Grand Seiko が発表したもうひとつの白樺ダイヤル
「Watches and Wonders 2023」現地レポート -〈Grand Seiko〉編
スイス・ジュネーブで開催されている「Watches and Wonders 2023(ウォッチズ アンド ワンダーズ 2023)」の会場に到着すると、〈Patek Philippe(パテックフィリップ)〉や〈Vacheron Constantin(ヴァシュロン・コンスタンタン)〉〈CHANEL(シャネル)〉など、錚々たるラグジュアリーブランドの幟が旗めいている。そのなかに、我らが〈Grand Seiko(グランドセイコー)〉の幟も同様に風に揺られていて、それを見ると嬉しくなるジャーナリストは多いはず。
さて、その日本を代表する誠実な高級腕時計ブランド〈Grand Seiko〉は、この時計界最高峰の祭典で、初となる機械式クロノグラフ TENTAGRAPH(テンタグラフ)、白樺林を彫金で表現した3針時計、ダイヤモンドとブルーサファイアのジュエリーウォッチの3本を発表した。『Hypebeast』編集部では、このなかで白樺林モチーフの実機を手に取り、ここにレビューする。
〈Grand Seiko〉のアイコンのひとつに、通称“白樺ダイヤル”と言われるモデルがある。通が思い浮かぶ白樺ダイヤルは、岩手県の「グランドセイコースタジオ 雫石」近くに広がる白樺林の風景をダイヤルに表現した傑作だが、この新作はかつての白樺ダイヤルとちょっと違う。聞けば、〈Grand Seiko〉のスプリングドライブモデルを生産する「信州 時の匠工房」近郊に広がる、長野県の白樺林に着想を得て新たに描いているそうだ。
心惹かれたのが、その白樺林の風景をダイヤルのみならずケースでも表現している点だ。しかもケース素材はプラチナ。ザラツ研磨で磨き上げたプラチナケースの歪みのない鏡面に、手作業でひとつひとつ彫金をしている。これにより、厳冬期に雪が深く積もった、荘厳な白樺林を腕元全体に演出。実際に腕にはめてみると、幻想的な冬の白樺林の風景をそこはかとなく感じる一方で、手作業による温もりを強く感じた。
ちなみにこの“Masterpiece Collection 手巻スプリングドライブ 彫金 限定モデル”は、6月9日発売。そう、ロックの日。たしかにアプローチとしてはロックである。951万5,000円(税込)。全世界50本限定。