2025年の BEST コラボレーション 10選
アーカイブと最新技術、ハイファッションとファストファッションといった相反する価値観が交わるコラボが多く見られた1年
2025年も、ファッションシーンはブランド同士のコラボレーションによって大きなうねりを生み出した。ラグジュアリーとストリート、スポーツ、アート、さらにはアーカイブと最新技術が交差し、その表現方法はこれまで以上に多様化。一方で、コラボレーションの数が飽和するなか、単なる話題性やネームバリューの掛け算だけでは、シーンの支持を得ることが難しくなった1年でもあった。
ブランドが積み重ねてきた歴史や思想、カルチャーへの向き合い方がより明確に問われる時代において、真に評価されたのは「なぜ、この2者なのか」という必然性を備えたプロジェクトだったと言えるだろう。それぞれのバックグラウンドや価値観が有機的に結びつき、新たな文脈や視点を生み出したコラボレーションこそが、2025年のファッションシーンを象徴していた。
本記事では、『Hypebeast Japan』編集部が2025年を通して特に印象に残ったコラボレーションを厳選。単なるプロダクトの枠を超え、カルチャーやムーブメントとして機能したそれぞれの取り組みを振り返りながら、2025年という一年を形づくった新たな価値観を改めて紐解いていく。なお順番は発売日順となっているため、下記よりその内容をチェックしていこう。
Supreme x GOODENOUGH コラボコレクション
まずは〈Supreme(シュプリーム)〉が1990年代の裏原宿ムーブメントを牽引した伝説のブランド〈GOODENOUGH(グッドイナフ)〉とのコラボレーションだ。藤原ヒロシが手掛けた〈GOODENOUGH〉は、パンクやヒップホップ、スケートといったカルチャーを背景に、日本のストリートファッションの礎を築いた存在として知られている。本コラボレーションでは、〈GOODENOUGH〉のアーカイブを〈Supreme〉の視点で再解釈。リバーシブル仕様のMA-1をはじめ、パッチワークアイテムやニット、カットソー、ヘッドウェアなど幅広いラインアップを展開した。さらに〈Nike〉とのトリプルコラボとなるAir Force 1 Lowも登場し、クラシックなモデルに両ブランドのエッセンスを落とし込んだ特別仕様に仕上げられている。日本のストリートカルチャーの源流と、現代を代表するストリートブランドが交差した本プロジェクトは、2025年のコラボレーションシーンを語る上で欠かせないひとつと言えるだろう。
Louis Vuitton ファレル・ウィリアムス x NIGO® 2025秋冬メンズ・コレクション
ファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)がNIGO®(二ゴー)とタッグを組んで手掛けた〈Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)〉2025秋冬メンズ・コレクションが本格的にローンチした。長年にわたり友情とクリエイティブな関係を築いてきた両者による本コレクションは、2025年1月のパリ・ファッションウィークで発表され、大きな注目を集めた。日本の精神性や伝統技法をモチーフに、NIGO®ならではのカルチャー的視点と、ファレルが提案する現代的なダンディズムが融合。ウェアからバッグ、フットウェアに至るまで、〈Louis Vuitton〉のアイコニックなモチーフを再解釈したアイテムが揃い、メゾンの新たな方向性を示すコラボレーションとして2025年を象徴するプロジェクトのひとつとなった。
adidas Originals x Oasis LIVE ‘25 コレクション
〈adidas Originals(アディダス オリジナルス)〉は、英国を代表するロックバンド Oasis(オアシス)とタッグを組み両者の30年にわたる関係性を称えるキャンペーン「Original Forever」と連動した“adidas Originals x Oasis LIVE ’25”コレクションを発表。フットボール、音楽、ファッションが交差する英国カルチャーの中心で育まれてきた両者の結びつきを、現代的な視点で再構築した。本コレクションでは、90年代のOasisを象徴するスタイルをベースに、〈adidas〉の定番26アイテムをアップデート。ファイヤーバード・トラックスーツやラグランスリーブジャージーをはじめ、当時のテラスカルチャーを想起させるルックが揃う。さらに、日本限定モデルとなるスニーカー NG MARATHON SPZL、LG ACHILLE SPZLもラインアップし、グローバルツアー「Oasis LIVE ’25」と呼応する特別なコラボレーションとして、多くの人の記憶に残ったはずだ。
BEAMS PLUS x STUDIO NICHOLSON 初コラボレーション
”永年着られる飽きのこない本物の男服”をコンセプトに掲げる〈BEAMS PLUS(ビームス プラス)〉が、上質な生地選びを基軸に、ミニマルで機能的なワードローブを作り上げる英国ブランド〈STUDIO NICHOLSON(スタジオ ニコルソン)〉との初コラボレーションが実現。上質な素材選びとミニマルな設計思想を共有する両者が、映画的な人物像をインスピレーション源に、全21型からなる“Made in Japan”のカプセルコレクションを完成させた。1960〜70年代のアメリカ映画に登場するキャラクター像を軸に、〈STUDIO NICHOLSON〉のモダンクラシックなシルエットと、〈BEAMS PLUS〉のヘリテージや日本のクラフトマンシップが融合。トレンチコートやブレザー、プリーツパンツをはじめ、シャツ、デニム、小物に至るまで、素材・パターン・仕立てに両ブランドの哲学が色濃く反映された内容となっている。時代やトレンドに左右されない普遍性を体現した本コラボレーションは、2025年のコラボレーションシーンにおいて静かな存在感を放つプロジェクトと言えるだろう。
Aimé Leon Dore x THE NORTH FACE コレクション
米ニューヨークを拠点とするメンズウェアブランド〈Aimé Leon Dore(エメ レオン ドレ)〉と、〈THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)〉による初のコラボコレクションが日本国内でリリースされた。本コレクションでは、〈Aimé Leon Dore〉が得意とする1990年代のニューヨーク・スタイルと、〈THE NORTH FACE〉の機能的なアウトドアギアを掛け合わせ、NuptseジャケットやDenaliジャケットといったアイコンモデルを新たな視点で再構築。都市と自然を横断する現代的なワードローブを提案する内容となっており、2025年を象徴するコラボレーションのひとつとして注目を集めた。
STÜSSY & WALES BONNER コラボコレクション
〈STÜSSY(ステューシー)〉が、グレース・ウェールズ・ボナー(Grace Wales Bonner)の手掛けるメンズウェアブランド〈WALES BONNER(ウェールズ・ボナー)〉とのコラボコレクションを発表。サーフカルチャーを起点に、グローバルな視点と詩的な感性で再構築したコレクションが登場した。本コラボレーションでは、“STÜSSY World Tour”のグラフィックをはじめ、ビートニクやビーチサイドのムードを織り交ぜたアイテムがラインアップ。ショーツやデニム、テーラードジャケットからシルクポロ、ボードショーツまで、〈WALES BONNER〉ならではの美学と〈STÜSSY〉のストリートルーツが交差する内容となっている。カルチャーとクラフト、サーフとラグジュアリーを横断している。
PALACE SKATEBOARDS x Nike 初コラボコレクション
〈PALACE SKATEBOARDS(パレス スケートボード)〉と〈Nike(ナイキ)〉による初コラボコレクション。“PALACE NIKE P90”と題された本コレクションでは、英国のフットボールカルチャーとスケートボードの美学を横断し、両者のルーツを現代的に再解釈している。フットウェアには、2004年に登場した〈Nike〉の名作フットボールシューズ TOTAL 90 IIIをベースに再構築したTOTAL P90 IIIがラインアップ。ホワイトとシルバーを基調に、クラシックなボルトグリーンをアクセントとして効かせ、ノスタルジーと洗練を併せ持つ1足に仕上げた。アパレルは同モデルのカラーパレットを踏襲し、トラックスーツやフットボールジャージに加え、〈PALACE〉のTri-Fergとスウッシュを融合させた“TRI SWOOSH”グラフィックを配したスウェットやTシャツなどを展開。2025年を象徴するフットボールxストリートのコラボレーションとして強い存在感を放つプロジェクトとなった。
グレン・マーティンス x H&M 初コラボレーション
ベルギー・ブルージュ出身のデザイナー グレン・マーティンス(Glenn Martens)がスウェーデン発のファッションブランド〈H&M(エイチ・アンド・エム)〉とタッグを組み、ハイファッションの実験性をマスに向けて提示したコラボレーションが実現。〈Y/PROJECT〉で培ってきた構築的かつユーモラスなデザインアプローチを、Tシャツやシャツ、デニム、ボンバージャケットといった日常的なアイテムへと落とし込んだ。本コレクションでは、トロンプルイユやフォイル加工、内部ワイヤーによる立体的なフォルムなど、グレンのシグネチャーとも言える手法を駆使し、〈H&M〉のベーシックを大胆に再解釈。着る人の動きやスタイリングによって表情が変化するデザインは、ファストファッションの枠を超えた創造性を示した。ハイエンドな思想と量産性の接点を探った本プロジェクトは、ハイファッションとファストファッションという相反する価値観が交わったコレクションであったと言える。
UNIQLO and NEEDLES コレクション
〈UNIQLO(ユニクロ)〉が日本のファッションブランド〈NEEDLES(ニードルズ)〉と初めてタッグを組んだ特別なフリースコレクション “UNIQLO and NEEDLES(ユニクロ アンド ニードルズ)”がリリース。本コレクションでは、清水慶三が手掛ける〈NEEDLES〉のシックなカラーリングやシルエットを、ユニクロのLifeWearとして再構築。フリースジャケット、カーディガン、ワイドパンツの全3型を展開し、ヴィンテージ由来のムードと実用性を高次元で両立させている。日常に根ざした機能服という〈UNIQLO〉の強みと、〈NEEDLES〉が培ってきた独自の美意識が交差した本コレクションは、コラボレーションが持つ可能性を改めて提示した好例と言えるのではないだろうか。
STONE ISLAND x PORTER 初カプセルコレクション
「吉田カバン」の創業90周年を記念して、〈PORTER(ポーター)〉と〈STONE ISLAND(ストーンアイランド)〉が5年ぶり、7度目となるタッグを組み、スペシャルなカプセルコレクションを発表した。本コレクションでは、バッグ4型に加え、初となるアパレルアイテムもラインアップ。〈PORTER〉の象徴的なボンディングナイロンに、〈STONE ISLAND〉独自の“コロージョン・プロセス”を施すことで、一点ごとに異なる表情を持つプロダクトへと昇華している。周年記念タグ付きのオリジナル巾着や、ブランドと親交も深いUKのミュージシャン/プロデューサー A.G.Cook(A.G.クック)を起用したキャンペーン、『渋谷PARCO』1階『DAIROKKAN』にて開催されたポップアップに至るまで、プロダクトとカルチャーを横断する完成度の高い取り組みとなった。
















