映画『ジョーカー』の日本での地上波放送が禁止に
「情緒不安定な人間には、何でも起爆剤になりえると思う。何が起爆剤になるのかは誰にもわからない」 by ホアキン・フェニックス

2019年に公開されたTodd Phillips(トッド・フィリップ)監督作の映画『ジョーカー』が、日本において地上波放送が禁止になる可能性が高いことが複数の報道によって明らかになった。
映画『ジョーカー』は『バットマン』シリーズに登場する悪役 ジョーカーにスポットライトを当てたサイコスリラー作品であり、興行収入はR指定映画として初めて10億ドルを超えるほどの大ヒットを記録し、第92回アカデミー賞では11部門を受賞した。特にジョーカー役を務めたJoaquin Phoenix(ホアキン・フェニックス)の演技は高く評価され、同年のアカデミー主演男優賞をはじめ、数々の賞を獲得している。
そんな同作が地上波放送禁止となる理由について、関係者の証言によると先日起きたある事件がきっかけだという。その事件とは、10月31日(日)に東京・調布市を走行中の京王電鉄京王線車内で発生した無差別刺傷事件。18人が重軽傷を負った同事件の容疑者が、逮捕後の取り調べでジョーカーへの憧れについて言及していたことが判明。映画ではジョーカーが電車内で人を殺害するシーンがあり、また同容疑者は犯行時にジョーカーを模した派手なスーツを着用していたことから、同作に強い影響を受けていることが窺える。さらに、その後も同容疑者に倣うかのような電車内での凶行が多発しており、映画『ジョーカー』を地上波で放送することによって、同様の犯罪を助長しかねないとの意見が各方面から上がっているようだ。まだ正式に決定したわけではないが、同作は今後地上波放送のみならず、劇場での再上映も困難になるのではと予想されている。
今回の地上波放送禁止の処置について、賛成か反対かは多くの人々の間で意見が分かれると思われる。最後に、ジョーカーを演じたJoaquin Phoenixが、過去に特定の映画作品が鑑賞者に与える影響について語ったコメントを紹介したい。「何が正しくて何がいけないのかという倫理観を教えるのは、映画制作者の責任ではないと思う。それは明らかなことだ。ジョーカーほど情緒不安定になっている人間にとっては、(映画に限らず)何でも起爆剤になりえると思うよ。その人にとって何が(犯行の)起爆剤になるのかは誰にもわからない。こういう質問(映画『ジョーカー』は暴力を誘発するような危険な作品か否か)をすることで、憤慨する人もいるかもしれない。だからと言って“悪影響があるからこの質問はやめておこう”というわけにはいかない。僕はそれを他人に求めない」