DIOR 2024年ウインター メンズ コレクション
伝説のバレエダンサーの華やかなスタイルと〈DIOR〉のアーカイブを着想源に、プレタポルテのリアリティとオートクチュールのドラマチックさを詩情豊かに表現したコレクション
キム・ジョーンズ(Kim Jones)の手掛ける〈DIOR(ディオール)〉が、パリ・ファッションウィークにて2024年ウインター メンズ コレクション “Nureyev”を発表した。
キム・ジョーンズはコレクションの制作にあたり、英国の伝説的バレエダンサーのマーゴ・フォンテイン(Margot Fonteyn)と〈DIOR〉の創設者 クリスチャン・ディオール(Christian Dior)との関係に着目。フォンテインは生前、ムッシュ ディオールの手掛けたドレスを愛用していたことで知られている。キムはこの関係性をメンズの解釈に落とし込むべく、フォンテインの最も有名なダンスパートナーとして知られたルドルフ・ヌレエフ(Rudolf Nureyev)にも想いを巡らせたという。ヌレエフはキムの叔父であるフォトグラファーのコリン・ジョーンズ(Colin JOnes)とも親交があったため、このテーマは自身のパーソナルヒストリーとも密接に絡み合う。今回のコレクションでは、プレタポルテに加え、キムの手掛ける初めてのメンズクチュールを発表。バレエダンサーとしてのヌレエフのスタイルと〈DIOR〉のアーカイブを着想源に、プレタポルテのリアリティとオートクチュールのドラマチックさを詩情豊かに表現した。
プレタポルテでは、主にイヴ・サン=ローラン(Yves Saint Laurent)時代のテーラリングをメンズの世界へと昇華し、ボリューム感、ベント、プリーツ、ネックラインに特に重点を置いて、コレクション全体に採り入れた。また、ムッシュ ディオールのアイコンである「バー」ジャケットは、キムが〈DIOR〉で初めて手掛けたコレクションで発表した「オブリーク」シルエットと組み合わされ、マスキュリンで新しいスタイルに。ジャンプスーツ、ウールのジッパーショーツ、セカンドスキンのリブニットからはヌレエフのユニークなスタイルを読み解くことができる。60年代から70年代のストレートさが生かされているのがオフトーンのウールメランジで仕立てたスーツで、シングルブレストのシンプルなジャケットにゆるやかなフレアパンツを組み合わせた。その他にもジップ付きウールジャンプスーツやショートパンツ、セカンドスキンを思わせるリブニット、贅沢なレザーを使用したアウターウェアなどがお披露目された。
クチュールでは、ヌレエフの舞台上での存在感、華やかさ、傲慢さ、エレガンスを表現した一方で、彼のプライベートにおけるアンティークのテキスタイル蒐集への情熱にも着目。この点は日本の熟練した職人の伝統的な技術を最大限に活用した。10人の職人が3カ月かけて完成させたというシルバーの打掛の着物は、ヌレエフが所有し着用していたものをベースに、最高峰の引箔の技術で製作。また、アーカイブから着想を得た刺繍もメンズクチュールとして登場し、特に1950年にムッシュ ディオールが考案し、フォンテインが着用した壮麗な「ドビュッシー」ドレスをメンズウェアとして再解釈した。
メンズのイブニングウェアの伝統を取り入れながら、バレエシューズをイメージしたフットウェアは、“サンクリスピーノ”と呼ばれる緻密な手法で作り上げられたレザーシューズと、シルクポリエステルのメリージェーンスニーカーが登場。アクセサリーはグレインドレザーを使用したオーバーサイズの「マクロカナージュ」カメラバッグやバムバッグといった実用的なソフトバッグのほか、スティーブン・ジョーンズ(Stephen Jones)が1999年にウィメンズ コレクションのためにデザインした華やかなベルベットの帽子を、シルクジャージーのダンサー用ツイストターバンとしてメンズのフォルムに応用したヘッドピースなどがラインアップする。
ブランド:DIOR
シーズン:2024年ウィンター
日付:1月19日(現地時間)