Interviews: デニムのスペシャリスト Shawn Joswick

岡山で生産されるニューヨークのデニムマスターのデザイン

ファッション
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2016年秋冬シーズンより本格的にスタートした〈Joswick(ジョスウィック)〉は、デニムのリプロダクトマスター「Shawn Joswick(ショーン・ジョスウィック)」と岡山デニムの出会いによって誕生したブランド。ニューヨークで精巧なデニムのリペアを行いながら、『Barneys New York』などで取り扱われるほどクオリティの高いデニムのハンドメイドアイテムを制作していたShawn。すべて手作業による、作品とも呼ぶべきプロダクトを制作していた彼の人気デザインが、今年から日本のデニムファクトリーなどのバックアップにより、ブランド〈Joswick〉として始動したのだ。
BMX、スケートボードとともに育ち、「William Strobeck」や「Alex Olson」に兄のような存在として慕われ、「Jay Sabatino」の親友として彼のコレクションのモデルも務めるなど、日本でも人気のファッションやカルチャーに繋がりの深い彼。セカンドシーズンとなる2017年春夏コレクションのプレゼンテーションのために来日したShawnは、『HYPEBEAST』のインタビューに気さくに答えてくれた。

- Shawnの服作り、ファッションへの関わりはいつ頃からですか?

16歳頃かな?  友達の親に要らなくなった古いソーイングマシーンがあるって言われて、家に持って帰ったのがきっかけだよ。祖母が針仕事をする人だったから、裁縫や縫製は祖母が教えてくれたんだ。それでしばらくは趣味みたいにミシンでものを作っていたんだけど、98年に地元のユーティカからニューヨーク市内に引っ越したのをきっかけに、本格的にファッションに関わるようになったね。

- 〈Joswick〉はどうやってスタートしたのですか?

ニューヨークのいろいろなヴィンテージディーラーで、服のリペアやメンディングをしていたんだけど、その後ヴィンテージの〈Levi’s〉を買って、自分でダメージ加工をして、それを更に再リペアしたりっていうことを始めたんだ。それがリメイクアイテム制作にも繋がって、『Barneys New York』や『10 Corso Como』で取り扱われるようになったんだ。その収入でまた新しい(ソーイング)マシーンたちを買って、一点モノのプロダクトを作り続けてきたっていう流れだよ。日本では何年も前に、当時〈naichichi〉をやっていた島村さんが東京で初めて僕に展示会をさせてくれたんだ。ただ、生地を作ること以外は全部自分で手作業だったから、プロダクションのスピードも量も限界があって、すべての需要に応えられてはいなかったんだ。そうしているうちに、当時American Rag Cieで働いてた有元さんっていう昔からの友人が、生産のヘルプやブランドトして本格始動できるようにってWISLOMの峠さんを紹介してくれたんだ。結果、彼らのおかげで岡山のデニムファクトリーでのプロダクションが決まったんだよ。

- 日本には以前から繋がりがあったのですか?

今、〈Maintenant〉ってブランドをやっている「Jay Sabatino」がすごく仲のいい友達なんだ。彼が日本に10年くらい住んでいたから、その頃は毎シーズンルックブックの撮影で日本に来てたんだ。Jayを通してたくさんの人を紹介してもらって、友達もできて、それが今に繋がっているんだ。本当にみんなに感謝してるよ。だから日本に来る度になるべくみんなに会いたいんだ。島村さんは五本木で『LOCALSTORE』をやってるし、中目黒や表参道にも店を出している友達がいるよ。みんな10年以上前からの大事な友達なんだ。

- ではShawnのデザインについて聞かせてください。こんな人に向けて、などと考えながらデザインをするのですか?

オシャレにこだわるよりもスタイルを尊重したいっていうのかな。僕はただ自分が納得いくクールなものを作って、それをいろんな人がそれぞれ自分のスタイルに合わせて着てくれたらいいなと思ってる。コレクションも毎回ひとつのテーマを設けてデザインしているわけじゃなくて、感覚というかフィーリングなんだ。そのおかげで一貫して調和のとれたものづくりができているんだよね。僕は頭からつま先まで決まったブランドでキメるっていういかにも「オシャレ」な着方の信者ではないんだ。君の服は君自身の存在の延長だからさ、「服に着られる」べきじゃないって思う。

- 仕事に対してのモットーやスローガンがあったりしますか?

今でもやっているデニムリペアのやつはあるよ。”you blow em’, I sew em’!”

- 「キミが壊してオレが縫う」?  英語だとライムしててカッコイイけど、日本語に訳しにくいです(笑)。では次に、日本のファクトリーとの生産プロセスについて教えて下さい。大まかなデザインだけつくってあとは生産側や既存の生産工程におまかせ、というデザイナーは世の中に少なくないですが、Shawn自身が手を動かしてものづくりをする人だと、きっとそうではないのでしょうね。

そうだね(笑)。これまでは最初から最後まで自分でやっていたから、絵とか書けないんだよ。マジで絵に関しては絶望的なんだ。だから今も試行錯誤の状態だけど、日本のチームは本当に辛抱強く僕とやりとりしてくれているよ。こだわろうと思えばスティッチの幅とかピッチとか、限りなくマニアックな部分まで気になっちゃうんだ。絵がダメだから、サンプルを作ってコミュニケーションすることがほとんどなんだけど、良くも悪くも僕が縫い方や作り方を細部まで理解できるから、工場でこうしてほしいっていう技術面への期待値がものすごく高くなっちゃうんだ。だから毎回その細かい修正のやりとりをしながら、自分でもいろいろ学んでいるよ。工場の人は大変だと思う。でもやるからには中途半端な出来じゃ意味がなくて、納得いくものを作りたいんだ。モノなんて世の中に溢れかえってるだろ? それでも自分で作る意味って、納得のいくクオリティー以外にないと思うんだ。だからものすごく大変だけど、今回も更に良いものができて嬉しいよ。

- 最新の2017年春夏コレクションについて教えて下さい。

今回もテーマとかじゃなくて自分の感覚をもとに色々なところからインスピレーションを受けて展開しているんだけど、そうだな、シルエットは少しオーバーサイズで、プリーツやピンタックを多用してるよ。今日の僕のパンツもそこにいるショウヘイ(日本の生産チームの方)が履いているパンツもプリーツ(pleats)が入ってる。今日は二人で“Pleats-ty Awesome”っていうコンビなんだ。

- “Pretty”と“Pleats”をかけてですね……(笑)ギャグは訳しにくいのでもういいです(笑)。

(無視)。それと、色合いはインディゴをメインにポップなオレンジやパープル、マスタードを使ってるよ。ここまで仕上げるのが本当に大変で、最後の最後までものすごく細かなところまで気になって気が狂うんじゃないかと思った(笑)。でもこの仕上がりを嬉しく思うし、ここまで付き合ってくれる岡本テキスタイルには本当に感謝しかないよ。

- 話は変わりますが、今でもスケートボードに乗るのですか? 他にもスポーツはしています?

スケートボーディングは今までもこれからも僕の人生の一部だよ! 自分という人間を構成する大事なパートなんだ。一昨年の冬まではすごく頻繁にスケートしてたんだけど、ブルックリンのパークで手首をやっちゃってさ。もうあんまりハメを外せなくなっちゃった。PARTY IS OVERだよ(笑)。今はクルーザーボードでプッシュするのがデフォルトかな。

- 東京には何度も来ているかと思いますが、好きな街はありますか?日本で行ってみたい土地は?

難しいな。中目黒周辺は好きだよ。街中だけど喧騒から離れてるチルなスポットがたくさんある。気に入ってたオーガニックカフェは無くなっちゃったけど、新しい店もたくさんできてるみたいだしね。行きたい土地は京都と大阪かな。とにかくもっと日本に来るためにもブランドを頑張らないとだね(笑)。

[問]DEARGUEST(ディアゲスト)
TEL:03-6303-4994
info@dearguest.jp

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