ドイツの adidas 本社で行われた人気シューズの歴史を辿るスペシャルツアーをレポート

ジェニーも着用したことで話題のTaekwondoなどを含む“Low Profile”シリーズにフィーチャー

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世界有数のスポーツブランドである〈adidas(アディダス)〉が培ってきたスポーツの伝統にインスピレーションを得て構築されるライフスタイルブランド〈adidas Originals(アディダス オリジナルス)〉。『Hypebeast』および『Hypebae』読者には細かい説明は不要の馴染み深いブランドかと思うが、この度そんな〈adidas Originals〉が世界各国からゲストを招いて、ドイツ・ヘルツォーゲンアウラハの本社敷地『World of Sports』にて人気シューズの歴史を辿るツアーを開催した。そんな去る10月17日(現地時間)に行われた同イベントに、今回『Hypebae』が潜入。BLACKPINK(ブラックピンク)のジェニー(JENNIE)が着用し話題となっているTaekwondo(テコンドー)などを中心に、さまざまなモデルをキャッチした。

空港のある街、ニュルンベルクよりバスで約30分。自然いっぱいの地に突然現れるのは、いくつものオフィスやストアが立ち並ぶ広大な本社敷地だ。我々がまず最初に足を踏み入れたのは、サッカースタジアムから着想を得たという社屋 ARENA(アリーナ)。格子状の建物上部は、同ブランドのフットウェア Alphaedge 4Dに使用される異次元構造のミッドソールをイメージしているのだとか。また、建物内にもこれまでに発表されたキャンペーンやモデルがいくつか並んでおり、これからのツアーの期待値を高めた。

ARENA入口で受付を済ませ向かったのは、デザインやマーケティングなどシューズ制作の主要工程が日々行われるLACES(レーシズ)。ARENAからLACESまでは徒歩で約10分ほどかかるのだが、その道中にもトランポリンやテニスコートなどのアクティビティエリアが散見された。なお、すべての建物間の移動には、各所に配置してある〈adidas〉カラーの自転車を使うことも可能。ツアーに参加した各国のエディターたちは、空き時間にそれぞれのアクティビティを楽しんでいた。

LACESに到着し、まずはオフィス内を探索。一面にガラス張りの部屋が並び、各所では新たなシューズのデザインの考案やサンプルのテスト、どのように打ち出していくかのマーケティングなどが行われる。その空間デザインはシンプルでありながらも、壁のグラフィックやエレベーターのクリエイティブなど、スポーツブランドである〈adidas〉らしいディテールがみられた。また、1階の階段を下がると、講演やプレゼンテーションなどが行える広々としたミーティングスペースも。

一通りLACESを周り、次に案内されたのは菱形の建物 HALF-TIME(ハーフタイム)。この建物内には、同社の創業から現在までの主要なできごとやその写真、アイテムなどが展示されているヒストリーコーナーのほか、ショールームやいくつものジャンルからその日食べたいものをセレクトできる社員食堂も併設されている。ここではまず初めに、ヒストリーコーナーでブランドの歴史をおさらい。創業者であるアドルフ・ダスラー(Adolf Dassler)の生い立ちや、1948年に自身のニックネームをブランド名として採用したときの表記登録書、ダスラー製靴工場のミニ模型、初期のロゴなど、ここでしか見れないものが多く並んでいた。

また、2006年に復活した大胆なアパレルライン “ADICOLOR(アディカラー)”の初期キャンペーンなど、キュートなクリエイティブもキャッチ。ヒストリーコーナーの最後には、手をかざすとロゴが刻印されたシルバーのシューレースアクセサリーが落ちてくるという、遊び心のある仕掛けも。

その後、再びLACESに戻ると、続いてアーカイブルームを見学。この部屋には、これまで〈adidas〉からリリースされたシューズやアパレルのアーカイブが約4万点ほど収蔵されており、各プロダクトを保存するため部屋の温度や湿度、入室人数などが厳重に管理されている。貴重なアーカイブを傷つけないよう配布されたロゴ入りの手袋をつけ、いざ入室。中には、1970年の「FIFAワールドカップ」のために製作された100%レザー製のサッカーボールや、アドルフ・ダスラーが初めて作ったシューズ、1950年に発表された初期のSamba(サンバ)、汚れたシューズを持ち運ぶシューズキャリーバッグ、歴代のシューボックスなど、さまざまなレアアイテムが揃っていた。

そのほかにも、1964年の東京オリンピックに向けて制作されたJAPAN(ジャパン)やTOKYO(トーキョー)、〈Stella McCartney(ステラ マッカートーニー)〉のコラボモデルにも起用されているRasant(ラサント)、レーシングスタイルのadi Race(アディ レーサー)など、昨今トレンドでもある薄めのソールが特徴的な“Low Profile(ロープロファイル)”シリーズの歴代モデルもお披露目。特に、巨匠デザイナー 山本耀司と同ブランドのコラボライン〈Y-3(ワイスリー)〉が誕生する以前の2002年にリリースされた〈Yohji Yamamoto(ヨウジヤマモト)〉との真っ赤なコラボTaekwondoは、ひときわ目を引いた。

HALF-TIMEの社員食堂でランチを済ませ、休憩を挟んだあとはLACES内のMAKERLAB(メイカーラボ)へ。ここでは、約2,000足ものシューズをデザインしており、40人以上のデザイナーがチームに分かれて各モデルのプロトタイプを製作するそう。部屋の中にはカラフルな布や糸、参考のためのアーカイブモデル、シューレースやヒールなどに配置する数十種類のパッチのほか、アーカイブモデルを解体する工具、参考書、サンプルを作る3Dプリンターなどスニーカー好きには堪らないピースの数々が。

さらに、プロダクト開発の担当者2人に新作の“Low Profile”シリーズを、ひと足先に紹介してもらう機会も。まず、1990年代にトップクラスの格闘技選手向けにドロップされたTaekwondoは、キラキラのシルバーカラー、毛足の長いカウ柄とレオパード柄など、ユニークなアップデートを加えたものがスタンバイ。次にJAPANは、ハイカットバージョンと通常のローカットどちらも揃っており、それぞれビビットな新色を中心に登場予定だ。加えて、カウ柄のRasantのミッドカットバージョンや、バレエシューズのようなシルエットと、甲の部分を交差するリボンシューレースが印象的な新モデルも。

ツアーのラストを飾ったのは、シューズデザイナーのMetagirlとAgata Panucciがホストを務めた、シューズのカスタマイズを体験できるワークショップ。このワークショップは、参加者がセレクトしたシューズに机いっぱいに用意されたビーズやリボン、レース、ラインストーンを思いのままに装飾するといった内容に。筆者はブラックのTaekwondo Lacesをベースにチョイスし、スリーストライプスの上に同色のストーンを、シューレースにリボンやフラワーモチーフのビーズとレース、パールを載せてデコレーション。ほとんどが初めての体験にもかかわらず、参加者は各々のセンスを余すことなく発揮していた。

スポーツブランドとして世界にその名を馳せる〈adidas〉。この豪華なツアーでは、改めてその歴史を知るだけでなく、デザインの工程から本社で働く人の想いまで、ブランドの全てを感じることができた。なお、今回MAKERLABで紹介された“Low Profile”シリーズは、日本国内でも今後リリースされる予定なので、気になる方はぜひオフィシャルからの続報を待とう。

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