おそらく、今年のファッション業界で最大の話題のひとつに挙げられるのは、Hedi Slimaneの〈Saint Laurent(サンローラン)〉からの離脱だ。大御所ブランドで4年間、メンズウエアにおいて細身のシルエットを打ち出し、その地位の確立に大きな役割を果たした。ボヘミアンとハイエンドのグランジの要素を取り入れ組み合わせた、新たな美的感覚を世に投じた。Slimane のリーダーシップのもと、プレタポルテのコレクションは〈サンローラン〉としてリスタート。デザインスタジオをLAに移した。ほかにも、〈Saint Laurent〉の収益を大きく拡大させるなど多くの功績を残した Slimane の4月の退任ニュースは衝撃を与えた。Slimane が退任時の競業禁止義務契約をめぐって同ブランドの親会社「Kering(ケリング)」を相手にした訴訟にまで発展した。様々なニュースで注目を集める1年となったが、Slimane の絶対的な才能、リスペクトに値する能力、そして洗練された写真での取り組みといった経歴を辿れば、ファッション界が彼の動向に常に視線を注ぎ、その活躍を熱望していることは確かだ。