クリストファー・ノーランが『オデュッセイア』にトラヴィス・スコットを抜擢した“本当の理由”とは?

想像以上に深いキャスティングの裏側

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サマリー

  • クリストファー・ノーラン(Christopher Nolan)が、『オデュッセイア』にトラヴィス・スコット(Travis Scott)を起用した理由を明かした。ホメロスの口承叙事詩の伝統とラップという表現形式を意図的に重ね合わせるためであり、両者は本質的に同じ構造だと『TIME』に語っている。
  • 音楽を担当したルドウィグ・ゴランソン(Ludwig Göransson)は、サイズの異なる35個の銅鑼とシンセサイザーだけでスコアを組み上げ、従来型のオーケストラを一切排して、この作品がなければ生まれなかったサウンドを創り出した。
  • 『オデュッセイア』は9月11日(金)に劇場公開される。

クリストファー・ノーラン(Christopher Nolan)が、最新作『オデュッセイア』にトラヴィス・スコット(Travis Scott)をキャスティングした理由について語った。

『TIME』のインタビューでノーランは、この起用について“話題性”ではなく、『オデュッセイア』が本来持つ“口承詩”としての性質を現代的に翻訳するための意図的な選択だったと説明している。

ノーランによれば、ホメロスによる『オデュッセイア』は元々“読むため”ではなく、“語り継がれるため”に存在した作品だったという。世代を超えて詩人たちによって朗読・継承されてきたその構造は、リズムや反復を重視するラップカルチャーと極めて近いものだと考えている。「この物語が“口承詩”として受け継がれてきたというアイデアを表現したかった。そして、その現代における最も近い存在がラップだった」とノーランはコメント。スコットの起用は、その思想を象徴するものだった。

さらに、本作の音楽面にも同様のアプローチが反映されている。『テネット』以降、ノーラン作品の音楽を担当しているルドウィグ・ゴランソン(Ludwig Göransson)は、今回オーケストラではなく35種類のゴングとシンセサイザーを中心にスコアを構築。特定の時代性を排除したサウンドデザインを目指したという。

ゴランソンは「当時オーケストラは存在していなかった」と語りつつ、制約そのものが新たな可能性になったと説明。また、主人公 オデュッセウスが奏でる“竪琴”の音を、“弓弦を弾く音”として表現するアイデアはノーラン自身によるものだったことも明かしている。この演出によって、“詩人”と“戦士”、“芸術”と“暴力”という作品の二面性を、一つの音として結びつけている。

スコットのキャスティングと、ゴランソンによる実験的なスコア。その両方から見えてくるのは、『オデュッセイア』が単なる歴史再現ではなく、“現代における神話の翻訳”を目指しているということだ。ノーランはこれまでにも、「なぜハリウッドはこれほど映画的な題材を本格的に映像化してこなかったのか不思議だった」と語っており、本作では古代ギリシャを忠実に再現するのではなく、“今も生きている語りの形式”を通してホメロスを描こうとしている。

『オデュッセイア』は9月11日(金)に日本公開が決定している。

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