Jil Sander 2026年秋冬キャンペーン ── 滑走路に出現した“屋外の室内”
「最小限の手法で、緊張感と驚きを表現したかった」
クリエイティブディレクター シモーネ・ベロッティ(Simone Bellotti)手掛けるイタリアのファッションブランド〈Jil Sander(ジル サンダー)〉が、2026年秋冬のキャンペーンを公開した。
フォトグラファー/ディレクターのモニ・ホーワース(Moni Haworth)が撮影した今回のキャンペーンでは、自家用飛行場の滑走路を舞台に、屋外に家具を配置した一風変わった空間を構築。ラテックスで覆われたテーブルやアルミ箔に包まれたソファなど、“住まい”を想起させる要素を滑走路上に並べることで、室内と屋外の境界を曖昧にしたシュールな情景を作り上げている。
モデルには、エディ・キャンベル(Edie Campbell)と上田太輔を起用。ざらついた質感と色褪せたVHSを思わせる色調で切り取られたビジュアルは、ヒッチコックやファスビンダーの映画作品を彷彿とさせる緊張感を漂わせながら、滑走路で暮らしているのか、これから旅立つのか、それとも今まさに到着したのか。見る者の解釈に委ねる抽象的な物語を描き出している。
さらに、キャンペーンムービーのBGMには、イギリス・マンチェスターを拠点に活動するサウンドアーティスト/音楽デュオ スペース・アフリカ(Space Afrika)が、新進気鋭のミュージシャン/アーティスト Deuénをフィーチャーした楽曲『If This Is Hell』を採用。ディープ・ミニマルやアンビエント、ダブテクノを軸とするスペース・アフリカのサウンドと、息つく間もないほどの速さで展開するリリックが映像と呼応し、キャンペーンに不穏さと高揚感をもたらしている。
ベロッティは今回の表現について、「最小限の手法で、緊張感と驚きを表現したかった」とコメント。〈Jil Sander〉の本質ともいえる“強いシンプルさ”を軸にしながら、そこへ影のある表現と官能的な緊張感を加えることで、相反する要素が共存する世界を構築したという。
また、2026年秋冬ではブランドが掲げる抑制された美学をさらに推し進め、「余剰」や「不可欠なもの」、「加えること」と「取り除くこと」といった矛盾をひとつの視覚的な物語として提示。すべてを説明し切らない余白を残すことで、見る者それぞれの解釈を引き出すキャンペーンに仕上げている。
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