Interviews: NY仕込みによる真のグラフィティ体現者 NESM

NY屈指のグラフィティ集団に日本人ライターとして唯一所属する「NESM」のリアルな声

アート
3,929 Hypes

90年代、ニューヨークを拠点に、世界を渡り歩いてきたグラフィティアーティスト「NESM」。1982年結成のNYを代表するクルー「FC(FameCity,FirstClass)」に、日本人ライターとして唯一所属する彼は、今なお自身のスタイルを追求し、進化を続けている。その真のグラフィティを体現してきた「NESM」の作品が、原宿『SKO GALLERY』のオープン記念として披露された。

『HYPEBEAST』は、そのニューヨークのクルーに20年以上も所属する彼にインタビューを敢行。グラフィティに魅了されたキャリア当初のことから、「WESTO」、「KAWS」、「STASH」、「FUTURA」らとの出会い、そして今後の展望に至るまで、普段なかなか聞くことのできない背景や実体験を交えて語る彼の一字一句には、グラフィティ文化の“リアル”が宿っていた。日本とアメリカ両国を独自の視点で捉え、自身に還元し、唯一無二のスタイルを貫く「NESM」への貴重なインタビューをお見逃しなく。

ーNESMさんは過去にもこのような個展を開催されたことはあるのでしょうか?

いえ、グループ展への参加は何度かありましたが、個展を開催するのは今回が初めてです。パブリックな場で、直接人と触れ合うというのも随分と久しぶりですね(笑)。

ー“F LOGO”や“BOX LOGO”など、「FELEM SKATES」にも数多くのデザインを提供し続けていると思うのですが。

兄が「FELEM SKATES」を運営していて、時々デザインを手がけさせてもらっています。やはり自分達の年代はスケートボードから影響を受けた部分は大きく、今もそれに関わりながら仕事が出来ているのは気持ち的にも余裕が出来ています。

ーご自身のキャリアはどのようにスタートされたのでしょう?

帰国後、フリーのグラフィックデザイナーとして仕事をし、〈NGAP〉、〈HECTIC〉を筆頭に、原宿界隈のコミュニティーでもデザインに携わっていました。そして、もうひとつの一面であるアーティストとして、自分の活動を続けていました。現在もですが、スケッチブックだったり、ノートの切れ端だったり、身近なものに描いてから本番を描く。僕は真の“始まり”とも言えるアーカイブをこのようにまとめたことがなかったので、自分のルーツを伝えるためには、このような展示がベストなのではないかなと思ってます。

ー確かに現地に描いたグラフィティは持ち運びできないですもんね。現在はどのような活動を?

最近は一筆で動物を“書く”と言いますか、梵字や日本の室町や江戸時代の墨絵からインスピレーションを受けて、マーカーによる作品を制作しています。これが自分にしっくりくるんですよ。タギングやレターが正真正銘のルーツであることに変わりはないのですが、新たなシリーズには、ひらがなの筆跡を取り入れています。全てはグラフィティからきてるのは間違いないです。

ールーツは違えど、NESMさんの中に流れる日本人の血が自身に影響を与えているということでしょうか?

もちろん、向こうで吸収したものはたくさんありますが、そこにオリジナルを加えたいんです。自分が所属している「FC(FameCity,FirstClass)」は、80年代から続く歴史あるクルーで、伝統的なNYCスタイルを継承しています。僕自身もそのスタイルをベースに描きますが、それだけだと、どこかで“真似しているだけのかな”と引っかかる。そこで迷ったり、試行錯誤して辿り着いたのが、和を取り入れた作品です。ルーツはあるけど、日本人である自分にしかできないことをすれば、NYCスタイルのグラフィティも進化を続けていく。自分も繋げてもらった人間だからこそ、伝統を崩さず、次の世代に繋げていきたいですね。

ー渡米してから帰国までの経緯についてお聞かせください。

現地でたくさんの素晴らしい人々に出会い、色々なものを紹介してもらいました。「KAWS」もその一人です。自分がもう1年学校に在籍しなければいけなくなったとき、声をかけてくれたのが彼でした。彼から「STASH」や「FUTURA」を紹介してもらって、そこで僕は学校を退学し「PROJECT DRAGON」で働き始めました。「PROJECT DRAGON」は「STASH」、「FUTURA」、そして今は亡き「BLUE」の3人でやっていて、各自がそれぞれのプロジェクトをし、時々一緒にプロジェクトを進める、ファッションブランド機能を持ったデザインオフィスみたいなものです。帰国するキッカケとなったのは、オハイオでのヒップホップのイベントの帰りに、交通事故にあってしまって……。それが原因で、日本へ戻ってきました。

ーでも、元々のご出身は日本ですもんね。

はい。渡米する前にも日本で描いていました。兄から『Spraycan Art』、『Wild Style』などを見せてもらい、最初はどうやったら描けるのだろうという疑問の方が大きくて、ただただ真似することが楽しく、それに近いものが描けるだけで十分嬉しかったんです。見張りをつけて、友達に肩車してもらって(笑)。

でも、昔は複雑で大袈裟なものが好きだったのですが、渡米して最初に描きに行った時は、自分が好きな複雑なものは描けないというか、そもそも時間がなくてギリギリで描かなきゃいけなかったから、自分のスタイルを現地のストリートにフィットさせるよう変化させた。それから、レターを描くにしても、線と線の繋がりやフロウなど伝統的なスタイルを「FC Crew」から学びました。

ー何か渡米当時のちょっとした思い出みたいなことってありますか?

やっぱりニューヨークへ移った時の、日本とは違う色のバリエーションにはびっくりしましたね。書体ももちろんですが、2000年以降にヨーロッパのスプレー缶が広く流通する前は、昔のデッドストックのスプレー缶をハードウェアストアとかで掘って、「やばい! ◯◯色があった!」と興奮してましたよ。やっぱりスタイルを見せるには白黒がかっこ良いんですが、当時は使用している色も作品のステータスの一部でした。でも、苦労して見つけても、いざ描いてみたらイメージと違うってことも多々ありましたけどね。そういった色々なことを経験して日本に戻ってくると、今までアメリカしか知らなかったから、逆に新鮮でした。

ー最後に今後の展望を教えてください。

日本、アメリカ、そしてまた日本と、多文化国家をそれぞれの視点から見ることができたからこそ、今の自分があると思います。「FC」には本当に多くのことを教えてもらったからこそ、その伝統を継承しつつ、自分自身も進化して、まだまだ描き続けていきたいですね。
そこで僕が今辿り着いたのが、フロウに似たものを感じた“和”の作品。例えば、サソリの尻尾とかカエルの足とかを良く見てもらうとわかると思うのですが、レターのようなディテールを取り入れているんです。この作品をアップグレードして、新しい視点から提案してきたいです。

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