Specialized の高性能 E-バイク Vado 3 X 6.0 は自転車移動を変えるか?
前後サスペンションにスマートフォンのワイヤレス充電、キーレスロックまで。街乗りから未舗装路までをカバーする1台を20分試乗
米カリフォルニア発のスポーツ自転車ブランド〈Specialized(スペシャライズド)〉が、2026年9月に発表したE-バイク Vado 3 X 6.0。通勤や買い物といった日常の移動から、週末のオフロードライドまでを見据えたVado 3コレクションの最上位モデルだ。
特徴は、マウンテンバイクで培った技術と、日々の使いやすさを追求した装備の組み合わせ。フロント130mm、リア120mmのトラベル量を備えるフルサスペンションは、レース用MTBのEpic World Cupを手がけたエキスパートがチューニングを担当。Specialized 3.1モーターシステムとともに、路面の変化に対応する快適な走りを支える。さらに、前後にはそれぞれ10kg、25kgまで積載できるラックを標準装備している。
ハンドル中央には、2.2インチのMasterMind C4タッチスクリーンを配置。速度やバッテリー残量などを確認できるほか、後方から接近する車両を知らせるGarminレーダーも搭載する。スマートフォンを固定するQuad Lockマウントにはワイヤレス充電機能を組み込み、移動中の使い勝手にも配慮した。
走り出して感じる、見た目以上の安心感
実車と対面して、まず目を引いたのは、その頼もしい佇まい。前後のラックに、27.5×2.6インチの太いタイヤ、そして前後サスペンション。日常使いの自転車としては、ずいぶん本格的な装備だ。 しかし、走り出すと、この構成に納得する。タイヤが路面をしっかりと捉える感覚と、サスペンションがもたらす穏やかな乗り心地。その安定感は、短い試乗でも「いつもの自転車に戻れるだろうか」と思ってしまうほどだった。
走行中に便利だったのが、アシストを自動調整する“AUTO”モード。“ECO”“SPORT”“TURBO”を選んで走ることもできるが、街中では平坦な道から上り坂へと、状況が次々に変わる。そのたびに操作する必要がなく、坂に差しかかってからモードを切り替え忘れていたと気づくこともない。走ることに自然と集中できるのが、このモードの魅力だ。
iPhoneをハンドルまわりに装着し、そのままワイヤレス充電できるのも気が利いている。自転車とスマートフォンの置き場所が最初から一体で設計されているため、後付けのアクセサリーを増やさずに済む点もうれしい。
途中でカフェに立ち寄ると、今度はキーレスロックの便利さを実感した。ABUSと共同開発したホイールロックは、電源を切ってロックをスライドさせて施錠し、再び乗る際はタッチスクリーンへのPINコード入力で解除する仕組み。 試乗時は4桁のコードで解錠でき、ポケットやバッグから鍵を探す手間がなかった。走行性能に注目しがちなモデルだが、こうした立ち寄り先での小さな快適さも、毎日使ううえでは大きい。
最後に、軽く未舗装の路面も走ってみた。ここで印象に残ったのは、やはり前後サスペンションの働き。段差を通過した際の突き上げが和らぎ、身構える場面が少なく感じられた。太いタイヤと相まって、凹凸のある道でも落ち着いて走れる。この余裕は、舗装の継ぎ目や路面の荒れた場所が点在する都市部でも、頼もしく感じられそうだ。
〈Specialized〉Vado 3 X 6.0の価格は132万円(税込)。カラーはGloss Ruby Metallic / Gloss Gold Foilの1色で、S、M、Lの3サイズを展開する。全く気軽な価格ではないが、短い試乗でも伝わってきたのは、移動そのものを楽しみ&快適に変える完成度。いつもの道を少し遠回りして帰りたくなる、これならどこまでも行ける、そんな1台だった。
