Ferrari が初のSUVとなる725馬力の Purosangue を完全公開
観音開きを採用したドアの中は4座シートでシャンパンが収納できるキャビネットも備えられる
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生誕75周年を迎える「Ferrari(フェラーリ)」は、数多くの伝説的ハイパフォーマンスカーを世に送り出してきたが、これまで超高級SUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)市場には参入してこなかった。しかし、「Lamborghini(ランボルギーニ)」Urus(ウルス)、「Aston Martin(アストン・マーティン)」DBXといった高価格帯・高級志向のSUVがマーケットシェアの拡大を強める中、マラネロの跳ね馬もついに自分たちの手による725馬力のPurosangue(プロサングエ、英語で“サラブレッド”を意味する)を投入した。
「Ferrari」はPurosangueをSUVと呼ぶことには抵抗があり、快適性と多用途性を第一に考えたスポーツカーのラインナップのひとつと位置づけている。もちろん、「Ferrari」である以上、速さだけが前面に出ることはない。Purosangueは6.5リッターV型12気筒エンジンを搭載し、最高出力725馬力、最大トルク716Nmを備え、その最大トルクの80%を2100rpmで発揮、2033kgのボディを310km/h、0→100km/h加速3.3秒で達成する。さらに、新開発のサスペンションと8速トランスミッションを搭載し、4速ギア200km/hまでの4輪駆動が可能で、それ以降は自動的に後輪駆動に切り替わる。
Purosangueで注目すべきは、観音開きのドアを採用したことだろう。パワー式のリヤドアはサイドウインドウの前方下にあるレバーを引くと、静かにドアが開くとされる。エクステリアに目を向けると、フロントはロングノーズで低く構え、リアフェンダーをグラマラスに膨ませ、リアのオーバーハングを極端に短くしたパッケージング。これはもう疑う余地もない「Ferrari」の血統を受け継ぐデザインだ。
インテリアでは、競合メーカーの高級SUVが5人乗りのスペースを確保するのに対し、Purosangueはしっかりとしたホールド感を約束するスポーティな4座シートを採用している。リアシートの中央にはシャンパンが収納できるキャビネットとクールボックスが備えられ、内装のトリムはレザー、カーボンファイバー、アルカンターラの素材から選択が可能で、ルーフトップには紫外線や赤外線を遮断するティンテッド・ガラスルーフもオプションで用意されている。
Purosangueの日本での販売価格は未定だが、イタリアではベースモデルで39万ユーロ(約5,600万円)と発表されている。しかし仮にを購入に必要な資金を手に購入を申し込んだとしても、簡単には入手出来ないようだ。「Ferrari」の既存のオーナーは、数カ月前にPurosangueを予約する機会を与えられており、既に予約が殺到していると報告されている。また、「Ferrari」はPurosangueが全体の売り上げの20%以上を占めることを望んでおらず、つまりSUVを沢山売って儲けようというつもりはないことを示唆している。簡単に言えば、この車も他の「Ferrari」同様、“Ferraristi(真のFerrariオーナー)”のために希少性が保たれる、ということだろう。
「Ferrari」Purosangueは、2023年末より出荷開始予定と発表されており、日本の路上で見られるのはまだ1年以上先となるので、しばらくは下の映像を眺めながらその上陸を待つことにしよう。