人気カスタマイザー ジョン・ガイガーのスニーカーを巡る Nike との法廷闘争が泥沼化
元〈Nike〉社員がAF1を模倣したとして提訴されるも取り下げを要求
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〈Nike(ナイキ)〉が、ブランドのアイコンとも言えるAir Force 1を模倣したとして、人気スニーカーカスタマイザー John Geiger(ジョン・ガイガー)を提訴した法廷闘争は、Geigerの控訴によって、泥沼化の一途を辿っている。
去る1月に〈Nike〉は、デザイナー Warren Lotas(ウォーレン・ロータス)の手掛けたスニーカーがDunkの海賊版であると主張し、製造元であるカリフォルニア拠点のメーカー「Lalaland Production」を商標権侵害で提訴。それに続いて、GF-01をデザインしたGeiger、同じく製造元である「Lalaland Production」に対しても訴訟を起こした。提訴を受けた8月にも〈Nike〉の訴えが不当であるといった旨の声明文を『Instagram』にて発表したGeiger。元〈Nike〉のメンバーとしても知られる彼は、「Nikeは過去10年間、私や(スニーカー)コミュニティ内の多くのクリエイターからインスパイアされ、恩恵を受けてきたはずと感じています。(今回の提訴については)コミュニティのみんなが私のために声を上げてくれたので、私は沈黙を守ってきましたが、Nikeは無益な主張によって起業家としての私を攻撃しようとしています」とその思いを吐露している。
11月、彼の弁護士は「AF1には製品そのもののデザインを保護するに値する十分な強度がない」と主張した上で両モデルの違いを指摘。消費者が2つのモデルを混同する可能性は低いと述べ、訴訟の取り下げを求めた。それを受けた〈Nike〉は、『Instagram』に寄せられた“GF-01の見た目がAF1に似ている”という指摘に対してGeigerが「そこがポイントだ」とコメントしたことを提示。類似性は故意的なものであったと異議を唱え、提訴を却下するよう求めるのは「手続き上不適切であり、法律の問題として根本的に間違っている」と説明した。
また、Geigerの弁護士は「Lalaland Production」はGF-01のプロトタイプを販売目的ではなく、Geiger自身のために製造しただけであったと述べているが、〈Nike〉は同メーカーが“GF-01を大量に生産した”ことを示す文書を入手したと主張。両者の主張は噛み合わず、出口の見えない本件だが、果たして解決の糸口が見つかるのか……。今後も注視が必要そうだ。