“素”のフォルクスワーゲン・ゴルフに死角なし

『Hypebeast』編集部森口のクルマ試乗記第2弾。今回は乗用車のザ・スタンダードである「Volkswagen(フォルクスワーゲン)」ゴルフ(Golf)をテストドライブ。そのゴルフ・シリーズの中でも、もっとも“素”である1.0リッターモデルに試乗した

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御年50歳

1974年に誕生した「Volkswagen(フォルクスワーゲン)」ゴルフ(Golf)は、今年生誕50周年を迎える。愛嬌抜群だった“タイプ1(ビートル)”の後継として登場し、あのビートルほどの愛嬌はないかもしれないけれど、その凛々しい顔立ちでどの世代でも大人気のハッチバックである。ゴルフは、リアエンジンの後輪駆動だったビートルから一転、前輪駆動システムを採用し、7世代に渡って進化。ただいま8世代目を販売中だが、いまだにジョルジェット・ジウジアーロ(Giorgetto Giugiaro)がデザインした初代のゴルフ、つまり、ひいひいひいひいひいおじいちゃんが現役で街を走っていたりする。ゴルフとすれ違うと、どのジェネレーションか当てる、なんて遊びも楽しいかもしれない。どの世代のゴルフも上出来で、もっとも成功したヨーロッパ車と言われている。なんてったって全世界での累計販売台数は3700万台以上。生存数も多いだろうし、リーバイスの501や、世界一売れている椅子であるアルネ・ヤコブセンのセブンチェアみたいな、普遍性を感じられる。

“素”のフォルクスワーゲン・ゴルフに死角なし Volkswagen golf testdrive

ゴルフのすごさ

なにがそんなにいいか、というとその費用対効果の高さだと思う。今回試乗した1.0リッターのゴルフeTSI Activeの車両本体価格は、358万5000円(税込み)。クラウンやCクラスが600万円以上する時代にこの価格はありがたい。そして、この価格にして、トータルバランスが最高にいい。大人5人が乗れて380ℓの荷室容量があり、多用途性、機能性、信頼性、品質を体現している。そして、数値では表しづらいが、ココがいちばんいいと思われる点が周りからの受ける印象の良さだ。ゴルフは外車であってもギラギラしたオーラは微塵もなく、洗練されていて嫌味がない。ゴルフに乗って、「娘さんをください」と挨拶に行けば、その成功率は上がるのではないかと思えるほどに、360度全方位に受けが良いクルマな気がする。

道中、スポーツカーが抜き去っていったが、あれについていこうなんて思わなければ、この1.0リッターゴルフで十分である。

テストドライブ

そんな1.0リッターのゴルフで1000kmを走った。東京と大阪の往復だ。特筆すべきポイントは3つ。まず1つ目は、脅威の燃費性能だ。カタログ値は、燃料消費率(JO08モード)21.7km/lだったが、じっさいにこの数値に近い数字(20.0km/l前後)の燃費で走ることができた。(国産車と違いレギュラーではなく)ハイオクを入れなくてはならないものの、ガソリン高騰化時代には嬉しい。おまけに、1.0リッターなら、自動車税も比較的安い。

そして、2つ目が、その走りである。1.0リッターだから貧弱、というようなことを微塵も感じさせなかった。3気筒という気筒数の少なさは、48V マイルドハイブリッドシステムによるモーターが電動ブースターとしてサポートしてくれる。なので発進時の力不足もなく、「あぁ、まじで1.0リッターのゴルフで充分」と走行時はよく感じることができた。ナイス・マイルドハイブリッド!

3つ目は、電子式運転支援システムである“Travel Assist”(トラベルアシスト)機能の優秀さである。このトラベルアシストは、自動的に加減速を行うアダプティブクルーズコントロール(ACC)とレーンキープアシストのシステムが連携してワークする。いわゆる“クルマの中に人がいる”的なサポートを、不安をまったく感じさせないクオリティできめ細やかにサポートしてくれる。他のメーカーのACC機能に比べて、よりレーンの真ん中を走りながら、先行車にきちっと追従してくれる印象。もちろん、法律上および安全上の理由からステアリングホイールは常に握っておく必要があるが、精神的にも身体的にも楽に運転をすることができた。

SUVほど背が高くないので、入庫できる機械式駐車場も多い。こういう意味でも維持費が安い。

この1.0リッターで実用性能は充分

現行ゴルフのエンジンタイプは、大きく分けて、今回試乗した1.0リッターの「eTSI Active」と、もう少し大きい1.5リッターの「eTSIエンジン」と、ディーゼルで2.0リッターの「TDIエンジン」の3つのラインアップがある。山道を多く走る使い方がしたいなど、そういった状況で使うなら1.5リッターのほうが良いかもしれないけど、個人的にはこの1.0リッターの“素”のゴルフで、1000kmドライブはまったくもって充分。そして身の丈にも合ってる気がして、気持ちもスッキリと良かった。ちなみに、ゴルフにはギラギラのイメージはないけど、夜のシーンが不得意というわけではなく、夜の街でもなんなく馴染むスタイリッシュデザインでもある。

ギラギラじゃないけど、ゴルフが不得意な夜のシーンでも十分いける。

基本のクルマでもあるゆえおすすめ

もしもモータージャーナリストを目指すなら、この“素”のゴルフに乗ることをおすすめする。いっぽうで、どんなクルマを買ったらいいかわからない人にも、こちらの“素”のゴルフをおすすめする。理由はやっぱり、ザ・スタンダードだからだ。ちなみにこのゴルフには、ステアリングの裏にパドルシフトがある。スポーツモードだってある。たとえ1.0リッターでも、シフトチェンジしながら、運転を楽しむ余白まで備わっている。

“素”のフォルクスワーゲン・ゴルフに死角なし Volkswagen golf testdrive

Volkswargen Golf eTSI Active
ボディサイズ:全長×全幅×全高=4295×1790×1475mm
ホイールベース:2620mm
車重:1310kg
駆動方式:FF
エンジン:1リッター直3 DOHC 12バルブ ターボ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:7段AT
エンジン最高出力:110PS(81kW)/5500rpm
エンジン最大トルク:200N・m(20.4kgf・m)/2000-3000rpm
モーター最高出力:13PS(9.4kW)
モーター最大トルク:62N・m(6.3kgf・m)
価格:358万5000円

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