ヴィンテージミリタリーを極める MYAR のデザイナー アンドレア・ロッソ

「僕たちは今、多くのものを消費している。でも、洋服は例え倉庫にあろうと生きているんだ」

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ソニービル』の一時閉館に伴い、惜しまれつつも3月末に閉店を迎える『THE PARK•ING GINZA』。しかし、藤原ヒロシがディレクションする銀座のコンセプトストアは、クロージングに向けて畳みかけるかのようにファンたちにトピックスを提供している。現在、『ソニービル』の地下では〈EASTPAK(イーストパック)〉と共にストリートとサルトリアルを組み合わせたモダンなスタイルを特徴とする〈MYAR(マイヤー)〉がポップアップを開催中だ。デザイナーのAndrea Rosso(アンドレア・ロッソ)は、ヴィンテージのミリタリーウエアを上質な仕立ての技術で再構築したリメイクアイテムを得意とする人物だ。

『HYPEBEAST』は、そんなヴィンテージミリタリーを極めるAndreaにインタビューを敢行。ヴィンテージとの出会いから、日本のヴィンテージシーンへの意見、そして〈DIESEL〉とのクリエイションに対するアプローチの違いまで包み隠すことなく話してくれた服好き必読のインタビューは、下記をチェック。


ー はじめに、『HYPEBEAST』の読者のために〈MYAR〉の簡単なプロフィールを教えてください。

〈MYAR〉は僕の抑えきれない情熱から誕生したブランドなんだ。このブランド名は、“ARMY”の文字を入れ替えたものだよ。僕は本当にARMY Tシャツが好きで、最初は「僕も自分自身のARMYを作りたい」と思ったところから始まったんだ。“MY”は“自分”という意味、そして“AR”は僕のイニシャルさ。こうして〈MYAR〉は誕生したんだよ。僕は本当にミリタリーウエアが大好きでね。最初はTシャツからスタートして、次にパンツに手を出したんだ。ヴィンテージのミリタリーパンツを大量に見かけることは少ないと思わないかい? それはトレーニング中にパンツが破れてしまうからなんだ。だから、良いサイズのものを見つけるのが難しい。でも、僕はそれにチャレンジした。なぜなら、一度履きたいと思うパンツを着てしまったら、それはその人にとって一生ものになる。僕もパンツという洋服が大好きだしね。そのあとは、トータルで提案するためにシャツやジャケット作りにもトライしたんだ。ミリタリー/サービスウエアの特徴と自分の過去の経験を融合して、それを再利用、つまり、過去にミリタリーウエアとして使用されているものに新たな命を吹き込み、第二のシナリオを用意してあげるんだ。ネガティブな過去を持つ何かに大きな変化を加え、ポジティブなセカンドライフを歩ませることに僕は大きな喜びを感じるんだ。

ー 〈MYAR〉は一から服作りをするのではなく、ヴィンテージをリメイクするというユニークなコンセプトのもとに成り立っているかと思います。なぜこのようなアプローチなのでしょうか?

学校に通っていた頃、僕はパターンメイキングと縫製、そしてテキスタイルについて学んでいたんだ。僕は生地そのもの、構造、そして服を縫うことが好きだね。だから、僕はクリエイティブな人間というよりも、テクニカルな人間に近いかもしれない。でも、その技術も僕が大好きな洋服から学んだものさ。僕がヴィンテージ倉庫に行く時は、服の構造に一番着目するんだ。ミリタリーウエアには多くの問題点が存在する。なぜなら、元は軍用の服だし、僕はそれを現代の環境にフィットさせないといけないからね。もちろん、100%は難しいかもしれない。でも、僕はミリタリーウエアを都会的に再構築するのが好きなんだ。時に、洋服というのは現在のものより、過去のものの方が構造的に優れている場合があるしね。僕たちは今、多くのものを消費している。でも、洋服は例え倉庫にあろうと生きているんだ。だから、〈MYAR〉であればその洋服たちを再生することができるんだ。

ー 個人的にヴィンテージに興味を持ったきっかけは?

7歳とか8歳ぐらいの頃だったと思うんだけど、僕は以前〈Diesel〉の倉庫で働いていたんだ。僕は働き者だったよ。(笑)最初はダンボール箱を作るだけだったんだけど、そのうち服を箱に詰めたり、重機を扱うようにもなったんだ。僕はいつも〈Diesel〉のデザインオフィスを通っていて、そこにはイギリス人、アメリカ人、日本人とかいつもお客さんが来てたね。彼らのカルチャーはイタリアのそれとは大きく異なっていたけど、僕はその環境を楽しんでいたよ。70年代、60年代、50年代とか、彼らはたくさんのヴィンテージミリタリーウエアを持ってきていて、それを見るたびに目を丸くしていたのを覚えている。僕はそういう環境で育ったんだよ。それで、僕が16歳の頃に初めてロサンゼルスに行った時の話しなんだけど、ヴィンテージの市場の魅力に取り憑かれてしまったんだ。初めてメルローズを見た時は本当に感動したね。メルローズはただの古着市場だけど、世界中の人たちが最高の洋服を求めて足を運ぶんだ。それが僕がヴィンテージに興味を持ったきっかけかな。

ー Andreaはヨーロッパのヴィンテージマーケットに精通していると思うのですが、アジアのヴィンテージカルチャーをどう見ていますか?

日本は90年代にアメリカから多くのヴィンテージを輸入したよね。日本の倉庫は本当に多くのヴィンテージウエアを保管している。僕が日本やアメリカの古着市場を知るきっかけになったのは、田中凛太郎さんの本を読んだことがきっかけなんだ。日本の古着への理解度は、世界屈指だよ。アメリカ以上だね。だから、日本のヴィンテージカルチャーは本当に素晴らしいと思う。バイイングの質もいいし、組み合わせも完璧だ。僕自身も日本から多くのことを学んだけど、僕は今、日本のミリタリーウエアについて勉強しているところなんだ。日本のミリタリーウエアはベストのひとつだけど、問題はほとんど見つからないということ。古着の倉庫に行っても見つけるのはとても難しいし、仮に見つけたとしてもすごく高価だね。でも、日本人はとても構造的に優れた洋服を作る。コットンやウールの品質もいいし、しかもハンドメイドだしね。僕もすごくインスピレーションを受けるよ。いつか日本や中国のミリタリーウエアをコレクションしたいね。中国は歴史的にすごく貧しかったから、軍服の形やデザインに無駄がなく、とてもシンプルなんだ。なるべく生地の使用を少なくするためにね。僕はデザインも彼らの好きだよ。僕も常に探す努力をしているから、もっとアジアのミリタリーウエアを見つけたいね。

ー Andreaが個人的に好きなヴィンテージアイテムは何ですか?

カーゴパンツもだけど、70年代のイタリアのバイカーパンツはいいね。イタリア人はそれを夏冬で兼用するんだよ。イタリアのカーゴパンツのデザインはイギリスのものを参考にしているんだけど、ミリタリーの文化は他国から学ぶことが多くてね。同じようなディテールを見たことないかな。僕はイタリア人が作るコットン製のパンツが好きなんだ。イギリスの人たちはそれをナイロンで作るから、下にもう一枚パンツを着ないといけないんだよ。だから、イタリア製のものの方が着やすいんだ。僕はヨーロッパのスタイルが好きなんだけど、その理由は第二次世界大戦後のアイテムは、まるでおばあちゃんが縫うようにステッチングされているからさ。世の中には工場で作られたミリタリー製品で溢れている。ナイロン、リップストップ、ポリエステルとかを使用したものがね。そうすると温かみに欠けるんだよ。僕はもっと洋服的で、古いものが好きだな。アメリカのカモ柄も好きだけど、僕はもっとクラシックなスタイルがタイプなのかもしれないね。

ー 〈Diesel〉と〈MYAR〉における仕事の違いはありますか?

僕はどちらのブランドからも多くのことを学んでいるよ。〈Diesel〉は大きな企業だよね。でも、〈MYAR〉はすべてがクイックに進むから、そこから得るものも多い。時に大きな企業の方が動きが遅かったりするからね。これが〈MYAR〉のポジティブなポイントかな。もちろん、〈Diesel〉の作るものは全て構造的に優れている。〈MYAR〉では全てに注意を払わないといけない。良いとこも悪いところもあるけど、僕はどちらからも多くのこと学んでいるよ。〈Diesel〉で学んだことが〈MYAR〉のクリエイションに活かされているし、それは逆でも同じことが言える。狭いところで学んだことが大きな企業では大事だったりする。もっと広いマインドでありたいね。

ー 『THE PARK•ING GINZA』で展開する限定アイテムは、ハンガリーやギリシャのものをフィーチャーしていますが、その理由は何でしょう?

いいカモ柄のジャケットやシャツを見つけた時、いつもそれがオリジナルのものだと思うことはないよね。それはハンガリーやギリシャのものでもいいはずだし、アイテムを見つけた時に“良いね”と感じることが大切なんだ。僕は東ヨーロッパの国々のカモ柄やコットンの色は、他には特徴があると思う。カモ柄の配色は、その国の環境が反映されている。
だから、南アジアのそれはトロピカルな感じだし、イギリスのカモ柄はより緑が強いんだ。色々な要素がミックスされていて、それは国の好みだけでなく、形、ディテール、構造、生地にも言えることだね。だから、あまり世に出回っていないものを提案するのは、僕にとってのモチベーションでもあるんだ。

〈MYAR〉のポップアップは、3月16日(木)まで。是非『THE PARK•ING GINZA』に足を運び、ビンテージミリタリーの特徴を残しつつ、モダンにアップデートされたアイテムを堪能してみてほしい。

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