界観を持ったブランドだと思っていたので、まずはそのイメージやカルチャーを雄太にも共有しながら、企画を組み立てていきました。その上で意識していたのはblackmeansが築いてきたカルチャーを、©SAINT Mxxxxxxとのコラボレーションによって壊さないこと。新しいものを持ち込むというより、そのカルチャーの一部として自然に受け入れられるものづくりを目指しました。

今回のコレクションには、お互いのルーツや価値観をどのように落とし込んでいったのでしょうか。

K:アイテムについては、ある程度ご提案いただいたものをベースに進めました。僕自身、10代はUKパンクを中心に聴いていて、20代になってUSハードコアに触れたことで、その自由な価値観やカルチャーに大きな衝撃を受けているんですよ。UKとUSでは、音楽だけでなく服の考え方やスタイルにも違いがあって、その両方が今のblackmeansのものづくりにつながっています。今回のコレクションは、そうした僕らのルーツをしっかり汲み取りながら、©SAINT Mxxxxxxならではの解釈が加えられています。特にグラフィックからはUKの空気感も伝わってきますし、そのバランスの取り方からも、僕らへの深いリスペクトを感じました。

M:そうしたカルチャー的な背景も踏まえながら、制作はそれぞれの得意分野を生かす形で進めていきました。最初にカリさんと話をした段階で、作りたいもののイメージはある程度共有できていたので、それぞれが強みを発揮できる役割を担う流れになったんです。例えば、©SAINT MxxxxxxはTシャツのグラフィックを、僕らはレザーの加工や縫製、小物づくりを担当する。それぞれの専門性を持ち寄りながら、1つのコレクションとして形にしていきました。

C:小松さんからUKやUSのパンクカルチャーの話を聞いて、改めて実感したのは、日本には海外のカルチャーに憧れながらも、それを自分たちなりの表現へと昇華してきた人たちがいるということです。僕も海外から日本に来て、日本のパンクシーンやカルチャーに強いリスペクトを持ちながらブランドを続けています。そう考えると、このコラボレーションは、それぞれ異なる背景から影響を受けてきたものが交わることで生まれた、とてもいい形だったと思います。

コレクションに込めたテーマやメッセージについて教えてください。

C:最初に思い浮かんだテーマは、Anti War(反戦)という言葉でした。荒廃した社会を生き抜くためのバトルギア、つまり戦うためではなく、生き抜くためのプロテクションのようなイメージです。ハードコアやアナーキズムの根底にあるのは、争いではなく、自由や平和を求める思想だと思っています。既存の価値観に抗いながら、自分たちの自由を追求する。その精神性を今回のコレクションに落とし込みました。だから、このコレクションを一言で表すなら、Freedom(自由)とPeace(平和)ですね。

M:パンクバンドが持つアティチュードや表現してきた姿勢を洋服としてどう表現するか。そこをカリさんは考えていたんじゃないかなと思います。一方で、小松も政治的なことを含め、さまざまな考えや価値観を持っていて、それらをものづくりを通して表現したいという思いがある人なんです。そう考えると、このテーマは最初から明確に決めていたというより、お互いが持つ思想やカルチャーが重なり合う中で、自然と形になっていったものなのかもしれません。

制作前に、テーマについて話し合うことはあったのでしょうか?

M:してないですよ。だって僕ら、英語しゃべれないですもん(笑)

C:でも、不思議と感覚的な部分で通じ合えていたんですよ。細かく言葉を交わさなくても、お互いが大切にしているものや目指している方向性は共有できていたと思います。

H:具体的なテーマを言葉にして確認することはありませんでしたが、制作を進めていく中で「こういうことを表現したいんだろうな」という感覚は自然と共有できていましたね。

それぞれのアイテムについて詳しく伺いたいと思います。まず、Tシャツで特にこだわったポイントを教えてください。

H:僕らは、いいものを作ろうというよりも、雰囲気のあるものを作りたいんですよね。もちろん素材や縫製も大切なんですけど、それ以上に、古着屋でボロボロのTシャツが一枚掛かっているだけなのに、なぜか惹かれてしまうような空気感があるじゃないですか。そういう言葉では説明できない魅力を洋服に宿したいと思っています。だから今回も、単にヴィンテージ風の加工を施すのではなく、本物の古着が持つ空気や存在感をどう表現するかを突き詰めながら制作しました。

K:その感覚は僕らblackmeansもまったく同じですね。レザーでもTシャツでも、新品を古く見せるだけならある程度はできるんです。でも本当に難しいのは、時間だけが生み出せる空気感をどう再現するかなんですよ。10代の頃から革ジャンを削ったり引きずったりしながら、どう加工するとどう変化するのか、どう着込めばどんな表情になるのかをずっと試してきました。そうやって積み重ねてきた経験が、今のものづくりの土台になっています。

H:例えばTシャツなら、生地に残っている油分もすごく重要なんです。新品の生地にある油分が抜けていくことで、古着特有のドライな質感や風合いに変わっていく。その違いはほんのわずかなんですけど、完成した時の雰囲気には大きく影響します。だから見た目だけではなく、触った時の感覚まで含めてヴィンテージに近づけることを意識しました。

K:この黒という色も面白くて、一見すると同じ黒でも、古着の黒には新品にはない奥行きがあるんです。少し離れて見た時の印象まで違う。その差は、お客さんが細かく言葉にできるものではないと思います。でも全体を見た瞬間に、なんか違う、雰囲気があると感じてもらえる。その感覚を生み出すために、誰も気づかないような細部まで妥協せずに作り込んでいるんですよ。

H:古着と見比べながら、まだ違う、もっと近づけられるはずだと試行錯誤を繰り返しています。答えがあるわけではないので終わりはありませんが、その探求を続けること自体が僕たちらしさであり、このTシャツにも表れていると思います。

ライダースジャケットについてはいかがでしょうか?

C:このジャケットの原点になっているのは、僕が14~15歳の頃に着ていた一着です。当時、お金がなくて100ドルで手放してしまったんですが、その後になって買い戻そうと探したくらい、自分にとって特別な存在でした。だから今回は、その頃の記憶や感覚を出発点にしています。実物や写真を見ながら忠実に再現するというより、自分の中に残っているイメージを形にしたかった。そのほうが単なる復刻ではなく、新しい作品として成立すると考えました。

デザインやディテールでは、どのような点にこだわりましたか?

M:ライダースジャケットは基本的にblackmeansで制作しました。制作を進める中で、カリさんと僕は普段から自転車に乗っていて、小松はバイクに乗っていることもあり、自然と二輪カルチャーがアイデアのベースになっていったんです。そこから、自転車に乗ることをイメージしたライダースという発想が生まれました。背中のポケットや、パンツも膝まわりにストレッチを入れるなど、二輪での動きを意識したディテールを取り入れています。もちろん、本格的なサイクルウェアというわけではなく、そんなライダースがあっても面白いよね、という遊び心ですね。僕たちらしい発想を形にできたと思います。

K:僕らは、まだ誰も作ったことがないものを形にするのが好きなんです。ライダースと自転車という、一見相反する要素を組み合わせることで、新しい価値が生まれるんじゃないかと考えました。

このライダースジャケットや今回のコレクションは、どんな人に着てもらいたいですか?

K:ライダースジャケットを、パンクが好きな人だけのものにはしたくないんです。最終的には、誰のクローゼットにも1着ライダースがあるような世の中になったら面白いですよね。昔は、そのカルチャーを知らない人は着るべきじゃない、という空気もありました。でも今は、好きだと思った人なら誰が着てもいい。そうやってカルチャーが広がっていくことのほうが面白いと思っています。

C:僕も同じ考えです。着る人にルールはありません。街で働く人でも、おばあちゃんでも、子どもでも、このジャケットを着たいと思った人なら自由に楽しんでほしい。ただ服として身に着けるだけではなく、1つの作品をまとうような感覚で楽しんでもらえたらうれしいですね。

コレクションには、般若心経が書かれた手ぬぐいもラインアップされています。このアイテムに般若心経を取り入れた理由を教えてください。

K:般若心経はblackmeansでも以前から取り入れているモチーフなんです。意味を調べていくと、その考え方がすごくパンク的で、世の中がどれだけ移り変わっても、それに惑わされず自分自身を貫くという精神性に共感しました。僕は宗教的な意味で捉えているわけではなく、時代に流されず、自分たちが信じるものを追求し続ける姿勢と重ねています。日本の文化や思想を象徴するものでもあるので、今回のコレクションにも取り入れていますね。

C:般若心経が持つ思想と、パンクカルチャーの精神性には共通するものがあると思っています。だから、このデザインにも強く納得しました。

最後に、今回のコラボレーションを通して感じたことと、今後への展望を聞かせてください。

M:今回のコラボレーションを通して、お互いのものづくりやカルチャーへの向き合い方に、改めて強い共通点があることを実感しました。今後も形にとらわれず、新しいアイテムや表現に挑戦しながら、この取り組みを発展させていけたらと思っています。

H:お互いが持つ価値観を尊重しながらものづくりができたので、とても刺激になりました。今回に限らず、また一緒に面白いものを作れる機会があれば挑戦したいですね。

K:今回のコレクションにラインアップされているアイテム以外にも、まだ形にしていないアイデアはたくさんあります。ジャンルを決めず、その時に1番面白いと思えるものを一緒に作っていきたいです。

C:今回のコラボレーションは、お互いのカルチャーや感性が重なったからこそ実現したものだと思っています。この関係を大切にしながら、また新しいチャレンジができたら最高ですね。


〈©SAINT Mxxxxxx〉x〈blackmeans〉コラボコレクションは、8月8日(土)より全国の正規取扱店舗にて販売開始。価格は、T-SHIRT SAINT MEANS(46,200円)、T-SHIRT PEACE(41,800円)、コインケース(40,700円)、バンダナ(7,150円)、手ぬぐい(10,450円)だ。(※本文中の価格は全て税込)

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