Sole-Searching : Air Jordan 6 特集

毎月1足、歴代の名作スニーカーの歴史を紐解く新企画 “Sole-Searching”をスタート。記念すべき第1回目は今年で生誕30周年を迎える〈Nike（ナイキ）〉および〈Jordan Brand（ジョーダン ブランド）〉のバスケットボールシューズ Air Jordan 6に焦点を当てる。NBAシカゴ・ブルズに在籍したMichael Jordan（マイケル・ジョーダン）のシグネチャー6代目として発表された同モデルは、Jordanが悲願の初優勝を成し遂げた1990-91シーズンに着用されたという記念すべき1足だ。

Air Jordan 6が発売されたのは1991年2月。Jordanの故郷 アメリカ・ノースカロライナ州で開催された「NBAオールスターゲーム」にてお披露目された。デザインは、AJ3からシリーズを手がけてきたTinker Hatfield（ティンカー・ハットフィールド）が担当し、MJの所有したドイツ製スポーツカーの滑らかなシルエットがインスピレーション源となった。ちなみに1992年公開の映画『バットマン リターンズ』でバットマン演じるMichael Keaton（マイケル・キートン）が作中でAJ6をベースとしたブーツを履いていたのは有名な話。

OGカラーは、“Black/Infared”、“White/Infrared-Black”、“Maroon”、“Sport Blue”、“Maroon”の5つ。中でもブルズカラーとも称されるブラック/レッドの“Black/Infared”は、Air Jordan 6が最初に復刻された2000年、2010年、2014年、2019年と通算5回リリースされている。時代によって仕様や名称が異なっており、より深みのある赤を使用した2000年版は“Black/Deep Infrared”、“NIKE AIR”からJumpmanロゴに置き換わった2010年版は“Black/Varsity Red”、2014年版は“Infrared”、よりオリジナルに忠実となった2019年版はAir Jordan 6 OG “Infrared”となっている。

2000〜2010年代前半にリリースされた復刻版のAir Jordanは、現代的に仕様がアレンジされており、コアなスニーカーファンの間では「〜〜年版は出来がいい or 悪い」という議論がしばしば巻き起こっていた。そんな彼らの声もあり〈Nike〉および〈Jordan Brand〉は2015年春に復刻シリーズのテコ入れに着手。以後、オリジナルモデルにより忠実な仕様の復刻版が制作されることとなった。これには、“できるだけ当時のものを再現したい”というMichael Jordan自身の意向もあったようで「私が履いてたときのものと同じにするなら、高級過ぎる素材を使ったり、細部をアレンジし過ぎることのないように」とのお達しもあった模様。そんな刷新された復刻モデルの第1弾のひとつとして、“Maroon”が2015年12月に発売された。

2000年の初復刻以降、OGカラー以外にも多数のカラーウェイがリリースされているAJ6。オリンピックイヤーに2度リリースされたトリコロールカラーの“Olympic”、MJの偉業を讃えるスペシャルモデルの“DMP”、ブラック/ホワイトの“Oreo”、Jordanの母校ノースカロライナ大カラーの“UNC”、1991年にMJがCMに出演していたスポーツ飲料 ゲータレードのCM “Like Mike”にオマージュを捧げる“Gatorade”、パリ・サンジェルマン（PSG）とのコラボモデルなどが登場。その他にも2002年からはオリジナルにはなかったローカット版も展開されている。

近年は非アスリートとのコラボも多く、いまだ記憶に新しいTravis Scott（トラヴィス・スコット）モデルを筆頭に、Aleali May（アレイリ・メイ）の手がけたウィメンズ版、非売品ではあるがMacklemore（マックルモア）モデルも話題を呼んだ。そして、Air Jordan 6を語る上で外せないが、国民的バスケ漫画/アニメ作品『SLAM DUNK（スラムダンク）』の存在だろう。後のJordanのチームメイト Dennis Rodman（デニス・ロッドマン）がモデルになったとも言われる主人公・桜木花道が履いていたのが、Air Jordan 6 “White/Infrared-Black”なのである。連載終了から18年が経過した2014年には、なんと〈Jordan Brand〉との公式コラボが実現。湘北高校のユニフォームカラーであるレッドを基調としたAir Jordan6は、原作の名シーンがアッパー全体にプリントされ、ヒールには桜木の背番号である“10”が刺繍されているという胸熱モデルだった。余談だが、湘北高校のユニフォームの元ネタがブルズなので、“Slam Dunk”モデルの配色はオマージュのオマージュという興味深い現象に。

〈adidas（アディダス）〉と契約する前のKanye West（カニエ・ウェスト）が、Air Jordan 1と並んで頻繁に着用していたこともあり、ファッション界隈からの支持率も高いAJ6。Travisモデルも未発売カラーが確認されており、今後もコラボが継続されるのか気になるところ。また、先述したように2021年はAir Jordan 6にとって、30周年というメモリアルイヤーとなるので、否が応でも期待が高まる。