藤原ヒロシに訊く Cole Haan との再コラボレーションの内幕
「どこにでもあるように見えるけど、なかなかない仕上がりになっているはず」

もはや説明不要かと思うが、1990年代から現在に至るまで数多くのフットウェアを手掛けてきた藤原ヒロシおよび〈fragment design(フラグメント デザイン)〉。その中でも2012年に発表された〈Cole Haan(コール ハーン)〉とのコラボレーションを鮮烈に記憶している方も少なくないのではないだろうか。そんな両者が10年以上の時を経て、2度目となるコラボシューズを発表。フォーマルで伝統的なドレスシューズに現代的な機能性や色使いを融合させた前作とは対照的に、今回はよりクラシカルなアプローチで攻めている。
1950~60年代のアイビーリーグスタイルに着想し、〈Cole Haan〉の人気モデルであるAmerican Classics(アメリカン クラシックス)のペニーローファーとタッセルローファーの2型を、HF視点から再解釈した本コラボレーション。フォーマルなアッパーに、ボリューム感のあるソール、ヒールの稲妻マーク、ペニーローファーのサドルに隠されたブランドロゴなど、ストリート的な要素を巧みに混ぜ込むことで、ミニマルながら実に藤原ヒロシらしいデザインに仕上がっている。我々『Hypebeast』では、両者の新たなチームアップを記念して、藤原ヒロシにインタビューを実施。再コラボレーションの経緯、ディテールの解説やローファーに対するこだわりを伺った。
Hypebeast:前回、Cole Haanとコラボされたのは、10年以上前でしたが、どういう経緯で今回のプロジェクトが実現したのでしょうか?
あの時は、Cole Haanというか、親会社だったNike(ナイキ)と一緒にやったイメージですね。当時はまだNikeの一部だったんですよ。今回は友人のジェフ・ステイプル(Jeff Staple)がクリエイティブ面で関わっていることもあって、彼経由でCole Haanからオファーをいただきました。ローファーやタッセルなども以前から好きなので、そういったドレスシューズ的なものが作れたらと思い引き受けました。
最初からローファーでやるというのが前提にあったのですね。
そう。一応いろいろ見たんだけど、最初からこの形(今回のベースになったモデル)でやりたいなと。
他のレザーシューズブランドと比べて、Cole Haanはどういう印象ですか?
他のレザーシューズとなると、Dr. Martens(ドクターマーチン)は、もっとストリートっぽいというか、若者って感じ。Cole Haanはもっとトラッドなイメージで、僕らが通ってきた70年代のアイビーの頃は、ローファーとかが有名で、その印象がやはり強いですかね。
前回と比較して、今回のシューズのポイントを教えてください。
前回のコラボではドレスシューズにLunar(ルナ)ソールを使用するのが前提だったので、そもそもコンセプトから違いました。今回のベースとなったCole Haanのモデルはアウトソールが小さくて、いわゆるドレスシューズって感じ。僕のモデルでは全体的にボリューム感を出してもらいました。ソールはアッパーのサイズからワンサイズ大きめのもの使ったりして、少しごつい感じに。普通の革靴って上はボリュームがあっても、下が薄かったり小さかったりするじゃないですか?最近はラグジュアリーブランドだと厚めのソールを使っているところもあるけど、シューズブランドだとあまりない気がして。自分自身は革底の靴ってのはほとんど履かないし、これからも履きたいと思わないから、こういうドレスシューズでも、ラバーソールやVibram(ヴィブラム)みたいなものがやっぱりいいかな。このソール自体はCole Haan独自のものなので、それを使わせてもらいました。
やっぱり、いわゆるドレスシューズの形ってありますよね。先端が少し尖っているというか。僕は上から見たときの靴の大きさのバランスはすごく気にしていて、靴のシェイプはこだわっています。ラバーソール世代だから、大きめのソールが好きなんです。
カラーブロックの配色が印象的です。前にカスタムされてたNike Air Force 1にも通じるなと思いました。アッパーの上下で色を分けるのはあまりなさそうですよね。
どうやって遊べるかなって、いろいろ試しながらできた中の1つですね。確かに珍しい配色かもね。作る側としてはめんどくさそうというか、プリントがずれそう(笑)。
プロジェクト自体はすごい長い時間を費やしたと聞きました。
コロナの影響もあったから、時間は結構かかって。サンプルも3回ぐらいやり直したのかな。でも、その分かなり頑張れたなと思います。どこにでもあるように見えるけど、多分なかなかない仕上がりになっているはず。
実際履いてみていかがですか?持った時にすごい軽くて、びっくりしました。
すごい軽いですよね。重いものが高級ってイメージがあるから、軽いと安っぽく感じちゃうかもしれないけど(笑)、履き心地の良さを試して欲しいです。
ヒロシさんといえばスニーカーの印象を持ってる人も多いと思いますが、タッセルローファーは以前から履かれているのですか?
はい、前から割と履いてます。Loake(ローク)というブランドを定期的に履いてて、ローファー履いてると、なんとなくいい人そうだったり、頭良さそうに見えませんか(笑)。スニーカーはスニーカーで不良っぽいし、ちょっとおしゃれな大人って少し先端の尖ったレザーシューズが多いイメージ。ローファーは、そういうところとは全然違うカテゴリー。
革靴を合わせる際に、スタイリングを変えたりしますか?
大きくは変わらないけど、多少あるかも。大きめのデニムだと、スニーカーの方がフィットするから、その時々で調整してますね。
レザーシューズを手掛ける際は、スニーカーと比べて、デザインのやり方など違いはありますか?
僕はあまり1から新しいモノを作るっていう感じのやり方じゃないので。複数の要素をミックスして新しい形に仕上げるやり方だから、それはどのプロダクトでも大きく変わりはないですね。
ヒロシさんの中で1番お気に入りはどれになりますか。
個人的には、オールブラックで仕上げたタッセルローファーのフレンズアンドファミリーモデルですかね。普段はスニーカーが多いけど、最近はこればかり履いてます。
〈Cole Haan〉x〈fragment design〉のコラボ第2弾は、アメリカンクラシックス ペニーローファー(オールブラック、ホワイトブラックコンビ)、アメリカンクラシックス タッセルローファーの計2型3色展開となり、3月7日(木)に『コール ハーン グランドショップ キャットストリート』にて先行発売、その後3月8日(金)から、一部の『コール ハーン直営店舗』と取り扱い店舗にて販売開始。価格は全て41,800円(税込)。日本、韓国、インドネシアでの先行リリースとなり、今後グローバルにて展開される。さらなる詳細はこちらから。