次世代クリエイターが FARFETCH に語る Off-White™️ とヴァージルのレガシー
『FARFETCH』が保有する「New Guards Group」傘下ブランドへのインタビュー特集第2弾
世界中のラグジュアリーファッションを取り揃えるマーケットプレイス『FARFETCH（ファーフェッチ）』が保有し、〈Palm Angels （パーム・エンジェルス）〉や〈Off-White™️（オフホワイト）〉〈AMBUSH®︎ （アンブッシュ）〉をはじめとする数々の人気ブランドを傘下に抱える「New Guards Group （ニューガーズ グループ）」。このたび『FARFETCH』は、そんな「New Guards Group」傘下のブランドにそれぞれ異なるアプローチでインタビューを敢行した。
前回お届けした〈Palm Angels（パーム・エンジェルス）〉のクリエイティブ・ディレクター Francesco Ragazzi（フランチェスコ・ラガッツィ）へのインタビューに続いて第2弾となる今回は、Virgil Abloh（ヴァージル・アブロー）が2012年に設立した〈Off-White™️〉にフォーカス。2021年11月に41歳という若さで亡くなったVirgilは、若手とレジェンド、両極の架け橋となって独自のカルチャーを築き上げてきた。
〈Off-White™️〉のローンチからわずか数年でアフリカ系アメリカ人デザイナーとして史上初となる〈Louis Vuitton（ルイ・ヴィトン）〉のアーティスティック・ディレクターに就任するなど、ファッションにとどまらずさまざまな業界やコミュニティに変革をもたらしてきた彼は、この世を去った今もなお、次の世代に着実に種をまき、クリエイティビティの輪を広げている。『FARFETCH』は、そんなVirgilと過去にチームアップしてきた次世代のクリエイターたちに話を訊いた。撮り下ろしビジュアルと共に、新世代のクリエイターへと受け継がれる精神とその影響力を改めて振り返る。以下の内容を一読し、その他の詳細が気になる方はぜひこちらをチェックしてみてほしい。
まず話を訊いたのは、アメリカ・ニューヨーク出身でベルリン在住のライター Octavia Bürgel（オクタヴィア・ビューゲル）。〈Off-White™️〉の最新コレクションを纏った彼女をフランス・パリで撮り下ろした。
FARFETCH：Virgilとの出会いのきっかけは？
ライターで建築家のMahfuz Sultan（マハフーズ・スルタン）とVirgilが企画していた『Figure Skating』というプロジェクトに参加しないかと誘われたのが、私たちのコラボレーションの始まりでした。2019年の終わりから数カ月間にわたり、アフリカ系アーティストとその作品にフォーカスした出版物というアイデアを具現化していきました。彼らとなら、どんなアイデアでも実現可能とすら思えましたね。
Virgil Ablohが今世に遺したものはなんだと思いますか？
異なるコミュニティに属していたり、違った経験を持つ人々が同じフィールドで交流し相互に作用することは、容易ではないですよね。Virgilは、自身が身を置くファッションや音楽、アートといった様々な世界に、新しい人々を取り込むことに尽くしていました。そんな彼の生き様が、築き上げた人間関係を通じて生まれるものこそが、真のレガシー（精神的な遺産）だと教えてくれたのです。
彼はあなた方にどのような教えを残してくれましたか？
Virgilは、たくさんの人に自信と居場所を与えてくれました。たとえ誰がどこにいても、そこが彼らの属する場所で、自由に自分を表現できると感じさせてくれたのです。さらにVirgilは、まさに究極のポリマス（万能の天才）でした。DJ、デザイナー、建築家、思想家としてマルチに活躍し、さまざまな人にインスピレーションを与えてくれたのです。優先順位を付けたり選ばなくてはならなかったそれまでと違い、ひとつのカテゴリーや枠に囚われなくてもいいのだということを、私たちの世代に気付かせてくれました。
それらを踏まえ、次世代のクリエイターたちに何を伝えていきたいですか？
より多くの人々が、Virgilのようにコミュニティを築き上げ、愛や感謝の気持ちを友人や支援してくれた人たちに伝え、そしてその輪を拡げることができるよう願っています。誰かのために何かをし、その人がまた別の誰かのために同じことをする。その連鎖が続けば、未来の世代に思いやりと助け合いの輪が拡がっていくはずです。
枠にとらわれないのが私たちの世代。ヴァージルは”万能の天才”でした
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2組目は、パリを拠点に活動するフォトグラファー Djiby Kebe（ジビー・ケべ）と、コンサルティングスタジオ「Bienvenue Projects（ビアンヴニュ・プロジェクト）」の共同創設者 Dayanne（ダイアン）が、Virgilとの出会いやその影響力、そして次世代のクリエイションについて語った。
Virgilとの交流の中で得たものは一体どのようなものですか？
Djiby：Virgilが2000年代初頭から亡くなるまでの間に成し遂げたことの延長線上に、私たちの世代があるのだと思います。彼が私たちの今いる世界を形作り、築き上げました。私たちは彼が遺したものを受け継いで未来の世代に伝えていくのです。Virgilがやってきたこともすべて、彼自身が若かりし頃に尊敬していた人々に影響を受けていました。Virgilは、今でも私たちと共にあります。私たちの心に、そして私たちがこれから行うすべてのことに、その存在がありますから。
あなた方のキャリアのうち、特にどのシーンでVirgilから影響を受けましたか？
Djiby：私はVirgilの一挙一動を見守っていたので、常に彼の影響を受けてきました。あらゆることを見事にこなしてしまうその姿に驚いたのを憶えています。彼は成功したからといって傲慢になることもなく、いつもポジティブで周りを明るくしてくれました。そして、常に若い世代に夢を叶える方法を教えようとしていたんです。西アフリカをルーツに持つという共通点も、私が彼に影響を受けた理由のひとつです。彼のような黒人男性が、たくさんの人々を巻き込んでアートを生み出すところを見ていると、本当に感動します。Virgilは、アートやファッションの世界における黒人クリエイターの未来を永久的に変えることに成功しました。
出会いはどのようなものでしたか？
Djiby：私は学生時代、パリ市郊外や近郊地域に暮らす人々とファッション業界との関係性についてのプロジェクトに取り組んでいたのですが、Virgilがそれに興味を持ってくれたのがきっかけです。良い服を着ていれば他人が自分を見る目も変わります。自分がデザイナーズブランドの服を着ているべきだという考えをもって育った私にとって、とても個人的なプロジェクトでした。
Virgilの成し遂げたことの延長線上に、私たちの世代がある
Virgilはあなたにどのような教えを残しましたか？
Djiby：Virgilと9月にパリで会う少し前、私は両親の出身地であるマリ共和国を訪れていたんですが、彼は私の旅について興味津々でした。家族の様子や国の情勢、何を見て何が気に入ったのかなど、様々なことを尋ねてきましたよ。私は21年生きてきた中で、Virgilほど好奇心旺盛な人に出会ったことがありません。彼はいつもたくさんの質問を投げかけてきました。人や世界に関して常に学ぼうとするその姿勢は、私の生き方にも大きな影響を与えましたし、これからも決して忘れることはありません。
次世代のクリエイターたちに伝えたいことがあれば教えてください。
Dayanne：私たちの世代は、自分たちの繋がりに力をもらっていて、意識の高い柔軟な人が多いと感じます。そして次世代のクリエイターたちには、さらなる勇気を持ってほしいですね。人生は予測不可能ですし、何にでも立ち向かう覚悟をしなければなりませんから。
Djiby：Virgilが教えてくれたことを、次の世代に伝えていきたいと思っています。彼自身もたくさんの人々から学び、それを私たちに分け与えてくれました。未来を担う若い人たちに、その知識を伝達していくのが私たちの役目です。
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