世界中で盛り上がりを見せるスニーカーの eBay 販売トレンドについて
『eBay』のファッションカテゴリーマネージャーを務める北村直樹氏へのインタビューも敢行
近年、世界的なブームとなっているスニーカー。その市場規模は年々拡大し続けており、2021年には約686億ドル(約9.6兆円)という規模まで成長。そして2025年には約1,131億ドル(約15.8兆円)に達するという統計が出され、今後も拡大が見込まれている。世界最大規模のオンラインマーケットプレイス『eBay(イーベイ)』においても、スニーカーはここ数年大きな盛り上がりを見せているカテゴリーで、全ての販売カテゴリー中第5位の売り上げ規模に。本稿では、ファッションアイテムとしてはもちろん、資産運用などとしても数多く取引されている『eBay』のスニーカーカテゴリーについて詳しくご紹介したい。
メンズスニーカーカテゴリーは『eBay』で販売される全てのカテゴリーの中で第5位の売り上げ規模を誇る。(*2021年6月~2022年6月のデータより)ファッションアイテムとしては最も人気のカテゴリーとなっており、日本のセラー(販売者)からのスニーカーの売り上げも海外での人気に伴って着実に増えている状況だ。中でも特に人気が高いスニーカーブランドは、『Hypebeast』読者でもフリークの方が圧倒的に多いと言える〈Nike(ナイキ)〉。1980〜1990年代にかけて世界中でスニーカーブームを巻き起こしたAir JordanやAir Maxをはじめ、高度な技術開発に基づいたデザイン設計や限定数先行販売、著名スポーツ選手のシグネチャーモデルなどの独自戦略が功を奏し、現在でも人気商品がプレミアモデルとして高値で取引されている。スニーカーカテゴリーでも〈Nike〉と〈Nike〉傘下の〈Jordan Brand(ジョーダン ブランド)〉を合わせて全体の50%を超える圧倒的な売り上げシェアに。その他、〈adidas(アディダス)〉〈New Balance(ニューバランス)〉〈PUMA(プーマ)〉などのブランドも高い人気を博している。
スニーカーは、投資対象や資産としても注目されており、少数限定販売されたプレミアモデルの中には、100万円以上の高額で取引されたものも存在。例えば、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で主人公が履いていたオリジナルモデルのレプリカであるNike MAG “Back to the Future”は、2022年に2,500ドル(約350万円)で購入されたこともあるという。
『eBay』で最も売り上げ規模の大きい〈Nike〉の平均売価は140ドル程度と比較的安価で販売されるため、スニーカーは、トレーディングカードやアニメ・キャラクターグッズと並び越境EC(海外販売)初心者が販売しやすい商材と言える。円安の影響で、海外バイヤー(購入者)にとっては質の良い日本の商品が安く購入できる絶好の機会な上、米国ではクリスマスと年末商戦を迎えるため、バイヤーの購買意欲が高まっている。『eBay』での販売スタートにはまたとないチャンスと言えるだろう。それに合わせて、『eBay』の日本法人『イーベイ・ジャパン』では、これから海外販売を始める新規セラーを対象に、落札手数料が最大で200ドル無料になる“eBay スタートアップキャンペーン”(申込期限:2023年1月15日(日))、スニーカーをはじめとした人気カテゴリーごとの検索ワードランキングの公開、高級腕時計やブランドバッグと並び、先述した主要ブランドにおいて真贋鑑定を行う“真贋保証サービス”も実施。これらの施策を通し、日本のセラーをサポートしていくとのこと。『Hypebeast』では、そんな『イーベイ・ジャパン』のファッションカテゴリーマネージャーを務める北村直樹氏に、インタビューを敢行。内容に関しては、以下よりご確認を。
Hypebeast : 日本におけるネットオークションの市場は、ドメスティックのサービスがまだまだ強いのが現状ですが、他社と比較した際にeBayさんの強みは?
北村:日本のネットオークションではリーチすることができない世界190カ国、1億3,500万人のバイヤーへ商品を販売することができるので売れやすく、また売れないと思うものでも売れる傾向にあります。また為替の影響を受けるので昨今の円安状況下では他国のセラーの出品より、日本の出品は競争力が生まれ、こちらも売れやすいという要因になります。購入側では世界中のセラーから日本では手に入らないような商品を買うことができるということが強みになり、もし為替が円高に振れた場合などはお得に商品を購入できる場合があります。
日本のマーケットと海外を比較した際に、人気スニーカーに違いはありますか?
ブランドではNikeやJordan Brandなど、いわゆるスニーカーヘッズたちが求めるスニーカーブランドの人気潮流に大きな差はありません。しかしながら個々の商品において、その土地特有の好みや流通量などによって海外での需要が高まり、日本よりeBayでの相場が高いモデルも多く存在します。例えばNike x UNIONによるコラボDunk Low “Passport Pack Argon”は日本の大手ストリート系売買サイトの相場価格は約23,260円/最高落札価格は25,780円ですが、eBayの相場価格は約36,150円/最高落札価格は43,400円と大きな差があります。(*1米ドル=140円で換算/直近1ヶ月2022年10月29日〜11月28日の新品のみでのデータ比較)その他、adidas YEEZY BBOOST 350 V2シリーズのCMPCT “Slate Red”や“MX ROCK”などのモデルも、国内プラットフォームよりeBayの方が相場が高いです。また、国や地域ごとの体格差によって人気のサイズも日本とは異なり、eBay.comでは日本サイズで言うと28〜29cm(USサイズ10〜11)が最も人気となっており、国内よりも大きめのサイズが売れやすくなっています。
現在では、ヴィンテージのデニムやTシャツなどの古着もネットオークションでよく取引されていますが、eBayさんでの取り引き状況はいかがでしょうか?もし売れ筋の傾向などあれば教えてください。
eBay.comではヴィンテージデニムやヴィンテージTシャツの取引も盛んに行われていますが、これらのヴィンテージ物の本場がアメリカということもあり、残念ながら日本からの販売量は多くありません。その代わりにデニム関連ではEVISU、Kapital、Momotaro Jeansなど日本特有ブランドの商品などの取引が多くあります。
※本文中の金額はすべて1ドル=140円で計算