伝統衣装のようであり、スニーカーのようでもある Vacheron Constantin の新作オーヴァシーズ
「Watches and Wonders 2023」現地レポート -〈Vacheron Constantin〉編
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伝統衣装のようであり、スニーカーのようでもある Vacheron Constantin の新作オーヴァシーズ
「Watches and Wonders 2023」現地レポート -〈Vacheron Constantin〉編
“雲上ブランド”をご存知か? 悠久の歴史、最高峰の技術力、美意識の結晶のようなセンスを誇る最上級ウォッチメーカー〈Vacheron Constantin(ヴァシュロン・コンスタンタン)〉と〈Patek Philippe(パテック フィリップ)〉、そして〈Audemars Piguet(オーデマ ピゲ)〉。この3つを雲の上のブランドとして、“雲上ブランド”や“雲上時計”と呼ぶ。
その“雲上ブランド”のひとつである〈Vacheron Constantin〉が、今回の「Watches and Wonders 2023(ウォッチズ アンド ワンダーズ 2023)」で発表したのは、Traditionnelle Tourbillon Retrograde Openface(トラディショナル・トゥールビヨン・レトログラード・デイト・オープンフェイス)、Patrimony Day-date Retrograde(パトリモニー・デイ/デイト・レトログラード)、Overseas Moon Phase Retrograde Date(オーヴァーシーズ・ムーンフェイズ・レトログラード・デイト)というレトログラードの3兄弟だ。複雑機構のレトログラードは後述するとして、『Hypebeast』編集部はこのなかでスポーツモデルのOverseas Moon Phase Retrograde Dateに注目したい。
まずレトログラードとは、フランス語で「逆行」を意味する。つまり、針が逆行する機構だ。その歴史は古く17世紀後半に発明され、18世紀後半まで懐中時計に多く用いられたという。新作のOverseasでは、扇型のレトログラードが、時計上部にデイト表示機能として採用されている。9時位置にある「1」(月初め)から1日1日、時計回りに針を進め、「31」か、あらかじめ設定された日を迎えると同時に、また「1」の位置へと針が反時計回りに逆行する。
2023年、〈Vacheron Constantin〉は、このレトログラード機能をスポーツモデルであるOverseasに初採用した。しかも、6時位置には月の満ち欠けがわかるムーンフェイズという機構も搭載。こちらは122年先まで修正の必要がない高精度だ。
レトログラードとムーンフェイズを、スポーツモデルであるOverseasに取り入れるのに、3年の開発月日がかかったという。『Hypebeast』編集部としては、この堅牢なスポーティシックのスタイルに、複雑機構が収まっているという“バランス良きアンバランス”がたまらない。毎日月の満ち欠けがわかるのはロマンティックだし、レトログラード針がジャンプバックする様は実にエレガントだろうし。このOverseas Moon Phase Retrograde Dateは、月日を重ねるのがちょっと楽しくなる、人生を豊かにしてくれる特別な1本になり得る。