TAG Heuer x fragment 第3章──藤原ヒロシに聞いた“違和感”のデザイン哲学 | Interviews
「今の時代には少し逆行しているかもしれない。でも数年後に“買っておけばよかった”と思われる存在になればいい」
TAG Heuer x fragment 第3章──藤原ヒロシに聞いた“違和感”のデザイン哲学 | Interviews
「今の時代には少し逆行しているかもしれない。でも数年後に“買っておけばよかった”と思われる存在になればいい」
トレンドを作る人ではなく、トレンドそのもの。いや、トレンドというより“スタイルのヒント”を示し続けてきた人──。 藤原ヒロシ率いる〈fragment(フラグメント)〉x〈TAG Heuer(タグ・ホイヤー)〉による3度目のコラボレーションウォッチがリリースされる。
2018年の“カレラ クロノグラフ”、2020年の“キャリバー ホイヤー02 クロノグラフ”に続く今回のモデルは、2023年に発表されたグラスボックスデザインの“タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ”がベースとなる。大きくも小さくもない絶妙な39mm径に、水面張力を思わせるドーム型サファイアクリスタル。1963年の初代カレラから続く系譜にありながら、その伝統を崩さず更新されたクロノグラフモデルに、藤原ヒロシは静かで鋭いアレンジを加えている。
まず目を惹くのは、ベゼルに大胆に配されたホワイト。その下に広がるブラックダイヤルとのコントラストは、藤原ヒロシのストリート的感性を好む人なら“一発で使える、合わせやすい”と直感するはず。そして、控えめながら確かな個性は別の場所にも潜む。デイトディスクの“1”と“11”だけが、〈fragment〉の稲妻ロゴに置き換えられているのだ。月に2度だけ現れるロゴという、洒脱な遊び心。肉眼ではやっと見えるほどのさりげなさもまた、藤原ヒロシらしい。
ストリートの軽やかさと、機械式時計の品。藤原ヒロシがアレンジすることで、そのふたつの間に流れる絶妙な“緊張感”こそ、このモデルの魅力だろう。スイスのクラフツマンシップと、東京の感性が交わるところに生まれた1本──その奥にある藤原ヒロシの考えを、改めて聞いた。
僕は“引き算”というより“違和感”に近い
完璧すぎるより少しズレているほうがいい
Hypebeast:もう百万回聞かれているかもしれませんが(と前置きした上で)、腕時計をデザインするとき、スニーカーやアパレルと“違う感覚”はありますか?
藤原ヒロシ:ないですね。どれも自分の延長線上にあるデザインです。
TAG Heuerとfragmentのコラボは2018年、2020年に続き今回で3度目です。以前はジャン=クロード・ビバー氏との直接的なやり取りから生まれたと伺いましたが、2025年はどのような経緯で始まりましたか?
たしか、まいちゃん(生沢舞)が、TAG Heuerと時計を出した時期だったと思います。彼女の紹介で、TAG Heuerの担当者と再会して、「またやりましょう」という流れになり、正式オファーを受けました。
これまでの2本と比べ、今回「特に変えたこと」「変えなかったこと」は?
1作目は自分のやりたいことをやらせてもらい、2作目は先方の意向を僕がアレンジした感じ。今回は1作目に近いというか、“自分の感覚”で進めました。
今回のデザインプロセスを教えてください。
既存モデルをいくつか見せてもらい、タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ(39mm)をベースに調整しました。ゼロから描くというより、既存のフォルムを自分の感覚で整えるやり方です。
ベゼルにあるタキメーターがピュアなホワイトになっていますね。黒白のコントラストが印象的です。そして、よく見ると、12時位置のデイトの部分の“1”と“11”だけ、数字ではなく、fragmentのサンダーボルトマークが入っています。ほんと、さりげなく、さりげがあります!
ロゴを大きく主張したくないんです。気づく人だけが気づく程度がいい。時計は毎日見るものなので、ほんの少しの“違和感”があれば十分。月に2日だけ稲妻が現れる仕組みにしました。
TAG Heuerといウォッチメーカーと組む面白さは?
TAG Heuerって、フルダイヤとかのモデルを多く出すことはしない。つまり“ギラギラした時計”ではない。それはラグジュアリーとストリートの中間にもなり得て、ストリートカルチャー側の人間からもアプローチしやすいはず。僕にとってはちょうどいい位置のブランドで、組む面白さはありますね。
今回のモデルはクロノグラフですが、普段、クロノグラフの時計はよく着けますか?
ときどき身につけますが、クロノグラフの機能を使うことはほぼないです(笑)。でもデザインとしての存在感は好き。時計って、そういうものだと思います。
「引き算の美(Art of Restraint)」という言い方もありますが、ヒロシさん自身は?
僕は“引き算”というより“違和感”に近い。完璧すぎるより、少しズレているほうがいい。
最後に、このモデルに込めた想いを教えてください。
今の時代には少し逆行しているかもしれない。でも、数年後に「あの時買っておけばよかった」と思われるような存在になればいいですね。
ありがとうございました!
タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ x フラグメント リミテッドエディション
発売日:2025年12月3日(水)
価格:130万3,500円(税込)
ケース素材:ステンレススティール製
ケース直径:42.3mm
ケース厚さ:14.4mm
他情報:500本限定
問い合わせ:LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー●03-5635-7030



















