Instagram を活用する新鋭アーティストに訊く“次世代のクリエイション”とは?
NFTプロジェクト “新星ギャルバース”が話題の大平彩華とARエフェクトを用いた作品を制作するKuno Fell Asleepの2名にフォーカス
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「Meta(メタ)」(旧:「Facebook(フェイスブック)」)が、提供するプラットフォームでファンとのコミュニティ作りやクリエイティビティの表現などを行う世界各国の“次世代のクリエイター”たちに焦点を当て、それぞれの活動内容や想いを発信していくグローバルキャンペーン “Creators of Tomorrow”。
日本では、ハウスやシティポップに合わせてダブルダッチを跳ぶリール動画が人気を集めるイワネスインセイン、アニメーションを主体とした映像作品、そしてNFTプロジェクト “新星ギャルバース”で注目を集める大平彩華、さまざまなアート作品を発表すると同時に、著名なブランドやアーティストとコラボレーションしたARエフェクトを制作しているKuno Fell Asleep、クリエイターアイドルとして原宿のKAWAIIカルチャーを発信する3人組 竹下☆ぱらだいす、カラフルで個性的なメイクアップ動画を投稿し、リールをきっかけにファンを増やし続けているたけたろうといった、特に『Instagram』を活用しているクリエイター5組をピックアップしている。
今回『Hypebeast』では、アニメーションを主体とした映像作品を制作し、多くのヒップホップアーティストのMVを手掛けている大平彩華と、“ハッキング行為”をテーマにしながら、ARエフェクトを表現方法として主に扱うKuno Fell Asleepにフィーチャーし、普段の活動内容や、クリエイションへの想い、そしてこれからの展望について、“次世代”を担う2名にインタビューを敢行した。
大平彩華
東京を拠点に活動するマルチアーティスト 草野絵美とともに手掛ける、1990年代から2000年代の少女アニメ風のデザインが人気のジェネラティブNFTコレクション “新星ギャルバース”や、JP THE WAVY(ジェイピー ザ ウェイビー)やLEX(レックス)ら、日本のヒップホップシーンで活躍するアーティストのミュージックビデオやジャケットを手掛ける彼女。作品にギャルカルチャーを取り入れたルーツや、クリエイションのインスピレーション源、気になる『Instagram』の活用方法についてを語ってもらった。
Hypebeast:NFTコレクション “新星ギャルバース”が話題になっていたかと思いますが、NFTアートに興味を持ったきっかけを教えてもらえますか?
ギャルバースのCo-founderの草野絵美からNFTが海外で流行ってるというのを聞いたのがきっかけです。クリエイターにとってステップアップするきっかけになる可能性があると思い、興味をもちました。
普段のクリエイションをする中で、インスパイアされているものはありますか?
ノスタルジックなものに常に影響を受けています。昔のSFアニメや映画、漫画が好きだというのもありますが、小さい頃にそれらに触れた時のときめきやわくわくした感覚、そして今そういった懐かしい物に触れた時の、恋しい感覚を大切にしてます。
大平さんがアーティストとして活動する上で、どのようにInstagramを活用しているのかを教えてください。
アーティストさんのMVやアートワークを担当する事が多いので、それらの作品を投稿してます。SNSが普及した今、海外の人とも当たり前に繋がれるので、日本の誇りでもあるアニメというカルチャーを世界に発信できるように心がけています。
JP THE WAVYさんやLEXさん、m-floさんなど、日本のヒップホップシーンで活躍する方達のアニメーションなどを手掛けられていますが、どういった経緯で制作されることになったのでしょうか?
友人からの紹介や、アーティストさんのMVを見てくださってご連絡頂くことが多いですが、最近はInstagramに載せてる作品を見た方からDMでお仕事の依頼を受けることも多いです。
“次世代のクリエイター”として、これからの展望がありましたら教えてください。
これからWeb3の世界が進んでいくにつれ、クリエイターの仕事の幅や、アートの定義が大きく変化していくと思います。現実世界とバーチャル世界を垣根なく行き来する“世界”で活躍するクリエイターになりたいです!
Kuno Fell Asleep
物体のマテリアルを塗り替える“ハッキング行為”を表現活動のテーマとし、ARエフェクトを使った作品を発表するKuno Fell Asleepは、『Instagram』では海外のフォロワーが90%以上を占めているという。展示なども精力的に行い、国内外ともに活躍する彼のアーティスト活動を始めたきっかけ、普段の活動について、これからの展望などに注目した。
Hypebeast:まず最初に、アーティストとして活動し始めたきっかけを教えてください。
学生時代からの友人でアートディレクターの加納大輔に、自分の生成したグラフィックを雑誌の表紙のアートワークに採用してもらったのが最初のきっかけです。その後すぐに写真家の広光とフェイスAR技術を用いたポートレートのプロジェクトも始めています。ゲーム設計や3DCGの世界には、動作の高速化や容量の軽量化のために“プロシージャル・テクスチャ”というプログラムによって生成される画像を、オブジェクトのテクスチャに適用することがありますが、その手法こそが自分の視覚表現の主なスタイルになっています。
“ハッキング行為”をテーマに活動しているとのことなのですが、その点にフォーカスした理由などはありますか?
ここでいう“ハッキング行為”とは、プログラムを学び、改変して自分の自由に扱うように、現実世界を含むあらゆるオブジェクトのマテリアルをリビルドして自分のスタイルに塗り替えてしまうことです。それは、適当な便器に署名を書いて自分の作品にしてしまうMarcel Duchamp(マルセル・デュシャン)のレディメイドだったり、モノの見方を変えさせるVirgil Abloh(ヴァージル・アブロー)のダブルクォーテーションのようなもので、さまざまなフォーマットの上に自分のアートを乗っけることで成立するものです。その考え方自体が、僕の作品の楽しみ方を変える非常に重要な要素になっています。
アーティスト活動の一環で、Instagramはどのように役立っているのでしょうか?
ほとんどのお仕事やコラボレーションのご相談が、Instagramを経由してきています。他のSNSのプロフィールと比較して、ユーザーやブランドの持っている世界観を一目で理解しやすく、コミュニケーションの敷居も低いので、そういった機会が生まれやすいと思います。
ARエフェクトを表現方法として主に活用していると思うのですが、ARエフェクトの魅力などがありましたら教えてください。
自分自身、実際の印刷や塗装も大好きなのですが、ARは現実世界のオブジェクトをハックするのに、非常に便利な技術のひとつです。誰にも怒られることなく、世界のあらゆる要素に勝手にアクセスして、改変することができるからです。それらのエフェクトは、各々のスマートフォンで体験でき、ほとんどの場合特定の場所に作品を見に来る必要もありません。あるARエフェクトがベトナムでトレンドになって、毎分1人フォロワーが増えるなんてこともありました。
ファンは海外の方が多いようですが、これから国内、国外ともにどのように活動していくのかなど、展望があれば教えていただけますでしょうか?
仰る通り自分のフォロワーは海外の比率が非常に多いのですが、まずはここ日本でデザイン、ファッション、音楽、ゲーム、建築など、あらゆる領域とのコラボレーションをベースにしながら、より多くのフォーマットに自分のビジュアルアートを乗せていきたいです。現在は、渋谷某所のお手洗いのディレクションと塗装を進めているのですが、東京のみんなにそのトイレを使ってもらえると思うと楽しみで仕方ないです。最終的には、自分の関わっているものだけを身の回りに置いて生活したいと思っています。