YEEZY の撤去を受け Nike にクリスマス特需が発生か
〈YEEZY〉との競争がないため〈Nike〉商品に対する需要が高まると予想

〈adidas(アディダス)〉は10月にKanye West(カニエ・ウエスト)/Ye(イェ)が反ユダヤ主義的な発言を繰り返したことを受けて〈YEEZY(イージー)〉との関係を断ち切ったのはご承知のとおり。同時に『Foot Locker(フット・ロッカー)』などの大手小売業者も棚から製品を引き上げ、次シーズンの注文もキャンセルした。これにより〈adidas〉は今後のリリースを中止したことで約5億ユーロ(約725億円)の収益損失を招いたと言われている。
米の靴ビジネス専門情報サイト「Footwear News」が報じた情報によると、〈YEEZY〉の売上は例年12月にピークを迎えていた。このことはロサンゼルスの投資会社「Wedbush(ウェドブッシュ)」のアナリストが指摘しており、2021年12月の〈Yeezy〉の発売は1年間の総発売スタイル約65型のうち10型であり、このブランドがいかに12月に集中していたかがわかるという。
今年のホリデーシーズンは、この〈YEEZY〉が市場から姿を消したことでマーケットシェアが奪い合いになり、それを勝ち取る可能性が最も高いブランドとして〈Nike(ナイキ)〉が浮上している。「今年、スニーカーヘッズが購入するYEEZYが無くなり、Nikeは重要な受益者になる見込みです」と同投資会社アナリストは分析。「12月にはNikeから昨年と同様に26型のホットアイテムが発売されると予想しています。YEEZYブランドとの競争がないため、これらの商品および低価格帯のNike商品に対する需要が高まるでしょう。現在、12月にはJordanシリーズから8型と3型のDunkのデビューが予定されている」と述べている。
一方〈adidas〉はホリデーシーズン前の逆風を跳ね返そうと様々な対策を講じている。〈YEEZY〉の名を冠さないが“似た製品”およびそのカラーバリエーションの生産を継続する方針を示し、また〈adidas〉の総収入の10%に相当すると推定される〈YEEZY〉の損失を軽減するため、他とのコラボレーションに目を向け始めているようだ。
〈adidas〉は元〈Puma(プーマ)〉のCEOであるBjorn Gulden(ビョルン・ガルデン)氏を新CEOに迎え、現在の苦境を克服するための長期的な計画で業績を回復させることに専念。そして〈Nike〉は12月20日(現地時間)に第2四半期の決算を発表する予定となっている。