Interviews:KIDILL のデザイナー 末安弘明が語る2021年春夏コレクション “IDOL” の全貌

パンク界のレジェンドであるウィンストン・スミスをはじめ〈EDWIN〉や〈Dickies〉とのコラボレーションなど、注目ピースが多数盛り込まれた最新コレクション

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ファッション 

デザイナー 末安弘明が2014年に設立した〈KIDILL(キディル)〉。末安氏自らが1990年代に体験したロンドンパンクを中心とするパンクカルチャーをバックグラウンドに据えた服作りで、国内外を問わず高い評価を得る注目のブランドである。デビュー以来、東京ファッションウィークやパリ・ファッションウィークでショーを実施してきたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によって、今季は他多くのブランドと同じく、デジタル形式でのコレクション発表となった。パンク界のレジェンド Jamie Reid(ジェイミー・リード)を招聘した前シーズンを経て、否が応でも期待の高まる2021年春夏。1980年代に人気を博したアメリカ・サンフランシスコのハードコア・パンクバンド Dead Kennedys(デッド・ケネディーズ)のアートワークで広く知られるWinston Smith(ウィンストン・スミス)とのコラボレーションがコレクションの中核を成す。そして昨季からの継続となる日本産デニムのトップランカー〈EDWIN(エドウイン)〉をはじめ、ワークウェアの雄〈Dickies(ディッキーズ)〉、デザイナー 東佳苗の手がける新鋭ブランド〈rurumu:(ルルムウ)〉など、新旧様々なブランドとタッグを組み、多角度的な視点からパンクの世界観を表現している。今回『HYPEBEAST』では〈KIDILL〉のデザイナー 末安弘明へインタビューを敢行。制作過程を中心に今コレクションへの想いを伺った。

今回のコレクションのコンセプトについて教えてください。

コンセプト自体はいつも同じなんですよ。KIDILLはパンクのカルチャーをやるって決めているので、そこからブレないようにパンクの文脈で物を作ることを心がけています。あとは好きな人たちと一緒に物を作ってるってだけなんですよね。

Winston Smithとのコラボに至った経緯を教えてください。

Dead Kennedysがすごい好きで、Dead KennedysからWinston Smithのアートのファンにもなって、一緒にやれないかなと思ってオファーさせていただきました。それで向こうも自分のブランドを気に入ってくれて。今まではずっとイギリスのパンクのカルチャーをやっていたのですが、アメリカのハードコアパンクもすごい好きだったので、今回はUSのカルチャーを取り入れてみました。

コラボにあたってのデザインのプロセスを教えてください。

過去の作品をたくさん見せていただきました。Winston Smithといえば、Dead Kennedysのアルバムカバーにもなったクロスモチーフがすごい有名で、そのレパートリーがたくさんあるんですよ。その中から3つぐらい選ばせてもらったり、基本的には彼のアーカイブからチョイスさせてもらった形です。1980年代のデザインから2020年の新作まで自由に使わせてもらいました。

では、世に出てるものもあれば、出てないものもあるのですか?

そうですね、Dead Kennedysのために作ったアートワークから、どこにも使っていないプライベートなものまで使わせてもらっています。

とても貴重ですね。合計でいくつぐらいのアートワークが使われているのですか?

全部で15種類ぐらい提供していただきました。

コラボレーション用のスペシャルロゴもありますよね?

KIDILLとWinston Smithのコラボ用のロゴマークとEDWINとのトリプルコラボ用の2種類をデザインしてもらいました。

キーアイテムはございますか?

特定のものはなく、コラボしてもらったアーティストのアイテムをコレクション全体に散らばせているので、全部が目玉といえます。今回はWinston SmithもDead Kennedysもアメリカのアーティストだったので、他にもアメリカのブランドとコラボしたいなと思って、Dickiesのアイテムも入れているんです。

Dickiesもパンク仕様のボンテージになっていて珍しいですよね。

Dickiesはワークウェアのイメージだと思いますが、完全にこっち(パンク)に寄せて作ってもらいました。今回はWinston Smith、EDWIN、Dickies、rurumu:のコラボが軸となる形ですね。あとは期中にSKOLOCT(スコロクト)とのコラボもあります。中野さんとはひょんなことから知り合って、一緒にやってみようという流れになりました。

EDWINは今回で2シーズン目かと思いますが、全部何型ぐらいあるのですか?

ジーンズが3型、デニムジャケット1型、Tシャツ4型の8型になります。

前シーズンと比べると、少しパンク色が少し弱まった感もありますが、何か狙いがあったのですか?

EDWINさんの希望もあって、シルエットなどはより幅広い方達に着てもらえるようなものにしています。あと、通常のアイテムとは別で、本来は廃棄されるEDWINのデニムを使って、Winston Smithのぬいぐるみやキーホルダーを作ろうというプロジェクトも始める予定です。

EDWINのアイテムは、全てWinston Smithとのトリプルコラボになるのですか?

そうですね、全て3者間のコラボレーションになります。そもそもEDWINが僕らとコラボを始めてくれたのも、パンクカルチャーに興味を持ってくれたことがきっかけなんですよ。そのタイミングで前回のJamie Reidがあったので「3者コラボにしよう」って話になったんです。そこから今回のWinston Smithと続くので、EDWINとのコラボはパンクのカルチャーを入れてやるというのが前提になっています。

EDWINにパンクのイメージがないので、そこに興味を抱いたというのが、エピソードとして、また面白いですね。

ヨーロッパのEDWINチームが最初に興味を持ってくれたことが始まりでした。実際、EDWINもこういうコラボって初めてらしいんですよ。過去にファッションブランドとコラボしてることはあったようなのですが、今回みたいにカルチャーに寄せたのは初めてだみたいなことは言われました。そこもすごい面白いなと思って。

若い世代にとっては、KIDILLを通してJamie ReidやWinston Smithを知るという方も多いと思います。その点についてはいかがお考えですか?

自分たちの服を買ってくれるメインの客層は(Sex PistolsやDead Kennedysの)世代から2回りぐらい離れているので、当然知らない方も多いんですが、自分の服を通して、それを知ってくれて、興味を持ってくれて、面白がってくれるのは嬉しいですね。

ある意味、KIDILLがかけ橋になっている形ですね。

それは本当に思いますね。Sex Pistolsも然り、Dead Kenedeysも然り、Green Dayもそうですが、やっぱりバンドの方が有名なんですよね。でもそのビジュアルやアートワークを作っていたのはこういう人たちだったんだって知れるのは、すごい面白いと思うんですよね。お客さんにとって、自分の服がそれを知る機会になっているのは光栄です。

今までそういった裏方というか、シーンを支えてきたアーティストに焦点が当たったことも多くはなさそうですね。

サブカルチャーやカウンターカルチャーって、アーティストやお客さんも全部ひっくるめてカルチャーを形成していると思うんですよ。そういうのがどんどん無くなってきてるのが寂しくて、自分の世代でもやれることって絶対あるから。自分は音楽が好きだし、パンクに関わる芸術家や作家も好きだし、せっかく好きだったら、自分の服でやってみたいなってというのがすごいあって。実際そういうことをやってるデザイナーさんもいなくなってきてるんですよ。自分にとっては得意なフィールドなので、それを突き詰めていきたいというのを強く思っています。

あわせて、Winston Smithも〈KIDILL〉とのコラボレーションについてのコメントを寄せてくれた。

アパレルブランドとは久しぶりのコラボレーションということですが、KIDILLとのコラボはいかがでしたか?

はい、数年前にHurley(ハーレー)のアーティストシリーズ用にデザインを提供して、その後、KR3Wや東京を拠点とするブランド MAGICAL MOSH MISFITS(MxMxM/マジカルモッシュミスフィッツ)と単発的なコラボレーションを行いました。それらはすべて非常にスムーズに進み、コレクターの間では即完したようです。誰もが結果に満足していたと思います。KIDILLとのコラボレーションは、2020年においてユニークな機会です。才能あるデザイナーのラインアップに含まれることは本当に名誉なことです。アーティストの出自を理解し、他の人から評価されるファッションセンスで私の作品を解釈できる人と一緒に仕事をするのは素敵なことです。

今回のコラボレーションで、ご自身のアーカイブや未発表の作品が改めて世に出ることになりますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。

まったく新しい世代のアート愛好家やファッション愛好家が私の作品に触れることのできる可能性があることを嬉しく思います。アーティストの作品は特定の時間と時代に固有のものになることもしばしばありますが、今回、KIDILLは時代を超えた私のアーカイブから作品を選びました。それらの作品は、決して変わらない人間が懸念する問題について新しい世代に語りかけます。時代を超えた存在は、異なる世代間でのコミュニケーションの鍵です。世界は変わりますが、アートは時代を超えます。

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