世界で活躍するプロバレーボールプレーヤー 石川祐希を特別撮影&インタビュー(前編)
遂に復活したバレーボール男子。チームを復活に導いた一人、石川祐希を『Hypebeast』がスペシャルシューティング。前編は、強くなった理由やパリ五輪出場への意気込みを石川祐希が語る
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帰国中の石川祐希に話を訊いた
主要な世界大会では46年ぶりとなるメダル獲得や、アジア選手権での横綱相撲の優勝など、最近のバレーボール日本代表は「お家芸」と呼ばれたかつての輝きを取り戻しつつあるように見える。強くなった理由を、石川祐希はどのように分析しているのだろうか。
「僕のほかに髙橋(藍)選手がイタリア・セリエAでプレーしていますし、西田(有志)選手も去年はイタリアのチームに所属していました。ほかにも、ポーランドやドイツなどで活躍する選手もいて、国際経験を積んだ選手が増えていることが強くなった要因のひとつだと思います」
では石川本人は、イタリアでプレーすることでどの能力が伸びたと感じているのだろうか。
「プレーよりも、自分を表現する方法が変わったと思います。日本だと、言わなくても察してよ、みたいなところがありますが、イタリアでは言わないとわからないでしょ、という感じで、みんな思ったことを言葉にします。日本は意見のぶつかり合いを避けるけれど、言い合いをすることも時には必要だと学びました。あとは点を決めたときに咆えたりとか、イタリアに行ってから感情表現が豊かになりましたね」
感情の表現について石川がイタリアで面白いと感じたことは、「イタリア人は、自分に対して怒ることが多い」ことだったという。
「たとえば自分がミスをしたときに、自分に向かって『なにしてるんだよ、もっとやれよ!』的なことを叫ぶんです。いい意味で切り替えられるし、スイッチを入れることもできるので、学びましたね」
思ったことをきちんと言葉にして相手に伝える。そうしたカルチャーをイタリアから持ち込んだことが、日本代表が強くなったことにつながったのではないだろうか。そう尋ねると、石川は軽くうなずいだ。
「なにか気づいたらばんばん言うようにしているし、周りの選手にもなにかあったら言ってくれと伝えているので、コミュニケーションは密になったかもしれませんね」
“ワールドカップは9日間で7試合を戦わなければいけないので、タフさが必要”
バレーボール男子日本代表チームは、9月末より「FIVBパリ五輪予選/ワールドカップバレー2023」に臨むことになる。国立代々木競技場第一体育館で行われるこの大会に向けて石川個人は、どんな準備をしているのだろうか。
「イタリアのシーズンが終わったときに課題だと感じたのは、タフさでした。連戦だったり試合が立て込むと、パフォーマンスが落ちる傾向にありました。この大会は9日間で7試合を戦わなければいけないので、タフさが必要です。具体的には、試合と同じような緊張感を持ちながらトレーニングを積みたいと思います」
石川によれば、アリーナでの応援は、間違いなく選手のパフォーマンスを向上させるという。
「セリエAでも日本代表でも、勝ち進むことで観客や応援も増えるし、会場も盛り上がります。会場が盛り上がると、選手の力になります。バレーボール選手が子どもたちの憧れの存在になれたらいいと思っているし、バレーボールをやりたいと思う人が増えてほしいと願っているので、パリ五輪出場は絶対に決めたいです」
これからの大一番を戦うバレーボール日本代表。日本中から代々木体育館に向けて念を送り、チームの後押しをしよう!
石川祐希
1995年愛知県生まれ。小学生でバレーボールに出会い、高校時代には2年連続で高校三冠を達成した。中央大学在学中だった2014年にイタリアへ渡り、以後、イタリア・セリエAでプレーする。現在はミラノのパワーバレー・ミラノに所属。2021年より日本代表チームのキャプテンも務める。