フェリペ・パントンによる日本初の大規模個展 “Manipulable” が Gallery COMMON で開催
すべて鑑賞者が触れることのできる新作の大型可動作品8点を展示
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スペイン・バレンシアを拠点に活動する現代アーティスト Felipe Pantone(フェリペ・パントン)によるエキシビジョン “Manipulable”が、原宿の『Gallery COMMON』にて6月3日(金)より開催される。本展はPantoneにとっては2014年以来のエキシビジョンであり、日本における初の大規模な個展となる。
1986年にアルゼンチン・ブエノスアイレスで生まれたPantoneは、12歳の時に現地のグラフィティシーンでアーティストとしてのキャリアをスタート。その後、スペインのUniversitat de València(バレンシア大学)でファインアートの学位を取得した。幼少期からのストリートでの経験と学術的知識の組み合わせから成る彼の思想は、制作テーマでもある“デジタル時代における視覚情報の消費プロセス”を考察/表現する上で、極めて重要なものとなっている。Pantoneは主に光のスペクトルの変化をテーマにして制作を行なっており、これまでさまざまなソフトウェアを用いた3Dイメージを物理的なフレスコ画や壁画、絵画、彫刻に落とし込んだ作品を発表してきた。これまでニューヨークやパリ、ロンドン、ローマ、東京、上海、香港、バーゼル、ブリュッセルなど世界中で展示を行なっており、また〈Poltrona Frau(ポルトローナ フラウ)〉や〈Zenith(ゼニス)〉といったさまざまなブランドとのコラボレーションも精力的に行なっている。
今回のエキシビジョンでは、インタラクティブなインスタレーション空間に新作の大型可動作品8点を展示。本展のタイトルである“Manipulable”はラテン語の“manus(手)”を語源とし、「手を使って動かしたり操作したりできるもの、または管理/制御/成形できるもの」を意味する。その言葉通り、展示作品はすべて鑑賞者が触れ、アレンジできるように制作されている。Victor Vasarely(ヴィクトル・ヴァザルリ)やCarlos Cruz-Diez(カルロス・クルス=ディエス)のような運動芸術家からインスピレーションを受けているパントンの作品は、“ダイナミズム、変革とデジタルレボリューション”を軸にしており、本展はこれらの哲学を直接実践した作品発表の場となる。
Pantoneは「今は何でも自らがコントロールできる時代です。ラジオはもう聴かずに、自分でプレイリストを作る。テレビはもう見ることなく、自分で選んだ番組をストリーミングする。インターネットによって、情報そのものが誰でも操作可能になりました」と今の世界の現状について語り、それに対して一方的に作品を展示するだけのアートの世界に疑問を投げかける。彼は本展のコンセプトについて、以下のように語った。「光、動き、色彩が私の作品の特徴です。そこに“触れる”という要素を加えることで、皆が作品により近づくことができるのです。今回は初めて全ての展示作品が鑑賞者によって完成されるように制作しました。鑑賞者が他の消費するものと同様、触れることによる作品との対話は非常に現代的だと思います。そんなセルフ・キュレーションに定義されている現代の世界に相対した作品を作りたかったのです」
Felipe Pantoneの個展 “Manipulable”は、6月3日(金)〜7月17日(日)の会期で開催予定。彼の哲学に直接触れることができる貴重な機会となるため、ぜひ会場に足を運んでみてほしい。
Felipe Pantone “Manipulable”
会期:6月3日(金)〜7月17日(日)
会場:Gallery COMMON
住所:東京都渋谷区神宮前5-39-6 B1F
開廊時間:12:00 – 19:00
休廊日:月・火
Tel:03-6427-3827