アンディ・ウォーホルとジャン=ミシェル・バスキアが共同制作した絵画が、予想を遥かに上回る約2,000万ドルで落札
落札された作品は、彼らの芸術的なパワーが詰まった最高傑作のひとつ
1980年代は音楽からファッション、アートに至るまで、個性的かつ創造的なムーブメントに満ちた時代だった。アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)とジャン=ミシェル・バスキア(Jean-Michael Basquiat)のコラボレーションはそんな時代のなかでもとくに際立ったものであったといえるだろう。
じつは、ウォーホルとバスキアの2人は1983年から1985年にかけて160点もの作品を共同制作しており、昨年にはパリ郊外のルイ・ヴィトン財団とニューヨークのブラント財団でも展覧会が開催された。
今回、サザビーズがオークションにかけたのはこの2つの展覧会にも出品された大作『無題』(1984年)。この約10フィート×13フィートの巨大な絵画は、シュルレアリスムにおける共同制作の技法である“ 優美な屍骸”のもとに制作されたもので、特筆すべき点として2人のアーティストが交代で作品にレイヤーを重ねていく共同ドローイングの手法が取られている。ウォーホルがまず、野球のミットやテニスラケット、さまざまな企業のロゴを描き、続いてバスキアがトーテムのモチーフやカラフルな走り描きを加えていった。
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Courtesy of Sotheby’s
サザビーズ・コンテンポラリー・マーキー・オークション部門責任者のルシウス・エリオット(Lucius Elliott)は「ウォーホルとバスキアのこの短くも豊かなコラボレーション期の作品のなかでも、『無題』は2人の芸術的な力を十分に示す、最高の作品のひとつとして際立っています。ウォーホルのクールで機械的、抑制されたイメージと、バスキアのアナーキーなエネルギーと自由奔放なテクニックが重なる特別な1枚となっており、ウォーホールとバスキアは作品のなかで色彩、イメージ、フォルムの先鋭的な調和を創り出すために、互いに即興で刺激し合いながら対話を繰り広げているように感じます。」と述べている。
サザビーズ・コンテンポラリー・イブニング・セールの一環として15年ぶりにオークションに出品された『無題』は、予想を上回る1,940万ドル(約30億円)で落札され、香港、ロンドン、ロサンゼルスで展示されたのち現在はニューヨークにて展示されている。