MSCHF が新作個展 “Material Values” を NANZUKA UNDERGROUND にて開催
3つの異なるメディアを用いた新作を発表
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『NANZUKA(ナンヅカ)』が、アメリカ・ブルックリン発のクリエティブエージェンシー「MSCHF(ミスチーフ)」とタッグを組んだ新作個展 “Material Values(マテリアル・バリュー)”を開催する。
この度開催されるのは、2024年1月、本展のティーザーとして『3110NZ by LDH kitchen』で行われた個展 “No shoes. No phone. No service.”に続く国内2度目の展覧会。本展では、ペインティング、インスタレーション、オンラインシステムと接続された装置と一体化した彫刻作品など、3つの異なるメディアを用いた新作が発表される。
1つ目は、本展のタイトルにもなっている“MATERIAL VALUE SCULPTURES”。これは、現代の高度資本主義社会におけるアートと物質的価値の関係を、ユーモアを交えて再定義するシリーズだ。同作は、ユニークなポーズを取った人間の彫刻と、原材料のインジウムの市場価値をリアルタイムで追跡するデバイスが内蔵された台座を組み合わせたものに。原材料となっているインジウムは、半導体産業やLED素材として需要が高まり続けるレアメタルの一種であり、価格変動が激しいことで知られている。この特質こそが同作の特徴となり、インジウムの市場価値が作品の価格を上回った瞬間、装置が融点まで温度を上げ、彫刻を溶かして自壊し始めるような仕組みに。これは、アートの本質的な価値と物質的価値の乖離をシニカルに表現している。
2つ目の“Animorph Painting”シリーズは、アメリカの子供向けSF小説『Animorph(アニモーフ)』のストーリーより、人間が動物に段階的に変身する描写に着想を得たものに。このシリーズでは、レンブラントやラファエロといった美術史上の古典的肖像画を現代のアイコンへと変身させることで、美術史的変遷を応用しつつ、美やアートの定義が流動的であることを示唆している。本展には、『NANZUKA』所属作家である空山基の“セクシー・ロボット”をモチーフとしたバージョンを含んだ4点が展示されるそうだ。
3つ目の“RAIN CUBICLE SCULPTURE”は、アメリカのオフィスでみられる、パーテーションで区切られた“オフィス・キュービクル”に、パネル張りの下がり天井を組み合わせたインスタレーション作品。電源に繋いでいる間はオフィスに雨が降り続けるというこの不条理なシステムは、現代社会における労働の退屈さや無意味さを暗示しており、資本主義が生み出す労働の矛盾を体感させるものに。
これらの作品は、“現代アート”を生み出したとされるフランス生まれの美術家 マルセル・デュシャン(Marcel Duchamp)のレディメイド作品や、アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)の“ブリロ・ボックス”や“キャンベルのスープ缶”などにおける、アートの定義や価値についての歴史的な議論を連想させるものでありながらも、悪戯めいた仕掛けによって「MSCHF」らしいものに昇華している。
また、本展の実施に際して、「MSCHF」のこれまでの取り組みを総括した書籍『Made by MSCHF』をはじめとしたグッズも発売される。これらは、2月1日(土)より『NANZUKA』の公式オンラインストアにて数量限定で販売予定だそう。
Material Values
場所:NANZUKA UNDERGROUND
住所:東京都渋谷区神宮前3-30-10
会期:2月1日(土)〜3月22日(土)
時間:11:00-19:00
*日曜、月曜休業