Farfetch がロンドンで The Shoe Surgeon の特別イベントを開催

スニーカーカスタマイザー、The Shoe SurgeonことDominic Chambroneへスペシャルインタビュー

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冬の近づく11月のロンドンで、世界中の最先端ファッションをオンラインで購入出来るショッピングサイト『Farfetch(ファーフェッチ)』が招待制のスペシャルイベントを開催。ロサンゼルスを拠点に活動するThe Shoe Surgeon(ザ・シュー・サージョン)を召喚し、〈Givenchy(ジバンシィ)〉、〈Saint Laurent(サンローラン)〉、〈Y-3〉、〈Maison Margiela(メゾン マルジェラ)〉、〈Alexander McQueen(アレキサンダー マックイーン)〉ほか、『Farfetch』が提供するスニーカーのカスタマイズイベントを行った。通常、数日間でスニーカーカスタムの基礎から応用までの知識を学べるThe Shoe SurgeonのDecon/Recon(解体/再構築)カスタム教室は、授業料1人数十万円。そんなカスタム教室の雰囲気を数時間だけ味わえるこのイベントに世界各地から招待されたのは、John Geiger(ジョン・ガイガー)をはじめとするスニーカーシーンと親和性の高いインフルエンサーや、各国のファションメディアなど。ゲストたちはストラップ、シューレース、アイレット、ヒールタブ、タンカバーなど、今回のためにThe Shoe Surgeonが用意したヴィンテージ素材を含むカスタムパーツやツールを使用し、ユニークなスニーカー制作を楽しんだ。

オンラインショッピングサイトの運営だけでなく、質の高いオリジナルのエディトリアル企画なども行う『Farfetch』が今回The Shoe Surgeonのイベントを行うに至ったのは、The Shoe Surgeonの“Repurpose”という活動理念のサポートのため。既製品に新たな価値を見い出すことで、消費だけを続けるのではなく、愛着を持つこと、ものをより長く大切に扱うこと、自分なりのクリエイションを楽しむという提案へ共感したものだ。仲間たちとともにロンドン・ショーディッジにてその精神をゲストたちに伝えたThe Shoe SurgeonことDominic Chambrone(ドミニク・シャブロン)に、今回ショートインタビューを敢行。これまでの活動や、12月に開催される授業料約50万円の YEEZY BOOST 350 V2スニーカーカスタムクラスについてなどを聞いてみた。上のフォトロールに収められた『Farfetch』x The Shoe Surgeonのイベントの様子と併せて、以下のインタビューをどうぞ。

- まずはじめに、DominicはがThe Shoe Surgeonとして活動するに至った経緯などを教えてください。

小さい頃から、人と違う事をするのが好きな子供だったんだ。10歳くらいかな。親に買ってもらったレゴブロックで、俺の兄弟は説明書通りに船や車を組み立ててたんだけど、俺は説明書なんか放り投げて想像だけで好き勝手なものを作る子供だった。その時から、自分はものづくりが好きなんだって自覚したんだ。そして高校のとき、1985年のオリジナルAir Jordan 1を履いて学校に行ったんだけど。その時みんなに「お前のスニーカーすげぇかっこいいじゃん!」って褒められたんだ。シャイであまり社交的な性格じゃなかったんだけど、スニーカーを通して友達ができたり人とコミュニケーションをとれることがわかって凄く嬉しかったし生活が楽しくなったんだ。ただそのうちみんなも俺と同じ靴を履くようになって、俺のAJ1が特別じゃなくなった気がしたんだ。それである日、自分が持っていた真っ白なAir Force 1をスプレーペイントでカモフラージュ柄にしてみたんだ。完成して学校に履いていったら、友達からの反応はAJ1を履いていった時以上に良かった。それがスニーカーカスタムに没頭するようになった大きなきっかけだね。俺は、靴の生産者や修理工場なんかで技術を学ばせてもらおうと、色々な所にお願いしに行ったんだけど、誰も技術を盗まれたくないのか、真剣にとりあってくれなくて、門前払いにあうことがほとんどだったんだ。何度も心が折れそうになったけど、やっと俺を受け入れてくれる所があったんだ。そこで学ぶうちに、道が開けてきたっていう感じかな。will.i.am(ウィル・アイ・アム)がMTV Music Awardsのためのカスタムを依頼してきてくれたりね。ただ、注文通りの靴を作るだけじゃなく、自分がやりたいことや作りたいものもあった。それであるときAir Jordan 4 “Bred”をパイソン素材で作ってネットにアップしたんだ。そこからものすごいスピードでたくさんの人に知ってもらえるようになって今に至るんだけど、The Shoe Surgeonって名乗り始めたのは2006年からだよ。その前から靴を解体してまた戻すのが手術みたいだからってShoe Surgeonって呼ばれてたんだ。だからそれをそのまま活動名兼カンパニーネームにしたんだ。ロサンゼルスをベースに、今は俺と6〜7人のチームで運営してるよ。

- 自分の職業を一言で言うと?あまりレーベルをつけたくない?

うーん、そうだね。アーティスト、シューメイカー、メイカー……。今は靴をカスタムするだけじゃなく、いろんなことをやってるから、その時その時で肩書きみたいなものは変わるかも。家具や、ライトなんかのインテリアアイテムを作ったりもするからね。

- ではいままで一番大変だった仕事、時間がかかった仕事、印象に残っている仕事は?

6,7年前に、Law & Orderっていうテレビ番組用に靴を作ったんだけど、それは凄くユニークで面白い仕事だったよ。事件を解決していく刑事ドラマなんだけど、その中で事件の証拠になる足跡があって、そのための靴を作るっていう仕事だったんだ。だからアウトソールまで全て作ったよ(笑)。物語の中に出てくるバスケットボール選手のシグネチャーシューズっていう設定で。時間がかかったし気をつけなきゃいけないことがたくさんあって大変だったけど、凄く面白かった。4年前にはJustin Bieber(ジャスティン・ビーバー)のツアー用に10足を5日で仕上げるっていう仕事もあったよ。結局5日では終わらなかったんだけどね(笑)。徹夜してどうにか納品したんだ。気に入ってくれて良かったよ。

- 12月にはLAでYEEZY BOOST 350 V2 “Cream”をベースに、4,500ドルのDecon/Reconクラスを行いますよね? このクラスの特別なフィーチャーなどがあったら教えて下さい

俺たちがYEEZY BOOSTでクラスを開くのは今回が初めてなんだ。このプレミアモデルにふさわしい素材をたくさん用意しているよ。今ではもう手に入らない材料や、入手困難なヴィンテージパーツもあるんだ。そういった素材にアクセスできるのはエキサイティングなことだし、なにより俺がここ十数年かけて身につけてきたカスタムのテクニックや知識を、時間の許す限り参加してくれたみんなに共有したいと思う。それに必要なツールももちろん提供するよ。スニーカーをカスタムしたいっていう個人の情熱を俺たちは応援したいし、これはスニーカー業界の一つの発展の方向性だと思うんだ。参加する人の多くが初心者だから、彼らのその初めての挑戦をバックアップできる正しい知識を与えて楽しんでもらいたいんだ。自分らしい価値の見つけ方、ものを作ることの楽しさを伝えていきたいんだ。

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テキスト
フォトグラファー
Ph. Joe Harper(1-12), Nic Serpell-Rand(13-27)
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