Little Simz も出演する Bowers & Wilkins の最新フィルムが公開
アーティストたちの制作過程を探究するショートドキュメンタリーの一部をご紹介
英国を代表する高級老舗オーディオメーカーの「Bowers & Wilkins(バウワース & ウィルキンス)」から、アーティストたちの制作の裏側に迫った短編ドキュメンタリー映像『How We Make』が公開された。本作は『John & Yoko: Above Us Only Sky』や『AMERICAN VALHALLA』を手がけた音楽ドキュメンタリー作家のJoss Crowley(ジョス・クローリー)が監督として名を連ね、独自のサウンドを生み出すアーティストたちのクリエイションの根源に迫った作品である。
映像内ではラッパーのLittle Simz(リトル・シムズ)の制作過程をユニークに紹介しており、「Bowers & Wilkins」の800シリーズラウンドスピーカーが設置されている伝説的な『Abbey Road Studios(アビー・ロード・スタジオ)』にて最新アルバム『Sometimes I Might Be Introvert』がレコーディングされている様子も映し出せれている。
このアルバムは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による過去2年間のロックダウン期間中に制作が進められ、Little Simzの盟友 Inflo(前作『GREY Area』で多くの楽曲を担当したプロデューサー)やJakwob、Miles Jamesが参加している。そして内容に関してはタイトルが示すように、自身の内向的な部分を表現し、家族や名声、愛、女性らしさを繊細なサウンドで紡ぎ出す。このプロセスにおいて「Bowers & Wilkins」のサウンドシステムは大いに活躍し、まさに『Abbey Road Studios』だからこそ完成された作品ということが映像から伝わる内容に。
内向的という意味のタイトル曲『Introvert』を制作しているかたわら、Little Simzはこれまでの自分について「私はいつも内省的なところからリリックを書いてきました。いつも自分の弱さの中に強さを見出そうとしています」と振り返り、さらに同曲がヒップホップとクラシックミュージックを融合させたチャレンジングなスタイルであることについて「ヒップホップとクラシックのセッションはとても美しい組み合わせだけど、とてもハードなものでもあるのよ」と答えている。
また、楽曲制作のみならずロンドンの自然史博物館で撮影されたMVで披露されるダンスについても本ドキュメンタリー内で考察され、振付師のKloé Dean(クロエ・ディーン)が『Introvert』のドラムパターンの細かさがいかに重要な役割を担っているか解説し、映像とセットで曲の世界観が完成していることが語られた。
映像を見ていると最新アルバム『Sometimes I Might Be Introvert』に対して“非の打ちどころない完璧な音楽”といった印象を持ってしまうが、Little Simzは決してそのように考えているわけではなく、むしろドラムパッドのミスや強弱、ボーカルのズレにこそ美しさが存在していると信じており、そういった不完全性こそが個性として深い意味をもたらすと言う。「リスナーは音を聴いているのではなく、本当はアーティストの意図を聴いているんです。だからこそ感動し鳥肌が立つのです」。そして「Bowers & Wilkins」は、このようなアーティストが意図する越妙なニュアンスを本来の姿で提供することを目的としているのである。
Little Simzの制作過程に迫った『How We Make』ではこの他にも、Chic(シック)のフロントマンであるNile Rodgers(ナイル・ロジャース)やドイツの作曲家 Max Richter(マックス・リヒター)といったジャンルや世代の異なったアーティストたちにもフォーカスをしており、それぞれの作品に秘められたバイブスを紐解いていく。
まずは上のビデオでLittle Simzのパートをチェックし、「Bowers & Wilkins」のYouTubeチャンネルで『How We Make』の全編を視聴してみてはいかが。