藤原ヒロシが産んだ “fragment 版たまごっち”の誕生秘話
“たまごっち”史上でも群を抜いて異色な“Original Tamagotchi FRGMT EDITION”に迫る
先日、藤原ヒロシの『Instagram(インスタグラム)』に投稿され、巷の話題を独占した漆黒の“たまごっち”。キャプションには「the 卵」とだけ記されており、一般販売があるのかないのかすら謎に包まれていたが、ここにきてようやく全貌が明らかとなった。この“たまごっち”の正体は「BANDAI(バンダイ)」と〈fragment design(フラグメント デザイン)〉のコラボレーションプロダクト、その名も“Original Tamagotchi FRGMT EDITION”。
“Original Tamagotchi”とは、欧米のみで販売されていた“たまごっち”であり、2022年に逆輸入される形で日本でも販売が開始された。今回、藤原ヒロシがデザインした“Original Tamagotchi”は、いかにもHFらしいミニマルなブラックのシェルに、程よいサイズの稲妻ロゴをプリントしたデザインが特徴。本体とパッケージ共にマット加工を施した高級感のある仕様は、キャッチーなデザインの多い“たまごっち”の歴史においても、かなり異色と言えるだろう。
これまでもファッションアイテムに限らず、多くのびっくりコラボを手掛けてきた藤原ヒロシ。このたび『Hypebeast』では、そんな稀代のヒットメーカーが、いかにして“たまごっち”に辿り着き、この“Original Tamagotchi FRGMT EDITION”を産み出したのか、本人に直撃した。
Hypebeast: コラボの経緯を教えてください。
BANDAIとは、2〜3年のお付き合いがあって、その中からいろいろとアイデアを出していく過程で、たまごっちができそうという話になったんです。雑談ベースですが、去年の10月ぐらいからスタートして、2〜3月にはものができてた気がしますね。たまごっちって名前もキャッチーで、子供を対象としているから、大人ぽい色とパッケージでできれば面白いかなって。その時は既にSupreme(シュプリーム)もコラボしていた時でしたが。
なぜ、たまごっちに興味を持ったのですか?
たまごっちとして遊んでいなくても、キーホルダーとしても使えるじゃないですか。あとは、エイサップ・ロッキー(A$AP Rocky)とかが身に付けてるとか、そういう情報も聞いて、じゃあやっても面白いかもねって。
社会現象になった1990年代当時はやってましたか?
周りでやっている人を見たりしていましたが、僕はもう大人だったので、やったことはなかったですね。
ヒロシさんがコラボレーションされる際は、どこまでいじれるのが肝になるかと思いますが、今回も同じような流れでしたでしょうか?
まず、どこの範囲内にプリントできるかなどを確認してからスタートして、サンプル製作も1回でバッチリでした。ボディは特に指定はしてなかったのですが、BANDAIが気を利かせて(笑)、艶消しにしてくれたり。マットはたまごっちの中でも初めてみたいです。
アーカイブなども参考にされました?
ネットで検索する程度ですが、多少は確認しました。どっちにしても(たまごっちが従来やってきたような)カラフルにしたり、柄を付けるということはないのですが。どこまでシンプルに落とし込めるかがテーマで、唯一迷ったのが、画面の枠のパーツを白にするか黒にするかぐらいですかね。
反響はありましたか?
30代ぐらいの人から「あれは売り物ですか?」というDMが結構きました。特に海外の人が多かったですね。
老若男女が知っている商品をアレンジする時のやり甲斐や面白みを教えてください
音楽に例えると、楽曲を作って、それを認知させるのは難しくて、でもそれがカバー曲だとわかりやすいじゃないですか。それと同じで、既に世の中にあるものだから。そこから手を加える場合、どこまでアレンジできるかっていう、やりがいもありますし。僕は好きなプロセスですね。
スニーカーを作るのと変わらないですか?
スニーカーも今は結構な範囲までいじれますが、そこは僕は実は少し苦手で、決められた範囲内でやれることの方が得意分野ではあります。なので、今回のたまごっちはとてもやりやすかったです。
おもちゃ系は今後も取り組まれますか?
そうですね、買いやすい・手に取りやすいものも積極的にやっていきたいとは考えています。
現在の平成レトロブームをどう見てますか?
ノスタルジーなものって無視できない楽しさはありますよね。心をくすぐるものがあるから、悪くないと思います。某オーディオ機器メーカーが最近ターンテーブルを再発したそうで、海外も含めて本格的なレトロブームが確実に来ているのかなって。企業にとっても、新たなビジネスチャンスになるところはあるんじゃないですかね。余談ですが、デジタルの進化って、いろんなもの小さくするとか集約するとかがメリットですが、それによって、他の市場が衰退する場合もあるから、自分で自分の首を絞めるときもありますよね。例えばiPhoneで音楽が聴けないのであれば、今でもiPodが売れてたはずで。なので、たまごっちも簡単にアプリ化できたと思いますが、プロダクトとして持っていることが重要というか。
これを機にヒロシさんもたまごっちを育ててくださいね。
すぐ死んじゃう気がする(笑)。ちなみに、このたまごっちは、リセール目的で買った人はすぐに死んでしまうような仕掛けになっています(嘘)。
ここまで読んだ方は、販売方法が気になっているかと思うが……“Original Tamagotchi FRGMT EDITION”は『プレミアムバンダイ』での抽選販売となり、受付期間は、6月1日(木)~8日(木)。発送は9月頃が予定されている。