Interviews:PUMA x UEG バスケットボールと宇宙の意外な関係性を語る、UEGデザイナーのMichal Lojewski

「向上心を持った人たちには重力への抵抗はないと思っているよ。」

ファッション
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「Rihanna」による〈Fenty Puma〉や「The Weeknd」、「Cara Delevigne」がアンバサダーとして起用されたりなど、ここ最近話題が絶えないスポーツブランドの〈PUMA〉。そして今回彼らがコラボレーションパートナーとしてセレクトしたのが、再生紙で作られたタイベック素材などを使用し、イノベーティブな方法でアパレルを製作しているポーランドブランドの〈UEG〉だ。そして今回のコラボレーションを担当した〈UEG〉のデザイナー「Michal Lojewski(ミハウ・ウォイェフスキ)」にスペシャルインタビューを敢行。コンセプトの「宇宙探索」と「バスケットボール」が持つ、意外な関係性から東京に住んでいた頃の話まで、話を伺った。

- まず、〈UEG〉を紹介していただけますか?
僕はポーランドで20年ほどグラフィックデザイナーとして活動しているんだ。10年前に〈UEG〉はスタートしたんだけれども、最初はただのアーティスティックプロジェクトだった。だけど多くの人に良いフィードバックをもらえたおかげで、3年前にフルコレクションを製作する決意をしたんだ。そして東京、パリ、ミラノでショーを開催できるまで大きくなれたんだよ。僕は〈UEG〉をファッションというよりはコミュニケーションツールとして使いたかった。今でも変わらないけれど、僕たちのアイコニックアイテムであるジャケットの左腕のスリーブにその時、伝えたいアイデアだったりメッセージだったりを施すんだ。僕には大きなこだわりが二つあって、各コレクションには大きなテーマを掲げているんだけど、そのテーマについての詳細を洗濯方法などが記載されているタグに載せている。そしてもう一つはブラックとホワイトしか使わないこと。さっきも言ったように僕はメッセージを伝えるためにデザインしているからブラック以上の色は必要ないと思っているんだよ。僕はグラフィックデザイナーでもあるから色を使う時は意味を込めたいんだ。色はそれぞれ意味や価値がある。多くのファッションブランドは色の美しさだけで使っていると思うけど、僕はそれが嫌だから無意味に色を使ったりしないんだよ。

- 今回は〈PUMA〉とのコラボレーションを実現させましたが、どのようにコラボレーションがスタートしたのですか? またコラボレーションを実現するまでの期間はどのぐらいでしたか?
最初は友達の紹介だったんだ。僕の友達が〈PUMA〉に〈UEG〉の作品を見せてくれて、斬新だと気に入ってくれたんだよ。それからポーランドに足を運んでもらって、長いミーティングを行ったんだ。そして結果コラボレーションをすることになったよ。去年の1月に始まったから、約2年間の長いプロセスだったね。

- ではそのコラボレーションのコンセプトやインスピレーション源を教えてください。
〈PUMA〉は”バスケットボール”というテーマに沿えば、ほかは自由に僕の感性で作っても良いと言ってくれたんだ。でも僕はテーマがすぐ分かってしまうようなコレクションにはしたくなかったんだ。〈UEG〉のスタイルでアプローチしたかったから”バスケットボール”とはどういうスポーツなのか、原点など”バスケットボール”というスポーツをゼロから考え始めたんだ。それから僕がたどり着いた答えが「向上心」や「野心」だった。できるだけ高く飛びたいという想いだったりね。そして人間にとって、究極の達成感のシンボルと言えば、「宇宙探索」だと僕は思ったんだ。月にたどり着いた時のことだとかね。そして僕は宇宙服や宇宙戦艦などを元にデザインしはじめたんだよ。コレクション名を”SPACE RESISTENCE”と名付けた理由は、「向上心」を持った人たちには重力への抵抗はないと思っているからなんだ。

- コラボレーションの中で一番難しいと感じた過程は何でしたか?
自分のコレクションを手がけている時とほかのブランドとコラボレーションする時はプロセスが変わっているんだ。自分のコレクションの時は慣れたプロセスを通るけど、コラボレーションとなるとデザインのスケッチからすべて用意しなくてはならないから自分のコレクションより時間がかかってしまう。でもその中でも一番難しいと感じたのは、靴のデザインだったね。今までチャレンジしたことなかったし、靴のデザインは限られているだろ? アッパー部分があって、ソールがあって……アパレルより冒険できないんだ。グラフィックデザインも一枚のキャンバスという制限があるからシューズデザインと少し似ていたよ。でも僕は幅広いリサーチして、最初のミーティングで100足ぐらいのデザインを持っていったんだ。そこからディレクションを決めたから結果的に僕はとても満足しているよ。


- コラボレーションを通して、何か学んだことや面白く感じたことはありますか?

もちろん僕にとって素晴らしい経験になったよ。僕は元々グラフィックデザイナーだったからファッションデザインの知識もなく、僕は独学でファッションについて勉強しなくてはならない。だから自分のコレクションでもコラボレーションでも、毎回何かしら勉強になることはあるんだ。そして今回のコラボレーションが特に素晴らしい経験になった理由は、やはり〈PUMA〉は大手ブランドだし、今までの通ってきたプロセスとは違ったんだよ。今までより大きなスケールで働くほど、学ぶことも多かったんだ。そして〈PUMA〉が持つ最新テクノロジーなども搭載できたから面白かったよ。

- 一番オススメのアイテムを教えてください。
何個かあるけど、フットウェアには本当に満足しているんだ。僕にとって履き心地良さは一番重要だから、今回のシューズも重すぎないように気にかけたよ。そして特に気に入っているブーツスニーカーは〈PUMA〉の「Sky High Plus」から実はインスパイアを受けているんだ。4~5年前に東京で購入してからお気に入りの一足になり、今回「Sky High Plus」をベースにして、レッグ部分を新たにデザインした一足を製作したんだ。あと僕はプロポーションにこだわりを持っているからソールの高さにはうるさいんだ。1mmでも違っていると嫌なんだよ。だから今回はソールもUEG特別仕様にしてもらい、僕の希望通りに作ってくれた〈PUMA〉に感謝している。アパレルだったらパーカーのようなテクニカルジャケット(上記の一枚目で着用)もお気に入り。とても軽量でイノベーティブな一点になってるよ。

- 昔、東京に住んでいたとお聞きしたんですが、住んでいた頃と現在の印象は変わりましたか?
僕は幼少期を東京で過ごしたんだ。1981年から1986年だったから僕が6歳から12歳までだった時だね。その頃の記憶は鮮明に残っているよ。上手く説明するのは難しいけど、僕が住んでいた頃と今の印象は確実に変わっている。僕が東京に住んでいた頃はちょうどバブル時代だったから東京が醸し出していたエネルギーが、今とは少し変わった気がするんだ。でも昔より遥かに高層ビルが建っているし、進化している。醸し出すエネルギーが違っていても、東京は進化し続けていることが目に見えるよね。僕は日本の文化、メンタリティやヴィジュアルカルチャーがとても大好きなんだ。そして日本人が細かなディテールまでこだわり持つ精神が素晴らしいと思うよ。

- 東京にはよく帰ってくるんですか? 帰ってくる時にいつも訪れる場所やお気に入りの場所はありますか?

日本から離れてから初めて戻った時は20年後だったんだよ。なぜか過去に戻っていくような面白い感覚だった。20年も経つと自分の記憶が、本当なのか疑い始めるから日本に戻ってきた時、僕の記憶に刻んであった日本の匂いだったり、雰囲気が残っていたから安心したし、嬉しかったよ。そしてお気に入りの場所……僕は一日ずっと過ごせると言えるほど、森ビルからの景色が大好きなんだ。世界の景色トップ3を挙げるとすれば、一つは森ビルからの景色、もう一つはアンコールワットにあるお寺からの景色、そして最後はヨルダンの砂漠なんだ。

- 最後に今回のコラボレーションを表す言葉を3つ教えてください。
フューチャリスティック、テクニカル、ミニマムだね。

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