Interviews : 村上隆が語る Hublot とのコラボレーションの裏側について

回転する“お花”が組み込まれたユニークなタイムピースの制作秘話やコラボ相手を選ぶ基準など村上氏の最新インタビューをチェック

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LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)」グループの高級腕時計ブランド〈Hublot(ウブロ)〉が、世界的現代アーティスト 村上隆とのコラボウォッチを発表した。同ブランドと日本人アーティストのコラボレーションは今回が初。

Classic Fusion Takashi Murakami All Black(クラシック・フュージョン タカシムラカミ オールブラック)と称される今回のプロダクトは〈Hublot〉を代表するモデルのひとつであるClassic Fusionをベースに、村上氏を象徴するモチーフの“お花”を大々的にフィーチャーした逸品。合計563個のブラックダイヤモンドを使用した“お花”は、精巧なボールベアリングシステムによって、花びらが回転する仕組みに。さらに中心部がサファイアガラスにインサートされることでユニークな3D効果を演出している。

〈Hublot〉は今回のコラボレーションに際し、同ブランドの世界最大級の旗艦店『ウブロブティック銀座』にて同社CEOのRicardo Guadalupe(リカルド・グアダルーペ)と村上氏を招いた発表イベントを開催(Guadalupe氏はリモートで参加)。イベント後、我々『HYPEBEAST』は村上氏に直接話を伺う機会に恵まれた。どのようにしてこのユニークなタイムピースが完成したのか?下記より早速チェックしてもらいたい。

今回のコラボレーションの経緯を教えていただけますか?

複雑系の腕時計のコラボは色々な会社からお誘いがありました。「どういう内容ですか?」とリクエストを伺うと、パッケージや文字盤を僕のフラワーとかで印刷して、時計そのものは変えないというモノばかりだったので、そういうのはやりたくないので、全部お断りしていました。Hublotさんからのラブコールは何度か来てて、2018年ぐらいから一際熱心でした。何回目かの時に少し強めにお断りしました。そしたら、The Hour Glass(アワーグラス)のMichael Tay(マイケル・テイ)から、僕のアート作品を買ってくれるお客さんでもあるのですが「頼むから、僕も立ち会うから1回会ってくれないか、話を聞くだけでいいから」と言われまして。それで彼とHublotのミワさんが埼玉の僕のスタジオに来てくれたんです。僕は断る気満々で、Michaelの顔を立てるぐらいにしておこうと思ったんですが。その時にミワさんに十数年前にお会いしていたことを思い出したんです。ある雑誌の企画でバーゼルのウォッチフェアに行ってて、その頃は僕も無名だったのに、すごく丁寧にHublotのフォーマルなディナーに招待してくださって、夢心地にしてくれた良い思い出を「あっ!」と突然思い出して。で、ミワさんは今はお立場も偉くなられていて。彼女曰く「形状からボックスから全てオリジナルで作れますよ」とのことでしたが、にわかに信じられなかったので「機会があればお願いします」と、ニッコリ、卒ないお断り的にお返事をしました。ですがミワさん、食い下がって「すぐにでも工場見に来てください」と言われて、ゲッ!となりました。雰囲気に気押されてしまい、丁度、ヨーロッパ行く用事があったので、スイスの工場を見学させてもらうことになりました。工場はアルチザンとテクノロジーの融合が素晴らしく、心の底から感動しました。「本当に形状から可変してもらえるなら、本格的なコラボができるかもしれない!」と脳内がクリエイティブに起動しはじめました。CEOのRicardoさんと会長のJean-Claude Biver(ジャン・クロード・ビバー)さんもわざわざ僕に会いに来て下さって、クリエイティブなお話をさせてもらっ)さんもわざわざ僕に会いに来て下さって、クリエイティブなお話をさせてもらって。そこから俄然盛り上がってしまって「やりましょう」という事になりました。

村上隆 ウブロ takashi murakami Hublot とのコラボレーションの裏側について LVMH ウォッチ 時計

クラシック・フュージョンを選ばれた理由は?

黒いベルトは僕が最初にHublotに出会った時のインプレッションだったので、“黒”をキーカラーにして欲しいとお願いしました。工場でサファイアをカービングしているマシーンを見て、もし1回目のコラボが評判良かったら、サファイアのボックスもお願いできませんかという話をしてますから、次は別ので作ってくれないかなぁと夢想しています。

では、デザインのプロセスは最初にイメージがあってそれを元に膨らませていった形でしょうか?

僕が工場に行ったのが2020年2月上旬ぐらいで、帰国したあたりからコロナの雲行きが怪しくなってきて。僕が行った時も皆さんマスク付けて作業されてましたが、その後、色々大変だったんじゃないかと心配していまして。しかし、コミュニケーションは続けていて、ソーシャルメディアでカジュアルにイメージのやり取りをしていて、最初に頂いた第1投からして素晴らしいイメージだったので、あとは僕のアイデンティティのお花のデザインのディテールを詰めるだけでした。想像していたよりもスムーズなコラボになりましたね。

記者会見で、村上さんの着用しているBen Baller(ベン・ボーラー)デザインのジュエリーがインスピレーション源だったと仰っていましたね。

ヒップホップアーティストらの多くはド派手なブリンブリンや、時計が大好きなので、そういった文脈に落とし込めるといいなと思ってました。また、Hublotの根底にあるスポーティーな感じにも仕上がっていて、とてもクールに感じました。

今回のコラボモデルについて、気に入っているところを教えてください。

表面のグラスから飛び出してきている3Dの効果が他の時計にはないので、どこに着けて行っても目立つと思います。パッと見ても、クリエイティブなオブジェができたなぁと感心しています。マイアミあたりで有名な音楽家の主催するパーティーが似合いそう!

ラッパーが付けていても、時計好きが付けていても違和感なさそうですね。バランスが良いというか。

そうですね。彼らは腕時計をシチュエーションで、2つも3つも付けたりすることもあるので、その中にあってもピリッと目立つと思います。

ジャンルや規模を問わずさまざまな方々とコラボレーションをされていますが、コラボの相手を選ぶ基準など教えていただけますか。

決定権のある人が出てこないコラボはやりません。決定権のない方達とやると、クリエティブなところで妥協しないといけない場面が出てきて、それが嫌なのです。なので、Kanye West(カニエ・ウェスト)でもPharrell Williams(ファレル・ウィリアムス)でもDrake(ドレイク)でも誰でも最終的な決定権を持っている人がオファーしてくれると「やろう!!」って感じになります。決定権のある人とやるとユニークなものができます。

アーティスト同士のやり取りという感じですかね。

クリエイティブになれるか否かです。今回のHublotとのコラボは非常にシンプルにスムーズにいったのですが、これは結構稀な事です。過去のコラボでいろいろ複雑な経験されていたのかな?と想像できる素晴らしい手さばきでした。僕はダメ出しも多く、全部ひっくり返すなんてこともあるのですが、そんな時にめげずに食いついて来てくれないとクリエイティヴなプロダクトにならない。しかし今回は、最初から僕の想定を超えてきたのでただただ感服し、感動したやりとりでした。

村上隆 ウブロ takashi murakami Hublot とのコラボレーションの裏側について LVMH ウォッチ 時計

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