NASA 探査機 Juno が捉えた木星のクローズアップ写真が美しいと話題に
Junoから送られてきた画像をボランティアチームが加工

中規模の太陽系探査を行うニュー・フロンティア計画の一環として2011年に打ち上げられた「NASA(アメリカ航空宇宙局)」の木星探査機 Juno(ジュノー)の捉えた木星のクローズアップ写真が、あまりにも美しいと話題を呼んでいる。
2016年から楕円軌道を描いて木星を周回するJunoは、5週間に1回程度、惑星の極地域に接近する。Junoが撮影した画像が地球に送信されるのはこのタイミングだけとなっている。Junoは11月6日(現地時間)、46回目の最接近飛行(perijove、ペリジョウブ)を行い、その後数日間、搭載する2メガピクセルカメラで撮影したデータがNASAの深宇宙ネットワークを通じて送信。
Junoは、長い楕円軌道を安定して周回するために自転しており、送られてきた画像には多くの作業が必要となる。ボランティアチーム「citizen scietists(市民科学者)」は、Junoが最接近するたびにミッションの特設サイトから画像のオリジナルデータをダウンロードし、その画像をより見やすく加工。コーネル大学の惑星科学者で、Junoミッションの共同調査員であるJonathan Lunine(ジョナサン・ルニーン)は「彼らの知的爆発力と専門知識のおかげで、驚くべき画像の数々が生まれました」と述べ、「彼らの提供物とVoyagerやNew Horizonsなどのミッションから得られるものとの間に違いはほとんどありません。これは、惑星ミッションチームの活動方法の考え方に変化をもたらすものであり、非常にうまくいっている実験です」と付け加えている。
Kevin M. Gill(ケビン・M・ギル)、Brian Swift(ブライアン・スウィフト)、Andrea Luck(アンドリー・ラック)、Björn Jónsson(ビョルン・ヨンソン)、Gerald Eichstädt(ジャラルド・アイヒステット)、Seán Doran(ショーン・ドーラン)ら市民科学者が、Junoの画像処理に献身的に取り組んでいるいるが、『JunoCam』公式サイトでは、それ以外の多くの人たちの作品が閲覧可能となっている。
この画像処理実験は、実質的にJunoからバトンを引き継ぐ次の2つの木星ミッションで実施される可能性は低い。「NASA」のEuropa Clipper(エウロパ・クリッパー)ミッションと「欧州宇宙機関(EPA)」の木星氷衛星探査機 JUICEミッションでは、それぞれ専門の科学チームが画像処理を担当。Europa Clipperは、2024年10月に打ち上げられ、2027年後半に木星に到着し、約45回の接近通過(フライバイ)を行い、その都度衛星 Europaの氷の表面を高解像度で撮影する。
JUICEは2023年4月に打ち上げされるが、到着するのは2031年7月を予定。3年半かけてEuropa、Ganymede(ガニメデ)、Callisto(カリスト)の3衛星を観察する。2021年6月、Junoは太陽系最大の衛星であるGanymedeから600マイル(約1000km)以内に接近したいくつもの画像を送ってきた。Junoの次の最接近 “Perijove 47”は、2022年12月15日(現地時間)となっている。