ど派手なラグスポSUVは卒業して RANGE ROVER SPORT SV にする?
最高にクールなハイパフォーマンス・ラグジュアリーSUV=レンジローバースポーツSV。ポルトガル・リスボンで試乗した自動車ジャーナリストの大谷達也がリポートする







「LANDROVER(ランドローバー)」のRANGE ROVER SPORT SV(レンジローバースポーツSV)は、とにかく最高にクールで格好いいハイパフォーマンス・ラグジュアリーSUVだ。
加速がスーパースポーツカー並みに鋭いうえ、サーキットではスポーツカー並みのコーナリング性能を披露するハイパフォーマンスSUVが、世界中のラグジュアリーブランドから次々とデビューしているが、それらの多くは、ど派手なエアロパーツがついていたり、腰のあたりが深く抉れたバケットシートなんかがついていたりして、スポーツモデルらしい雰囲気をプンプンと漂わせている。
もちろん、それはそれでいいんだけれど、「いかにもスポーツモデルって感じのラグジュアリーSUVは、もう卒業でいいかな」と思っている人にお勧めしたいのが、先ごろデビューしたレンジローバースポーツSVである。
レンジローバーの名前を知らない人は、いまさらいないだろう
険しい岩場やぬかるんだ泥道を難なく走り抜けるオフロード性能を持ちながら、夜になったらタキシードに着替えてフォーマルなパーティにも乗り付けられるほどスタイリッシュな初代レンジローバーがデビューしたのは1970年のこと。そして2021年には5世代目となる現行型が誕生。まるで自動車ショーから抜け出してきたコンセプトカー並みに完成度の高いエクステリアデザインと、シンプルなのに質感が高くて味わい深いインテリアが世界中のセレブなどから支持されて、いまも一部モデルが品薄になっているほどの人気を誇るラグジュアリーSUVの代表作だ。
いっぽうのレンジローバースポーツは2005年に初代が登場。レンジローバーのオフロード性能や上品さを受け継ぎつつ、そこにスポーツモデルの要素を採り入れたレンジローバースポーツも即座に人気SUVとしての地位を確立すると、2022年には5代目レンジローバーをベースとする最新型がデビュー。新型レンジローバーに優るとも劣らない美しいデザインと、最新世代のプラットフォームが生み出すダイナミックな走行性能が高く評価され、こちらも世界中で人気モデルとなっている。
先ごろ発売されたレンジローバースポーツSVは、このレンジローバースポーツのパフォーマンスをさらに磨き上げた、特別なラグジュアリーSUVである。V8ツインターボエンジンの最高出力は実に635ps。おかげで静止状態からたった3.8秒で100km/hまで加速し、最高速度は290km/hに達する高性能振りを発揮する。これだけの速さを支える足回りには新開発の6Dダイナミクスエアサスペンションを採用。サーキット走行をしっかりこなす逞しさと、街中ではスタンダードなレンジローバースポーツと区別がつかないくらいの快適性を両立させている。
しかも、高性能SUVだからといってエンジンが爆音をまき散らすこともない。この辺のセンスはとてもクールだと思う。そうした洗練されたクルマ作りとともに注目していただきたいのが、レンジローバースポーツSVの最高にオシャレで質感の高いデザインである。とりわけ感動的なのが、そのインテリア。しかも、直線的でスッキリとしたデザインが美しいだけでなく、キャビンに使われているレザーやウッドの質感や色合いはウットリするほど魅力的だ。
率直にいって、グレーやベージュといったカラーはほかのブランドもたくさん使っているものの、レンジローバーが選んだのはそこにブルーやレッドなどを微妙にブレンドした深みのある色調。こういう色味のセンスは、ファッション・ブランドもそうだけれど、マネをしようとしても簡単にマネできるものではない。おそらくはデザイナーと、実際にレザーを染色する職人たちが、レンジローバーの場合は相当に優れているのだろう。そして、これほど美しいインテリアを、ハイパフォーマンスなレンジローバースポーツSVと組み合わせてしまったところに、レンジローバーというブランドのセンスのよさが表れているように思う。
超クールなレンジローバースポーツSVは限定販売で、人気車種だけあって日本割り当て分はすでに完売済みとか。でも、これは2024年モデルに限った話で、2025年もリリースされる可能性が高いので、「最高にクールなハイパフォーマンス・ラグジュアリーSUV」を手に入れたい人は、今後の発表に是非、注目していただきたい。