PC のタイピング音からパスワードが盗まれる時代が到来？

架空の写真やアイテム、アーティストの音声を用いたカバー楽曲を生成など、過去に例を見ない速さで進化を遂げるAI（人工知能）技術。そんななか、イギリスの大学の研究チームが、タイピングの音声データを使って個人データを盗むことのできるディープラーニングモデルを作成したと報じた。

“音響サイドチャネル攻撃（Acoustic Side Channel Attack）”として知られるハッキング方法を実行させるディープラーニングモデルを作成すべく、研究チームは、最新型の13インチのMacBook Proを用いて、36個のキーを25回ずつ押した音を17cm離れた場所に置かれたiPhone 13 miniで録音。この方法で収集したデータをスペクトグラムに変換し、音を可視化した上で、画像認識モデル『CoAtNet』のトレーニングに使用したという。その結果、研究チームは、95%の正確さで入力したキーを判定できたと報告した。なお、ビデオ会議ツールの『Zoom』を用いた同様の実験でも、93%という高い精度が達成されたとのこと。

研究者の観点から言うと、この方法を用いることで、簡単にユーザーのパスワードや認証情報などが手に入れられてしまう模様。そのため、ビデオ会議中にはパスワードなどの重要な情報のタイピングは避けるべきと指摘し、指紋などの生体認証やパスワードマネージャーの使用を推奨している。