Goldwin の擁する5ブランドが Brewed Protein™️繊維を使用した2023年秋冬コレクションを発表
初の量産体制によって〈THE NORTH FACE〉〈THE NORTH FACE PURPLE LABEL〉〈Goldwin〉〈nanamica〉〈WOOLRICH〉から今秋よりグローバルでの販売を開始
「Goldwin(ゴールドウイン)」が、山形県鶴岡市に拠点を置くバイオベンチャー企業「Spiber(スパイバー)」と2015年より共同開発に取り組んできた構造タンパク質素材 Brewed Protein™️(ブリュード・プロテイン™️)繊維を使用した2023年秋冬コレクションを、同社の展開する5ブランドから一斉に発表。この革新的な素材を用いたコレクションは初の量産体制下での規模を拡大した販売が実現し、2023年秋より待望のグローバルローンチとなる。
両社がBrewed Protein™️に着目する理由は、現代のアパレル産業をとりまくさまざまな環境問題にある。従来のスポーツアパレル製品の多くは、石油を原料として製造された合成分子材料(ポリエステルやナイロンなど)を使用しており、最終製品によるマイクロプラスチックの排出に起因する自然環境への影響が課題視されている。環境問題への対策としても、石油の枯渇が懸念されている状況を鑑みても、今後持続可能な資源へと転換していくことは、現代社会に生きる私たちにとっての大きな課題であり、責任でもあると言えるだろう。
「Spiber」の開発したBrewed Protein™️素材は、植物由来のバイオマスを原材料に使用した微生物の発酵プロセスにより生産され、あらゆるアプリケーションへの活用が可能。Brewed Protein™️ポリマーを紡糸したBrewed Protein™️繊維は、シルクのような光沢と繊細さを持つフィラメント糸、さらに上質でなめらかな肌触りのカシミヤや嵩高性に優れたウールのような紡績糸にも加工することができる。同繊維の生産規模が拡大していくと、同社が初期的な注力分野としているアパレル産業向けのテキスタイル用途において、例えば、高級獣毛でありながら、さまざまな環境リスクを指摘されているカシミヤ繊維と比較した場合に、温室効果ガスの排出量の大幅な縮小と土地や水の使用量の削減が期待できる。また、Brewed Protein™️素材自体は生分解性を有するため、最終製品の設計によっては石油由来製品によるマイクロプラスチック排出の課題解決への貢献が見込めるなど、従来の動物/植物由来、合成素材に代わるソリューションを提供することができる次世代の素材として、大きな期待が寄せられている。
このような背景から、「Goldwin」は先述したあらゆる環境問題の改善を目指し、2015年より「Spiber」とアパレル製品への展開に向けた構造タンパク質素材の共同開発に取り組んできた。Brewed Protein™️繊維を使用した製品開発の第1弾となったのは、〈THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)〉から2019年8月に発売されたTシャツ Planetary Equilibrium Tee(プラネタリー・エクイリブリアム ティー)。その後、同ブランドから同年12月にアウトドアジャケット MOON PARKA(ムーンパーカ)が、2020年11月には〈Goldwin〉ブランドからニットウェア The Sweater(ザ・セーター)が登場。さらに、「Goldwin」の展開するプロジェクト〈Goldwin 0(ゴールドウイン ゼロ)〉から2021年3月にシェルジャケットとフリースが、今年3月にデニムジャケットとパンツがリリースされている。
これまでの製品はBrewed Protein™️繊維の生産量が限られていたため、全て抽選販売という数量限定の販売方法のみであった。しかし、「Spiber」が2022年春より生産を開始したタイの量産プラントにおいてBrewed Protein™️ポリマーの量産が拡大。共同開発の開始から8年目にして、ついに「Goldwin」の展開する〈THE NORTH FACE〉〈Goldwin〉〈nanamica(ナナミカ)〉〈THE NORTH FACE PURPLE LABEL(ザ・ノース・フェイス パープルレーベル)〉〈WOOLRICH(ウールリッチ)〉の5ブランドから、一斉にBrewed Protein™️繊維を使用したコレクションの発表に至った。
今年の3月24日(金)に『東京国際フォーラム』で開催された本コレクションの発表会には、「Goldwin」代表取締役社長 渡辺貴生を筆頭に、「Spiber」取締役兼代表執行役 関山和秀、「Deportare Partners」代表/「Goldwin」社外取締役 為末大、ファッションデザイナー 中里唯馬、 慶應義塾大学医学部教授 宮田裕章らが出席。当日の会場にはコレクションのインスタレーションが設置されたほか、関山氏によるプレゼンテーション、出席者5名によるパネルディスカッションなどが行われ、会場は大いに盛り上がりをみせた。
ここからは、今回お披露目されたアイテムをブランドごとにご紹介。まず〈THE NORTH FACE〉からは、昨年デビュー30周年を迎えたNuptse Jacket(ヌプシ ジャケット、11万円)、そして〈THE NORTH FACE PURPLE LABEL〉からはブランドを代表する名作 Sierra Parka(シエラパーカ、17万6,000円)が登場。次に、〈Goldwin〉からブランドのオリジンであるスキーウェアをルーツにもつCross-Field 3L Jacket(クロスフィールド 3L ジャケット、12万1,000円)が、〈WOOLRICH〉は1972年にデビューしたブランドのアイコン Future Arctic Parka(フューチャー アークティックパーカ、19万8,000円)がそれぞれ展開される。最後に、〈nanamica〉からはクラシックな仕立てとディティールに機能性を付与したBalmacaan Coat(バルマカーンコート、19万8,000円)が発表された(*製品価格は全て予定価格、税込)。5ブランドそれぞれが持つアイコニックな定番品の完成されたデザインを活かしながら、Brewed Protein™️繊維を採用することで、新たな価値と可能性の創出を目指す。
これらのアイテムは、2023年秋頃ローンチ予定。海外展開している〈Goldwin〉と〈nanamica〉は、海外直営店でも販売される。また、〈THE NORTH FACE〉と〈WOOLRICH〉については海外の事業者と連携し、グローバルでの販売を予定しており、プロダクトラインナップについても今秋の製品発売に向けて情報を随時更新していくとのこと。さらに、日本国内では、2023年9月より東京・千代田区の『丸の内ビルディング』内にBrewed Protein™️繊維を使用した全製品を販売するポップアップストアをオープンする予定だ。本コレクションの詳細は、こちらをチェック。今後のアップデートについては、「Goldwin」の公式サイトやSNSをお見逃しなく。