UNIQLO : C と UNIQLO をデザインするクレア・ワイト・ケラーの真意 | Interviews
韓国・ソウルで開催された〈UNIQLO : C〉2025-26年秋冬コレクションのプレゼンテーション。その会場でデザイナーのクレア・ワイト・ケラーに話を聞いた
UNIQLO : C と UNIQLO をデザインするクレア・ワイト・ケラーの真意 | Interviews
韓国・ソウルで開催された〈UNIQLO : C〉2025-26年秋冬コレクションのプレゼンテーション。その会場でデザイナーのクレア・ワイト・ケラーに話を聞いた
5シーズン目を迎える〈UNIQLO : C(ユニクロ:シー)〉を手掛け、2024年には〈UNIQLO(ユニクロ)〉全体のクリエイティブ・ディレクターにも就任したクレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Keller)。9月3日と4日、韓国・ソウルで行われた最新コレクションのプレゼンテーションは、ブランドの進化を示す場となった。
ソウルを会場に選んだ理由についてクレアはこう語る。「UNIQLO : Cの定番アイテムであるスウェットフーディが韓国で大きなヒットを記録したこと、そしていまソウルが私にとってトレンドをリサーチするのに最も刺激的な街だから。街全体がグラフィカルでモノクローム的。今の気分にぴったりなんです」。
イベントの合間を縫って行ったミニインタビューでは、〈UNIQLO : C〉の独自性からデザイン哲学、そして〈UNIQLO〉本体との関係まで、幅広く語ってくれた。
私にとってエフォートレススタイルとは
コーディネートに頭を悩ませる必要がない服
Hypebeast:ユニクロ:Cとユニクロの違いは?
クレア・ワイト・ケラー:ユニクロ:Cは、新しい生地やテクニックを試す“実験的ラボ”のような役割も持ったライン。そこで成功したアイデアが、後にユニクロ本体に取り入れられることもあります。一方でユニクロは“みんなのワードローブ”。最高の白Tシャツや万能なブラックパンツといったエッセンシャルなアイテムに、少しだけファッション性を加えることを意識しています。
ユニクロ:Cは、2025年春夏からメンズラインも登場しました。ウィメンズとの違いは?
もちろん、ウィメンズをメンズが着たり、メンズをウィメンズが着るのも大歓迎。ただ、デザインのアプローチには違いがあります。ウィメンズはトレンドに合わせてサイズ感やシルエットが変化しますが、メンズはよりクラシックなスタイルを追求しています。シーズンごとに大きく変わることはないため、素材やディテールに特にこだわっています。
コレクション全体に漂う“エフォートレススタイル”とは、具体的にどのようなものですか?
私にとって、エフォートレススタイルとは「コーディネートに頭を悩ませる必要がない服」です。シンプルで着回しがきくアイテムなので、前のシーズンに買った服と今シーズンの新作を簡単に組み合わせることができます。そうして、自分のワードローブを徐々に充実させていくことが大切だと考えています。
クレアさんのコレクションで特徴的な、洗練されたニュアンスカラーはどのように生まれるのですか?
私は、まず素材そのものを見てから、色を考え始めます。イングリッシュツイードのような伝統的な素材やヴィンテージのテキスタイルからヒントを得ることが多いですね。伝統的な色味を大切にしながら、複数の色を組み合わせたときに馴染むよう、トーン・オン・トーンの配色も意識しています。実は、私にとって色はデザイン画を描くよりも先に決めるほど重要な要素なんです。
ユニクロならではの機能性素材(パフテックなど)を、日常のワードローブに自然に溶け込ませるための工夫は?
ユニクロのアーカイブを常に見て研究しています。最も重要なのは「制約のない動き」です。自転車に乗るときでも自然でいられるような、着る人の動きを妨げないデザインを心がけています。これが私の考えるモダンな服です。機能性とデザインを融合させることで、これまでのブランドではできなかったクリエイションに挑戦できて、とても楽しいです。
ラグジュアリーブランド時代とは異なる「大量生産」という制約。これが逆にクリエイティブな挑戦につながっている面はありますか?
大規模な生産は、多くのことを意識しなければならないのは事実です。文化的な違いも考慮して、誰でも着られるような普遍的なアプローチを心がけています。例えば、Tシャツに便利なジップポケットをつけたいと思っても、多くの人にとっては不必要かもしれません。そういったディテールを吟味し、誰にとっても分かりやすく、スタイリングしやすいものをデザインするようにしています。
ありがとうございました!
ソウルでのイベントを通じて強く感じられたのは、クレア・ワイト・ケラーのデザイン哲学が“削ぎ落とすことの美学”に貫かれているということだ。すべてのアイデアを盛り込むのではなく、本当に意味のあるディテールだけを残す。そのプロセスの中で、むしろデザインの本質に近づいていく。結果として生まれる服は、多くの人々の日常に自然に溶け込み、長く愛用できるものへと昇華されている。
そして、〈UNIQLO : C〉が掲げる「実験的ラボ」としての役割は、機能的素材とデザインの絶妙なバランスにもある。その一つひとつの選択がやがて本体の〈UNIQLO〉に反映され、世界中のワードローブを静かに更新していく。大量生産という制約の中で挑戦を重ねること──そこには、〈Givenchy(ジバンシー)〉時代にはなかった、クレアが〈UNIQLO〉で見出した新しいクリエイションのかたちがある。




















