kolor 2026年秋冬コレクション
難破船から打ち上げられた布の断片が、偶然身体にまとわりついたかのような不完全さと必然性が、コレクション全体に通底
堀内太郎のクリエイティブ・ディレクションの第2弾シーズン。〈kolor(カラー)〉の2026年秋冬コレクションは、これまで以上に陰影に富んだ、重厚で情緒的な物語へと踏み込んだ。今季の〈kolor〉は、ブランドの代名詞とも言える遊び心あるエクレクティシズム(素材や色、柄の大胆な切り替え)を一度手放し、「灯台守」という孤独な存在の世界観を探求。夜の静寂と、荒々しい海に囲まれた孤立の時間──そんな航海を主題に据えた、服による瞑想的アプローチが展開された。
デザイン言語の中心にあるのは、「サバイバル」と「環境との緊張関係」。堀内はランウェイそのものを、過酷な海岸線における“耐久の風景”へと変換してみせた。テクニカルな側面では、防護性を重視した重層的なレイヤリングが軸となり、海事・海洋のユニフォームを解体的な視点で再解釈。エイジングを施したドライタッチのスーチングや、強くシワを刻んだシャツ、擦り切れたキャンバス地、そして生地がほつれ落ちていくかのようなニットなど、素材表現そのものが時間の経過を物語る。塩を吹いたような表情のウールや高密度のテクニカルメンブレンには、長年にわたり潮風に晒されてきたかのような加工が施され、ずれたボタンや不均衡なディテールが、修復を重ねながら使われてきた衣服の記憶を想起させる。
それら過去の記憶を呼び起こす要素に、現代的な素材や技法を融合させることで生まれたのは、まるで“時代を横断する”かのような佇まいの衣服だ。難破船から打ち上げられた布の断片が、偶然身体にまとわりついたかのような不完全さと必然性が、コレクション全体に通底している。
海と共に生きる隠遁者の実用性と、アヴァンギャルドなテーラリングを融合させることで、本コレクションは恐怖や孤独といった心理的な重みをも的確に捉えている。意図的にほつれやダメージを施したニットウェアも、容赦のない長い旅路を物語る重要な要素だ。最終的に〈kolor〉が提示したのは、自然の脅威から身を守る“鎧”であると同時に、現代におけるサバイバルを洗練された形で表現する、新たなユニフォームの在り方かもしれない。



















